
WSETが57年ぶりのリブランディング!
2026年4月27日、ロンドンで開催されたWSETの年次卒業式典で、新しいブランドアイデンティティが発表された。1969年のWSET設立以来、ワイン杯を掲げてWSETの顔を務めてきたギリシャ神話の女神アリアドネは、57年間の勤続の末に静かに勇退となる。

何が変わったのか
ロゴ: アリアドネの姿が消え、シンプルなワードマークに。ヘリテージブルーの色味と楕円形は残した。デジタル環境での視認性を重視した設計で、要するにスマホの画面でも潰れないロゴになった。
名称: 「Wine & Spirit Education Trust」のフルネームは後景に退き、今後は「WSET」を正式な呼称として前面に出す。
ストラップライン: 新たに「Global Drinks Education」を採用。Wine & Spiritに限定しない、SAKEなども含む全飲料カテゴリーを包含する意思表示。
ピンバッジ: サステナブル素材で刷新。Level 1がブロンズ、Level 2がシルバー、Level 3がゴールド、Level 4がブラック。ワイン、スピリッツ、日本酒、ビールの各カテゴリーを表すイメージが入る。
ウェブサイト: ソーシャルチャネルは発表と同時に刷新済み。本体サイトのフルリニューアルは2026年後半を予定とのこと。
CEO Michelle Bramptonの説明を要約すると、3つの軸がある。
第一に、WSETはもはやワインだけの教育機関ではない。スピリッツ、日本酒、ビールとカリキュラムは拡大し続けている。ギリシャ神話の女神がワイン杯を掲げている図像は、「うちはワインの団体です」と宣言しているようなものだった。
第二に、アクセシビリティ。古典的な図像が「エリート主義的」に映りうると指摘している。WSETが世界75カ国以上で展開し、受講者のバックグラウンドが多様化する中で、「ギリシャ神話を知っている前提」のロゴはふさわしくないということらしい。
第三に、デジタル対応。アリアドネの繊細な線画は、SNSのアイコンサイズではほぼ判別不能だった。
現地では概ね不評
2026年4月のGraduation式典で新たなロゴのピンバッジが卒業生に配布された。もともと合格時にWSETから旧ロゴのピンバッジが配布されていたため、この世代だけは新旧2つのロゴのピンバッジを持っていることになる。
現地では新しいロゴに対して批判が多く、「あの女神が良かったのに」という声が多かった。57年間ワイン杯を掲げ続けた女神を、「スマホで見づらいから」で引退させるのは悲しい。
それにしても一つ気になったのは、ストラップラインを「Global Drinks Education」にしておきながら、略称はWSETのままだということ。Wine & Spirit Education Trustの頭文字がWSETなのだから、本気で脱ワインを掲げるならGDEではないのか。ロゴは変えるが名前は変えないという、イギリスらしさ。