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組織を壊す自分本位の主張 #190

人は、一人で成し遂げられることには限界があります。
だからこそ、同じ目的を持つ人たちが集まり、組織をつくります。

組織とは、単なる人の集合ではありません。

それぞれが異なる価値観や事情を持ちながらも、「共通の目的」を優先し、その実現に向けて協力する仕組みです。

そのためには、
• 目的を共有すること
• 目的実現に貢献しようとすること
• 円滑なコミュニケーションを取ること
が欠かせません。

しかし、現実の組織は、それほど単純ではありません。

■ 目的を共有しているとは限らない存在

企業の目的とは、経営理念を意味します。
しかし、実際には、経営理念に深く共感して入社する人ばかりではありません。
生活のため、キャリアのため、条件が良かったから、たまたま縁があったから など理由は様々です。

だからこそ組織では、ときに、自分の考えを優先する「エゴイズム」。
自部署の利益を優先する「セクショナリズム」が生まれます。

これは、ある意味では自然なことでもあります。
人は不安を感じると、自分を守ろうとします。
「評価されたい。」「否定されたくない。」「自分の居場所を失いたくない」などの防衛反応が強くなるほど、人は極端な解釈や反応をしやすくなります。

■“極端な解釈”が、組織の対話を壊していく

例えば、こんな場面があります。
「残業時間を減らすために、無駄な残業をしないようにしよう」という指示があったとします。
対して、「じゃあ、どんなに忙しくても残業するなということですね?」と返す人がいたりします。

本来の論点は「無駄な残業」です。
しかし、その人の中では「無駄な」を勝手に省略させて、「残業そのものの否定」に変換されてしまっています。

あるいは、「残業して頑張っている人への侮辱だ」と受け取る人もいるかもしれません。

これらは、話の焦点を自分なりに歪曲させて解釈している状態です。

さらに、「残業削減に失敗した会社も多い。だから無理だ」というように、一部の事例だけを根拠に、全体を否定した一般化のケースもあります。

こうした反応には共通点があります。
それは、コミュニケーションを阻害する要素と言われる「省略」、「歪曲」、「一般化」です。

本来の意図ではなく、自分の価値観に沿う形へ変換して受け取ってしまう。
その結果、建設的な対話が成立しなくなります。

■ 二元論で考える人ほど対話が難しくなる

極端な反応をしやすい人には、“二元論”的な傾向があります。

つまり、「Yes か No」、「白 か 黒」、「正しいか 間違っているか」、「敵か 味方か」などというように、物事を両極端で捉えようとするのです。

しかし現実は、本来もっと曖昧で複雑です。
状況によって正解は変わりますし、立場が変われば見え方も変わります。

それにもかかわらず、「どちらかしかない」と決めつけてしまうと、人間関係は急速に悪化します。
なぜなら、組織に必要なのは、“勝ち負け”ではなく、目的達成のための協力だからです。

■ 問題は「個人」だけにあるとは限らない

ここで忘れてはいけないのは、極端な言動は、個人の資質だけで生まれるわけではないということです。

組織側にも原因がある場合があります。

例えば、「組織の目的が曖昧」、「評価基準が不透明」、「管理職が対話できない」、「心理的安全性が低い」、「成果だけが評価される」などの環境では、人は余裕を失い、防衛的になります。
つまり、自分本位の極端な主張は、「組織の歪み」を映し出している場合もあるのです。

だからこそ、組織においては、“何を目的にしているのか”を繰り返し言語化し続ける努力が必要になります。

■ 問題を「外」に求めるか、「内」に求めるか

うまくいかないとき、人は、「上司が悪い」、「部下が悪い」、「お客様が悪い」、「組織が悪い」、「環境が悪い」などと、原因を外部に求めたくなります。
これは「アウトサイド・イン」の考え方です。

もちろん、本当に外部に問題があることもあります。
しかし、そこで思考停止してしまえば、対話も成長も止まります。

一方で、「インサイド・アウト」の視点では、「自分の解釈は極端ではないか」、「相手の意図を確認したか」、「感情だけで反応していないか」、「目的を見失っていないか」などと、まず、自分に改善できることはないかと考えます。

まず自分の内側を見つめる。
その姿勢が、組織における成熟につながるのだと思います。

■ 組織に本当に必要なのは、「優秀さ」だけではない

厄介なのは、極端なコミュニケーションを取る人が、「仕事ができない」とは限らないことです。
むしろ、能力が高く、成果を出す人も少なくありません。

だからこそ組織は迷います。
「優秀だから」、「数字を作っているから」と、その振る舞いを許容してしまうこともあります。

しかし、組織は個人競技ではありません。
どれだけ優秀でも、「他者を疲弊させる」、「対話を破壊する」、「場の空気を悪化させる」、「組織目的より自己目的を優先する」などの行為があるならば、組織全体の機能は少しずつ壊れていきます。
そして最終的には、誠実な人ほど去っていくことになります。
これは、多くの組織で実際に起きていることではないかと思います。

■ 組織を支えるのは、「誠実な人」である

私は、組織に本当に必要なのは、「仕事ができる人」以上に、「誠実な人」だと思っています。

ここでいう誠実さとは、単なる“いい人”ではありません。
例えば、「相手の意図を確認できる」、「極端に解釈しない」、「自分の非を認められる」、「感情だけで断定しない」、「勝ち負けより前進を優先できる」、「組織の目的を共有できる」など、そうした姿勢のことです。

誠実な人が増えるほど、組織には安心して対話できる空気が生まれます。
そして、その空気こそが、長期的には成果よりも大きな価値を生むのだと思います。
組織を長く健全に機能させるのは、突出した才能だけではありません。

互いを理解しようとする姿勢。
目的を共有しようとする意志。
そして、自分自身を見つめ直せる誠実さ。

結局のところ、それが組織の土台となって行くのかと思います。

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