《ショートショート》 七夕の歩幅 #毎週ショートショートnote
私には遠く離れた彼女がいる。
世に言う遠距離恋愛だ。
人によってはロマンチックと言われるかも知れないが、正直言ってそんなに良いものでもない。
なんてったって物凄くーー寂しいのだから。
私は、その余りにも迫り来る寂しさに打ちしがれ、彼女に会おうと電話を掛けていた。
連絡を入れたのが七月五日だったので、思えば後二日で七夕だと気づいた。
私は七日に会おうと約束を取り付け、我ながら、少しだけロマンチックな事を考えるな、と思ったが、彼女はその事に気づいてなさそうだった。
電話を終えた私は、スーパーにあった短冊に「彼女に会いたい」と書き、笹につるした。
そして当日...雨が降った。
彼女も急遽仕事の用事が入ったらしい。
とっても意地悪だ。
そう思った時には既に、電車の切符を握りしめていた。
諦めてたまるか。
人恋しさを侮ってはならない。どんなに障害が降り掛かろうとも寂しさが原動力になる事だってあるのだ。
私は意気揚々と電車に乗り込んだ。
地上から見て、織姫と彦星が出会えたかは分からない。
でも、きっとこの雨雲の上では巡り会えているはずだ。
彼女に出会えた、私の様に。
こちらの「七夕の歩幅」と言うお題で書かせて頂きました。
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