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エントリーシートの書き方

たくさんお便りが来てます。ちょっと盛った言い方をすると、お便りに埋もれそうなぐらい色々なお悩みが来ているので、皆さん悩んでいるわけですね。

ラジオネーム「にゃっぴー」さんからいただきましたね。私、今の日吉の春学期の文学で猫のことをやってるので、「にゃん」とか言いたくなるわけですけど。はい、読みます。

就職活動のエントリーシート作りに行き詰まっています。自己分析の方法や志望理由の言語化の方法など、先生的アドバイスをお伺いしたいです。

なるほど。やっぱり毎年これありますよね。結構王道な感じですね。

エントリーシートなんですけど、まず私からのアドバイスとしては、自分を掘り下げたりとか探らない方がいいのではないかというふうな気がするんですね。ちょっとこれお笑い芸人がM-1とか、どうやって自分たちのネタを作るかってことと似ている気がするんですよ。

つまり、エントリーシートとか就活って、嘘をつくのは僕はいけないと思うんです。これから皆さんが働いていく会社なので、自分が本当にそうじゃないこと、例えば体力ないのに「体力がある」っていうふうに言っちゃうと、「じゃあ新聞記者OKだね」って言われて後から困っちゃったりとか。あるいは、すごくアートが好きで「みんなを喜ばせたいです」というふうに無理やり言ってみたけど、実は全然美術館も行かないし、色のことにも興味がないから、「じゃあこういうことやって」ってなるとやっぱりすごく辛いので。嘘をついたりとか、偽ることはしない方がいいということが一方であるわけだけど。

でも他方で「自分」ってないんですよ。なので、自己分析はエントリーシート作りでは必要なのかもしれませんけど、「自分とは何か」というのは哲学的な問いなので、就活で自分が何かを考えると、自分探しと自己分析の沼にハマってしまうので、自己分析はしない方がいいのではないかっていうことがあるわけですね。

じゃあ何をするかっていうと、例えば小学校の学級委員長で考えてみましょう。皆さんが学級委員長に立候補する時に、「自分はどういうリーダーなのか」ってことを考え始めるとですよ。「自分はどんな人間なのか、みんな笑わせる人間だからこういう学級委員長になる」とか、自分が何なのかってことを考え始めると、皆さんいつまで経っても学級委員長選挙に出れません。しかも何言ってるか分からなくなります。

向こうが聞きたいのは、「学級委員になったあなたが何をしたいか」なのであって、あなたが何者かではないんですね。だから、例えば学級委員長選挙で考えるべきは、あなたが何者かじゃなくて、あなたがその立場になったら何をしたいのかイメージすることじゃないですか。

以前、高校生とか中学生に向けて「とりあえず大学に行ってみると、大学生のイメージができるので、そこから始めてみたらいかがですか」というお悩み相談をした記憶があるんですけど、就職で企業の人たちが知りたいのは、今のあなたとか過去のあなたじゃないんですよ。一緒に同僚として、あるいは部下として、その職場で働いていく「未来のあなた」なんですね。

なので、必要以上に今の自分を見つめなくても、あるいは過去の自分を見つめなくても、皆さんがそういう、例えばデザイナーになった時、あるいはビールを売る時とか、何かその立場になった時に「どんなことをしたいのか」「どんな自分なのか」ということについて、例えばその企業がある最寄り駅に行ってみて、ビジネスマン・ビジネスウーマンになった自分を想像してみるとか。何かそういった形で、未来の自分をその役割の中で思い描いてみるということが、志望理由の言語化になっていくのではないかなと。だから、内側を見たりとか、自分の過去自体を深く掘り下げるのではなくて、自分の未来を空想したり妄想したりする。ただし、それが単なる空虚な妄想でないために、何か自分の過去のピースをそこに当てはめてみる。

なんかドラマの脚本を書くみたいな。例えば「若澤先生 in 保険会社」みたいな感じで。別に僕自身が何かということを考えることよりも、僕という若澤君が保険会社に向いているかどうかは別として、「保険のアドバイザーとかになったら何をするんだろうか」という、そういうドラマ企画があったとしたら、「さあどうしますか」ってことを考えてみる。

「にゃっぴー」さんが何になりたいか分からないんですけど、例えば「にゃっぴー as Professor」そういうドラマの企画を考えてみるというふうに思ってみたら、ちょっと見えてくるかもしれない。その中で「いや、私がなんか普通に何かのコーヒー会社で働いてるところ、そもそも企画段階で頓挫だな」と思ってやめた方がいいだろうし。じゃあその周辺はこの人にやってもらうとして、どうするかってなった時に、そこでやりたいこととかやってる姿を、何か自分なりの志望動機として書いていくのがいいのではないかなという気がします。

あと、最後に1個だけアドバイスをすると、

・・・

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※この記事は第16回(7月6日OA)の内容を慶應義塾大学出版会が書き起こし・修正を加えたものです。


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