【ファジサポ日誌】169.第4回川鉄ダービー ~第24節 ファジアーノ岡山 vs ヴィッセル神戸 マッチレビュー ~
ホームでの川鉄ダービーを前にして、筆者が知りたかったことをほぼ全て書いてくださっている神戸サポさんのブログを見つけることが出来たので、今回の対戦を機にご紹介させていただきたい。
なお、ブログ主様によるとご自身のご記憶での範囲で綴ってらっしゃるとのことである。
(記事内には1993年天皇杯で奮闘する川鉄の動画が残されている。当時は川鉄にも助っ人外国籍選手がいたとは知らなかった。ロングボールのセカンドを拾って、ショートカウンターに繋げる攻撃スタイルは奇しくも今夜の両チームを想起させるものがあった。同志社戦では後に福岡や京都で活躍した西田吉洋が、そして横浜マリノス戦では水沼パパやビスコンティが川鉄からゴールを決めている。そして川鉄には木下桂選手というストライカーがいたことも知った。発見だらけである。)
こちらの記事が5年ほど前に書かれていたことに価値があると思った。
「中国ダービー」からの連戦となるファジアーノ岡山にとって、ダービーの縁を改めて考えた時に「川鉄」を母体にしていることの中身をもっと知りたいと思っていたのである。
1995年から30年、阪神・淡路大震災を経て日本社会は大きく変容した。1995年はボランティア元年と呼ばれる。震災ボランティアが果たした役割を踏まえて、その後NPO法等のボランティア法制が整備され、日本における非営利活動や社会貢献活動の基盤が構築された。
Jリーグの発展が多くのボランティアによって支えられてきたことも無関係ではないだろう。
一方で、この30年はバブル崩壊による就職氷河期世代を生み出し、リーマンショックも経験した時代である。大企業も再編を余儀なくされた。そもそも川崎製鉄も押し迫るグローバル化に対応し、2003年に日本鋼管と合併、JFEスチールとなった。
日本中のサッカークラブが日本経済衰退、低迷の中でもがいた。
神戸はもがきながらも、新たな経営母体を手にしトップクラブを目指した。岡山は苦しいクラブ草創期を乗り越え、市民クラブとして飛躍の時を待ち続けた。
上手く述べられないが、ヴィッセル神戸、ファジアーノ岡山が誕生、成長してきた歴史には数奇な運命の末の交差駅がいくつかあり、交わってはまた離れていく、行先は同じだが経由する路線が異なる2本の長距離列車のようにも感じるのだ。
その交差駅のひとつがJ2時代2013シーズンのダービーであり、それ以来の再開が今シーズンである。途中停車駅を経て、神戸、岡山それぞれの列車の乗客は乗り替わったが、列車は各々一本の線路を走り続けてきた。
これからの岡山は、神戸と同じ線路を走りたい、後続列車でも良いので同じ線路を走り続けたい。
そのためにも今回は勝ちたい、いや神戸の現在の強さを踏まえた上で何とかしてほしいと個人的には感じていた。
振り返ります。
1.試合結果&メンバー
残念ながら1ー2で連敗を喫しました。
岡山は最終的に12位にランクダウンしました。同日に横浜F・マリノスが名古屋グランパスに3-0と完勝、勝点を21に伸ばして18位に浮上しました。
これにより、いわゆる降格圏との勝点差は9、ちょうど3勝差となりました。J1はここでお盆ウィークまでお休みとなりますが、岡山の今後の対戦相手を踏まえても、やはり簡単な戦いにならないことが予想されます。
この先の道は険しいと述べても言い過ぎではないでしょう。
次戦(G大阪戦)までにチームの更なる進化に期待したいと思います。
神戸はこの勝利により待望の首位に浮上しました。
客観的にみて最近対戦した相手の中では最も強かったと思います。
妥当な順位といえるでしょう。
一方で、この試合のスタッツのみを見ると接戦であったかのように錯覚してしまうのですが、実際には完敗であったといえます。
その点を中心にレビューでは触れていくことになります。
メンバーです。

