見出し画像

こんにちは!皆さん。

さて、今日は「面をとりにいく」というテーマで書いてみたいと思います。

ちょっとビジネスっぽい言葉に聞こえるかもしれませんが、これはプロジェクトの大きさや、僕たちの仕事の「寿命」を決めるすごく大事な視点なんです。

ここでいう「面をとりにいく」は、「前に出て目立つ」とか「リーダーシップをガツガツ取る」という意味ではありません。

何か大きなことを仕掛ける時に、中心となる “一点” だけを必死に磨くのではなく、その周辺の領域まで含めて “面” として押さえにいく。そうすることで、プロジェクト全体を一回りも二回りも大きく、そして「太く」していくイメージです。

ざっくりいうと、

「1個の美味しいラーメンを作る発想から、その一杯を食べる1日の体験を設計する発想へ」

という感じです。

今日は、僕のドイツ時代や今のスタジアムシティでの経験も交えながら、この「面をとりにいく」面白さと難しさについて、一緒に考えてみたいと思います。

#ビジネス思考 #視点の切り替え #プロジェクトマネジメント #長崎スタジアムシティ

よくある一般論は「まずは一点集中」の呪縛


まず、皆さんもよく耳にするアドバイスがあると思います。

「まずは一点突破でいこう」
「あれこれ手を出すな、本業に集中しろ」
「二兎を追う者は一兎をも得ずだぞ」

これ、本当にその通りだと思います。正論です。 特にリソースが限られている小さなチームや個人にとって、あれもこれも手を出して散らかるより、1つに集中して突き抜ける方が生存確率は高いです。

僕も若い頃、飲食の現場で先輩に散々言われました。

「余計なこと考えるな。まずは目の前の皿を完璧に洗え」
「メニュー開発なんて10年早い。今のオペレーションを極めろ」

これはこれで、職人としては正しいし、必要な通過儀礼です。

でも、この「一点集中」の呪縛に囚われすぎると、ある段階で成長がピタッと止まるんです。プロジェクトがいつまでも「点」のまま、広がりを持てない。

例えるなら、最高に美味しいコーヒー豆は持っているのに、それを飲むカップも、空間も、音楽もないまま、「ほら、豆は最高だろ?」と叫び続けているような状態です。これ、ちょっともったいないですよね。

#一点集中 #選択と集中 #職人気質 #ビジネスの罠

点で終わるプロジェクトは「もろい」


イメージしやすいように、僕が以前見てきた「点で終わる飲食店」の話をします。

すごく腕のいいシェフが独立して店を出しました。彼は「料理の味」という一点に全人生を賭けていました。

・毎朝市場に行って最高の食材を仕入れる。
・仕込みに何時間もかける。
・味の妥協は一切許さない。

素晴らしいことです。でも、彼は「味」以外のすべてを「余計なこと」として切り捨ててしまったんです。

その結果、どうなったか。

・近隣の店舗との付き合いがないから、街のイベントで孤立する。
・SNSでの発信を「味に関係ない」と無視したから、新規客が来ない。
・雨の日にお客さんが減ると、味を変えるべきかと悩み出す。

お店自体は最高なのに、「街」という文脈から切り離されて、ポツンと浮いてしまっている。これは「点」としては強いけれど、ビジネスとしてはすごく「もろい」状態です。

一点を突き詰めたからこそ陥る、職人の孤独な罠とも言えます。

#飲食店経営 #リスクヘッジ #孤立 #経営の安定化

面をとりにいくとは、「生態系をつくる」こと


じゃあ、「面をとりにいく」ってどういうことなのか。

僕がいま働いている「長崎スタジアムシティ」での仕事を例に考えてみます。

ここでは、スタジアムの中にホテルもあれば、商業施設もあり、オフィスもあります。僕たちのチームがやっているのは、単に「スタジアムの中で弁当を売る」ことではありません。

もし「点」で考えたら、「世界一美味しい唐揚げ弁当を、いかに早く提供するか」がゴールになります。

でも、「面」で考えると、景色が一変します。

・試合前のワクワクしている時間に、どんな飲み物があればテンションが上がるか?(時間の面)
・試合が終わって興奮冷めやらぬ帰り道、余韻に浸りながらつまめるものは何か?(動線の面)
・試合がない平日に、近所のおばあちゃんが散歩ついでに寄れる場所になっているか?(日常の面)

こうやって、スタジアムという「点」の周りに、時間や空間、人の動きという「面」を張り巡らせていく。

ざっくりいうと、 「ひとつの商品のまわりに、小さな物語をたくさんくっつけて、生態系みたいにすること」 です。

点だけで戦うと「味比べ・価格競争」に巻き込まれますが、面で戦うと「体験の質」での勝負になります。ここが面白いところなんです。

#ビジネスエコシステム #体験価値 #UXデザイン #脱価格競争

ドイツで学んだ「ビール」と「空間」の関係


僕がドイツで働いていた時の話を少しさせてください。ドイツといえばビールですが、彼らのビールの楽しみ方は、まさに「面」だなと感じた瞬間があります。

ドイツのビアガーデンに行くと、もちろんビールそのもの(=点)も美味しいんですが、それ以上に「空気感」がすごいんです。

・知らない人とも相席になって「プロースト(乾杯)!」とやる文化。
・外の風を感じながら、ソーセージを頬張る開放感。
・子供も犬も一緒になって過ごせる、ゆるやかな時間。

