自己統合風邪の症状一覧|誤診と再発の記録
自分を知りたい。
人類の永遠のテーマなのかもしれない。
自己分析。
心理学。
哲学。
スピリチュアル。
AIとの対話。
入口は人それぞれだ。
ただ、その途中で奇妙な症状が現れることがある。
最初は軽い違和感から始まる。
本記事では、
自己統合風邪の代表的な症状と、
ありがちな誤診についてまとめておく。
フェーズ1|ひき始め期
状態
正解を探している
評価を気にする
普通を基準にする
幸せ認定シールを集める
罹患率
非常に高い
主な症状
比較
劣等感
承認欲求
自己否定
ありがちな誤診
「向上心が高い」
長引く理由
社会全体が同じ症状なので気づきにくい。
本人も周囲も、
むしろ健康だと思っている。
フェーズ2|なんだかな~期
状態
なんか苦しい
なんか違う
成功しても満たされない
謎の生きづらさ
罹患率
高め
よくある症状
転職
昇進
独立
社会的成功
離婚
迷走
ありがちな誤診
「気のせい」
長引く理由
違和感を消そうとするから。
本来は見るものなのに、
答えを探し続ける。
フェーズ3|悟り潜伏期
状態
本音を認める
自分の見え方を認める
嫌われる可能性も引き受ける
罹患率
普通
よくある症状
発信が尖る
人間関係が変わる
一部から嫌われる
人生のハンドルを握り始める
併発しやすい症状①|達観ごっこ
「私はもう感情に振り回されていない」
と言い始める。
その瞬間、
普通に振り回される。
ありがちな誤診
「私は分かった側である」
長引く理由
少し見えるようになった時期が、
一番見えている気がするから。
併発しやすい症状②|悟りごっこ
突然、
人類について語り始める。
「結局、人間って──」
が増える。
本人は本気である。
ありがちな誤診
「悟った」
長引く理由
気持ちいいから。
悟りに完治したと思いやすい。
フェーズ4|自己もうろう期
状態
本音に気づく
欲しいものに気づく
嫌なものに気づく
罹患率
やや低め
よくある症状
自己分析
心理学
哲学
内省
本棚が急に難しくなる
併発しやすい症状|知性の渇望
世界の仕組みも、
人の心も、
構造も見えている。
それでも満たされない。
知る。
分かる。
言語化できる。
しかし、
体験として通っていない。
ありがちな誤診
「もっと学べば進める」
「本当の自分が見つかれば終わる」
長引く理由
足りないのが知識ではないから。
理解することと、
生きることは別だから。
フェーズ5|ちょ、待てよ症候群期
状態
一度決めたことを再点検する
過去の成功法則を疑う
自分の思想まで分解する
罹患率
低め
よくある症状
「待てよ」
「本当にそうか?」
「いや、違う」
副作用
永遠に完成しない
記事が増える
語録が増える
未完の創作物が増える
併発しやすい症状①|更新中毒
記事を書く。
修正する。
また修正する。
タイトルを変える。
見出しを変える。
分類を変える。
シリーズにする。
シリーズをやめる。
ありがちな誤診
「まだ足りない」
長引く理由
更新が気持ちいいから。
更新そのものが目的になる。
併発しやすい症状②|永久工事現場化
基礎工事をしている。
と思ったら、
基礎の考え方を見直し始める。
そのための基礎工事が始まる。
本人は前進している。
しかし外から見ると、
ずっと工事中に見えることがある。
ありがちな誤診
「完成していないから価値がない」
長引く理由
世の中は完成品を評価するから。
工事中の価値は見えにくい。
フェーズ6|出ちゃう期
状態
まだ見える
まだ考えられる
それでも
「現時点ではここまで」
と言う
罹患率
かなり低め
よくある症状
一旦出す
一旦決める
一旦応募する
一旦封をする
副作用
もっと良くできた気がする
後から追記したくなる
併発しやすい症状|封筒に封をする恐怖
本当は出せる。
本当は完成している。
本当は応募できる。
しかし、
「あと一枚入るかもしれない」
が発生する。
原因は失敗への恐怖ではない。
可能性の終了への恐怖である。
ありがちな誤診
「まだ出す段階ではない」
長引く理由
まだ入る気がするから。
完成と固定を混同する。
可能性への未練。
一部の発症者には、
封筒を閉じる代わりに郵便局を作り始めるケースが確認されている。
フェーズ7|完治勘違い期
状態
自分を否定しない
過去の自分もなかったことにしない
でも、更新も止めない
罹患率
症例数不足のため調査中
よくある症状
しらんけど
現時点では
また変わるかも
副作用
答えを求める人をイラつかせる
ありがちな誤診
「完治した」
「もう疑わなくていい」
長引く理由
長引かない。
すぐ再発する。
備考
容体が安定することはない。
常に緊急治療室との隣りあわせである。
「もう探さなくていいかもしれない」
と思う。
夜には探している。
予断は許されない。
総評
どんなにフェーズが上がっていようとも、
瞬間的にフェーズが戻る症例は多数報告されている。
しかしながら、
フェーズを飛ばし、フェーズ7に至ったという症例は今のところ報告されていない。
なお、フェーズ5以降の発症者は、自分が罹患していることに気づいていない場合がある。
また、自覚していてもやめる気がない場合がある。
「もう疲れた」
と言いながら、
次の瞬間には勝手になにやらやっている。
本報告におけるフェーズは直線的な進行を保証するものではない。
複数のフェーズが同時に観察される症例も多い。
仕事ではフェーズ1、
創作ではフェーズ6、
恋愛ではフェーズ2、
SNSではフェーズ4、
など、
分野ごとに異なるフェーズが発症している場合もある。
自己統合風邪は完治しない。
症状が軽くなることはある。
付き合い方が上手になることもある。
しかし、
「待てよ」
による再発リスクは生涯残る。
民間療法として「だしちゃえ★」が報告されているが、
効果には個人差がある。
また、
自己統合風邪のワクチンの開発は、
なぜか試みようとする者はいない。