岡山のスタメンは2週間前の広島戦と同様なのですが、レフティの(14)田部井涼、(43)鈴木喜丈といった主力がサブにも入れない現状が続きます。やはり長期離脱と捉えるべきなのかもしれません。
一方でベンチメンバーに広島戦を欠場していたCF(22)一美和成が戻ってきました。更に先日アルビレックス新潟から加入したCH(41)宮本英治が早速ベンチ入りします。MF(45)ブラウンノア賢信はリーグ戦5試合ぶりのメンバーインです。攻撃型の選手を多数揃えるベンチ構成となりました。
なお、MF(26)本山遥は神戸からのレンタル移籍ということもあり、この試合には出場出来ません。
神戸のメンバーには今回も残念ながらCF(10)大迫勇也の名がありません。リーグ戦は5/31の第19節柏戦を最後に欠場が続いています。
来シーズンこそは(10)大迫とも対戦したいですね。
2.レビュー
岡山も神戸も自陣でボールは持たず、相手コートでのプレーを重視するという似たようなコンセプトのサッカーをしています。
ということは、戦力面での差が試合内容に如実に出る可能性は、前回ダービーの内容(●0-2)や現在神戸が好調なことを踏まえても十分予想されたことで、岡山としては自分たちのサッカーが通用しなかった時に如何なる戦法をとるかも注目ポイントでした。
岡山としては神戸に押し込まれる想定はあったと思いますが、前半20分までの序盤の岡山はセットプレー対応も含めて、自陣に張りつく状況が続きます。想定以上に押し込まれいたのではないでしょうか。
その最大の要因が中盤でセカンドボールを回収できなかったことにあります。

例えばGK(49)スベンド・ブローダーセンのからのゴールキックや最終ラインからのロングボールを岡山前線のCF(99)ルカオやRST(27)木村太哉が神戸最終ラインと競った際の落としや、こぼれ球の回収ゾーンを黄色網掛け部分とした時に、神戸はこの回収ゾーンで構える、進入する人数を十分に確保出来ていました。
これはフォーメーション上、岡山がダブルボランチで中盤中央を構成するのに対して、神戸はアンカーと両IHの3人で予め回収にあたれる点と、CF(13)佐々木大樹やシャドーの(27)エリキ、(23)広瀬陸斗が頻繁に中盤に下りることで回収役や回収選手のサポートに入っていたことによるものです。

神戸の中盤に最初から3枚を揃えられる布陣は、最終ラインを(4)山川哲史と(3)マテウス・トゥーレルの2人で十分に守れるメリットといえます。つまり3CBを組まなくてもよいので、その分中盤に人数を割けるのです。

2CBでありながら、これだけ前に出られる。
これに対して、岡山は(24)藤田息吹と(33)神谷優太の両ボランチをLST(8)江坂任が下り気味にサポート、LWB(39)佐藤龍之介も外に張るばかりではなく、中のサポートにも入りますが、それでも神戸のセカンド回収に懸ける人数と圧力は、そこが生命線と言わんばかりの迫力があり、完全に岡山を上回ります。

