【魔女刈り】アマノ文筆クラブ
こちらの企画に参加させていただきます。よろしくお願いします。🙇♂️
*タイトル画像はGeminiにて作成しました。
ショートショート
〜魔女刈り〜
「ねぇ、見た? また小夜子が遠くからチカのことジーッと見てたよ」
教室の端っこで、マキが声をひそめた。周りの女子グループが顔を寄せ合っている。
「小夜子のやつ、クラスで一番小さくて大人しいチカを狙ってるらしいの」
「えー、チカがターゲットにされちゃったのかな」
「絶対そう。あいつに先越されるわけにはいかないわ」
実はマキもチカを狙っていた。ライバルの小夜子を遠ざけるため、マキは『小夜子は魔術を使ってチカに恐ろしいことを企んでいる』と噂を流した。
その噂を聞いた小夜子は、激怒した。
『はぁ!? 濡れ衣もいいところじゃない! いいわよ、そこまで言うなら私にも考えがあるわ』
意地になった小夜子はまず美容院に行って、髪を紫色に染めて大胆に刈り上げ、『魔女刈り』にした。そして、黒ずくめの洋服を着て、魔女メイクもした。
それから怪しげな古洋書を解読し、怪しい液体を煮詰め、本物の魔術を猛勉強した。
そして、決戦の日。給食の時間の終わりごろ、ついに教室の空気が凍りついた。
小夜子が静かに立ち上がり、チカの席へと向かって歩き出す。その手には、怪しく光る自製の魔法陣が握られていた。
「チカ、覚悟しなさい」
小夜子が低い声で呪文を唱え始めると、教室に不穏な風が吹き抜けた。まさにチカへと襲いかろうとしたその時、マキたちが激しく机を叩いて立ち上がった。
「そこまでよ、小夜子! 弱者を痛めつける悪事は許さないわ!」
「そうよ! みんな見て、やっぱり小夜子は本物の魔女よ!」
マキの叫びに、クラス中がざわめく。しかし、小夜子はニヤリと冷酷に笑い、一歩もひるまなかった。
「ふざけないで! 私をおとしめて、自分がいい目をしようとしてるだけじゃない!」
「なっ……何のことよ!」
「とぼけないでよマキ! 噂を流して私を排除し、まんまと欲しいものを手に入れようとしてるじゃない! 」
「いや、正義の鉄槌よ!」
「こうなったら本物の魔術で勝負よ!」
小夜子の『魔女刈り』が逆立ち、数えきれない数のヘビになった。目は吊り上がり、口は耳の横まで裂けた。
あちこちで悲鳴があがる。
マキ達もほうきやモップをにぎりしめて身構える。
一触即発の睨み合い。空気が限界まで張りつめた、その瞬間……。
渦中のチカが、ぽかんとした顔でスプーンを持ち上げた。
「あ、今日は私のプリン、自分で食べよ〜っと」
ズコーッ!と全員が一斉にコケた。
「食べるんか〜い! 狙ってたのに、
いつも残すチカのプリン!」
甘野充さん、紹介していただきありがとうございます😊