彼らは「液体のビール」だけを売っているわけじゃなかったんです。「ビールを中心とした幸せな時間(=面)」を売っていたんです。

もし、あのビールをシーンと静まり返った無機質な部屋で、一人で黙々と飲んだとしたらどうでしょう? おそらく、あんなに美味しくは感じないはずです。

商品という「点」の周りにある、コミュニケーションや環境という「面」が整って初めて、その価値が最大化される。

これを肌で感じたことが、僕がいま「食の体験」を考える時の原点になっています。

#ドイツ生活 #海外の働き方 #空間デザイン #ビアガーデン

面を広げるための「3つの補助線」


じゃあ、具体的にどうやって面を広げればいいのか。僕が企画を考える時、頭の中に引いている「3本の補助線」を紹介します。

補助線① 「空間」を店の外まで染み出させる

自分のテリトリーを「契約面積の内側」だけに限定しないことです。

・お店に続くまでの「アプローチ」にお花を置けないか?
・隣の雑貨屋さんとコラボして、レシートを持ってきたら割引にできないか?
・オンライン(SNSやGoogleマップ)も「第2の店舗」として掃除(更新)できているか?

「ここから先はウチ、そこから先は他所」という境界線を、少しあいまいに溶かしていくイメージです。

補助線② 「時間」を来店前後まで引き伸ばす

お客さんがお金を払ってくれる瞬間だけが勝負ではありません。

・予約の電話対応で「楽しみだな」と思わせられたか?(来店前)
・帰った後、ふと思い出してもらえるような「お土産(物理的なものじゃなくても)」を持たせられたか?(来店後)

「点」のサービスを、「線」の時間体験に引き伸ばすだけで、お客さんの記憶に残る確率は跳ね上がります。

補助線③ 「人」を巻き込んで共犯者にする

自分たちだけで完結しようとしないことです。

・地元の農家さんの名前をメニューに出して、生産者をチームに入れる。
・常連さんに「新メニューの試食係」をお願いして、開発メンバーになってもらう。

関わる人が増えれば増えるほど、そのプロジェクトを「自分ごと」にしてくれる人が増えます。それが強固な「面」になって、何かあった時に支えてくれるんです。

#店舗集客 #ファンづくり #カスタマージャーニー #コミュニティ形成

とはいえ、広げすぎると自滅します


ここまで読んで「よし、全部やるぞ!」と意気込んだ方、ちょっと待ってください。危険です。

いきなり全方位に面を取りに行くと、確実にパンクします。 リソース不足で全てが中途半端になり、一番大事な「点(本業)」まで腐らせてしまう。これだけは避けなきゃいけません。

僕のおすすめは、 「絶対的な一点(核)が固まったら、まず一方向だけ面を広げる」 という戦法です。

例えば、「ランチの味は完璧になった」と思ったら、「夜のメニュー」に手を出す前に、「ランチのテイクアウト(動線の面)」だけ広げてみる。 あるいは、「ランチに来てくれた人へのSNS発信(関係性の面)」だけ始めてみる。

一点から、じわじわとインクが染み出すように広げていくのが、一番無理のない「面の取り方」です。

#スモールスタート #リソース管理 #事業拡大 #失敗しないコツ

というわけで、しなやかに生き残るために


というわけで、今日は「面をとりにいく」という話をしました。

時代はすごいスピードで変化しています。 一つの商品、一つのサービス、一つのスキルという「点」だけで、何十年も戦い続けるのは、正直かなりしんどい時代です。

だからこそ、

自分だけの「点(強み)」は鋭く磨きつつ、その周りにある「人」「時間」「空間」と手を結んで「面」を作っていく。

そんな「しなやかな多足歩行」みたいなスタイルが、これからの僕たちを助けてくれる気がしています。

僕も長崎の地で、新しいスタジアムという巨大な「点」を、街全体を巻き込んだ幸せな「面」にするために、毎日あーでもないこーでもないと頭を悩ませています。

皆さんの持っている素敵な「点」。その隣には、どんな「面」の可能性が眠っているでしょうか?

それでは、また!

#生存戦略 #柔軟な思考 #これからの働き方 #地方創生

------------------------

【メンバーシップのご案内】

飲食業に関わるすべての方へ。
そして、食を愛し、その未来を一緒に考えたい方へ。

このメンバーシップは、飲食業の価値を高め、未来につなげるための場です。業界のリアルな課題、現場で役立つノウハウ、そしてこれからの可能性を、共に考え、学び、発信していきます。

メンバー限定の深掘り記事、交流の場、時にはリアルなイベントも企画予定です。あなたの経験や想いが、このコミュニティをより豊かにしていくはず。

飲食業の未来を一緒に描いていきませんか?

皆さんの参加をお待ちしています。
詳細・登録はこちら 👇

いいなと思ったら応援しよう!

菅野 大輔 (ワインテイスター/食クリエーター:かんの だいすけ) よろしければ、サポートお願いします。 自分のモチベーションアップのためと、今後のためにインプットに使わせて頂き、またアウトプットできればと。サポート頂いた方へはちゃんと返信させて頂きます。