🌟 なぜアデル『25』はUKロック史に残る名盤なのか? 🌟
🎧 まずはこの一曲!『25』を象徴する、沈黙を破った大きなバラード 🎧
2015年に発表された『25』は、アデルの3作目のスタジオ・アルバムです。前作『21』で世界的な成功を収めたあと、長い沈黙を経て届けられた一枚であり、発売直後から英国ポップ史に残る記録的なヒットとなりました。この作品は、派手な流行を追うアルバムではありません。中心にあるのは、声、メロディ、そして過去と向き合う感情です。ゴスペル、ソウル、バラード、現代的なポップ・プロダクションを組み合わせながら、アデルの歌そのものを大きく響かせています。
UKロック連載のなかで見るなら、『25』はギター・バンド的な意味でのロックではありません。しかし、英国のシンガーソングライター文化、ソウルへの憧れ、そしてアルバム単位で世界を動かすポップの力を考えるうえで、避けて通れない作品です。
このアルバムへの入口として聴きたいのは、「Hello」です。これはアルバムの冒頭を飾る曲ですが、単に一曲目だから選んだわけではありません。長い空白を破って世界的な話題をさらった先行シングルであり、各国チャートの頂点に立ち、グラミー賞の最優秀レコード賞・楽曲賞にも輝いた、彼女の"帰還"を告げる決定的な一曲だからです。ピアノを中心にしたシンプルな始まりから、サビで大きく開けていく構成。過去に声をかけるような情景を描きながら、個人的な後悔や距離感を、誰もが自分の記憶に重ねられるスケールへと広げています。余白を残したアレンジ、抑制された導入、そしてサビで一気に広がるドラマ。その設計があるからこそ、アデルの声がより大きく響くのです。
Hello
アデルとは?:英国ポップを世界規模へ押し上げた声
アデル(Adele、本名 Adele Laurie Blue Adkins)は、ロンドン北部トッテナム出身のシンガーソングライターです。デビュー作『19』、続く『21』で一気に世界的な成功を収め、感情を直接届ける歌声と、クラシックなソウル/ポップ感覚で高い評価を得ました。アデルの音楽は、時代の音に完全に寄りかかるタイプではありません。むしろ、ピアノ、ストリングス、ゴスペル的なコーラス、ソウル由来のメロディを使いながら、現代のポップとして成立させています。『25』では、20代後半の視点から過去を振り返るような曲が多く並びます。恋愛だけでなく、時間、成長、後悔、そして自分自身との和解がテーマとして浮かび上がる。アデル自身は本作を、過ぎ去った時間への埋め合わせという意味を込めて「メイクアップ・レコード(和解のレコード)」と呼んでいます。
1. 記録的ヒットの奥にある、普遍的なバラード集
『25』は、発売時の記録ばかりが語られがちなアルバムです。全米初週338万枚は、史上初めて週間300万枚を突破した数字であり、英国でも歴代最大級の初週売上を記録しました。しかし、作品として聴くと、中心にあるのは非常に古典的なバラードの強さです。「Hello」「When We Were Young」「All I Ask」などは、時代を限定しないメロディの力で聴かせます。一方で、「Send My Love (To Your New Lover)」のように、より軽やかで現代的なポップ・ソングもあります。重厚なバラードだけでなく、リズムやフックを使ってアルバムに動きを作っているところも重要です。
そのバランスによって、『25』は単なる復帰作ではなく、アデルが世界的ポップ・スターとしてどのように自分の歌を更新したかを示す作品になっています。ちなみに発売当初は Spotify などのストリーミングで配信されず、それが記録的な実売を後押しした点も、この時代のアルバムとして象徴的でした。
2. 多彩な制作陣と、歌を中心に置く設計
本作には、Greg Kurstin、Max Martin、Shellback、Danger Mouse、Ryan Tedder、Paul Epworth、Ariel Rechtshaid、Samuel Dixon など、多彩な制作陣が関わっています。ただし、アルバム全体はプロデューサーの個性を前面に出すというより、アデルの声を中心に置く設計になっています。「Hello」では Greg Kurstin との共同作業が大きく、「Send My Love (To Your New Lover)」では Max Martin と Shellback によるポップな推進力が加わります。
この制作陣の広がりがありながら、アルバムの印象が散らばらないのは、アデルの歌声がすべての曲の核になっているからです。プロダクションは豪華ですが、主役は最後まで声とメロディです。
3. アルバム内の主要楽曲紹介
Hello — アルバム冒頭曲であり、リード・シングル。ピアノ・バラードの形を取りながら、巨大なスケールへ広がる代表曲です。各国チャート1位、グラミー最優秀レコード&楽曲賞に輝きました。
When We Were Young — 過去を見つめる視線が強く出たバラード。ドラマティックな歌唱と、回想的なムードが、アルバムのテーマを深めます。
Send My Love (To Your New Lover) — Max Martin と Shellback が関わったポップ寄りの楽曲。アルバムに軽やかなリズムと明るい切り口を加えています。
結論
『25』は、アデルが世界的成功のあとに、自分の声とメロディの強さをあらためて証明したアルバムです。派手な実験作ではありませんが、だからこそ、歌そのものの力がまっすぐ伝わります。「Hello」のような大きなバラード、「When We Were Young」のような回想的な曲、「Send My Love (To Your New Lover)」のようなポップな曲。それぞれが違う表情を持ちながら、アルバム全体ではひとつの成熟した物語になっています。
本作は2017年のグラミー賞で最優秀アルバム賞を、2016年のブリット・アワードで英国最優秀アルバムを受賞しました。個人的な感情を、世界中で共有される歌へ変える。その力を最もわかりやすく示した、2010年代の英国ポップを代表する一枚です。
本記事で紹介したアルバム
アーティスト名:アデル(Adele) / アルバム名:25
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