効果的にボールを持てなかった。
セカンドボールの回収と言えば、岡山では本来(24)藤田の真骨頂でもあるのですが、神戸は敢えてこの(24)藤田に直接的にボールを集めてフィジカル勝負に持ち込んでいるようにも見えました。
つまり、(24)藤田をこぼれ球の回収役に当たらせない意図を持ったボール運びをしているように見えたのです。
これは、度々当レビューでも触れている相手の岡山対策といえます。
この序盤の時間帯、ボランチの相方(33)神谷がほぼ消えていた一因でもあったと思います。
(※J1の今シーズンここまでのセカンドボール回収率。J1初挑戦の岡山は6位と健闘しているが、神戸は更にそれを上回る1位である。なお、この試合でのこぼれ球奪取数は岡山32本に対して、神戸は48本を数えた。)
こうした中盤中央での劣勢に対抗して、岡山はサイドへのボール運びも試みていました。岡山は、他の試合も含めて各選手の技量のみではなかなかアタッキングゾーンへの一気の進入が難しいものの、攻撃が上手くいっている試合では相手コートでスローインを獲得しながら少しずつ前進することが出来ています。
ところがこの試合では、スローインも十分に獲得出来ませんでした。この点も攻撃面では非常に痛かっですし、神戸もスローインをマイボールにすることにこだわっていたように見えました。こうしたちょっとしたところにも神戸の分析力が見えてきます。
なかなかボールに触れない(33)神谷は22分、神戸(13)佐々木に対して激しいタックルからボールを奪おうと試みますが、このプレーで警告を受けてしまいます。(33)神谷にしては珍しい強引なプレーであったと思います。それだけボールに触れていなかったという現れであったのでしょう。
ロングボールによる運び、また自陣で多少持ち運んでからの裏狙いのフィードも不発が続く岡山は24分、自陣から(8)江坂を使ったビルドアップによる前進を試みますが、これも神戸のプレス網にあっさりと引っ掛かってしまいます。
神戸は試合全体を通じて(8)江坂を厳しくマークします。岡山が繋いできた際には必ず(8)江坂を経由するものと読み、彼にボールが入ったところでチャレンジする約束事があったかのように見えました。
このビルドアップからの前進は広島戦以降の2週間でチームが用意していたものと想像します。もしそうなら、ほぼ通用しなかった点はチームにとってショックであったかもしれません。
地上戦でも後手を踏む岡山は、神戸に低い位置でパスを奪われ、頻繁にショートカウンターに持ち込まれます。
(※この試合全体での岡山のボールロスト位置。前述したセカンドボールの回収が上手くいかなかったことがわかるハーフウェイからやや敵陣よりのエリア、そして自陣ハーフウェイ付近手前のエリアが多くなっている。これはビルドアップが上手くいかなかったことを示している。そしてもう一つ理由があったと思われるが、その点は後ほど述べたい。)
劣勢の岡山であったと思いますが、前半をスコアレスで折り返すことが出来れば、ベンチメンバーを踏まえても後半に勝機を見出せる可能性はあったと思います。しかし、神戸に岡山の希望的観測を許す甘さはありませんでした。
酒井選手が右からカットインして放った強烈なシュートはGKに防がれるが、それをエリキ選手が逃さず押し込む!
— ヴィッセル神戸 (@visselkobe) July 20, 2025
ハイライトは @DAZN_JPN 📽️
登録は⏩https://t.co/BsONru3yLy#visselkobe #ヴィッセル神戸 #岡山神戸 pic.twitter.com/hb4G6G10cw
岡山LWB(39)佐藤龍之介に繋がれば岡山のチャンスにというボールを神戸アンカー(6)扇原貴宏が難なく回収、この時点でRSB(24)酒井高徳が既に高い位置まで上がっており、ドリブルから前進、クロスフェイントを入れて岡山(33)神谷を外し、下りてきた(13)佐々木へ。ここで(13)佐々木がタメをつくり岡山DFを引きつけシュートコースをつくったプレーが大きかったと思います。この間に(24)酒井が回り込み、シュート、(49)ブローダーセンが弾いたこぼれ球にきっちりゴール前へと顔を出していた(27)エリキが反応しました。
この(24)酒井が回り込むプレーもいやらしいと感じました。岡山の選手の視野から一瞬消えていたと思います。
この間、神戸の各選手の動きは一切止まっていないですし、次の局面、スペースへ移動する時間を(13)佐々木が上手くつくっています。一言で述べるなら、ゴール前の質の高さが詰まったゴールであったといえます。
冒頭で(10)大迫がいないことが残念と述べましたが、アウェイでの前回対戦も含めて、被決定機ではこの(13)佐々木の献身的なプレーにやられているという印象は強く残りました。若いのに味がある、個人的に好みのプレーヤーです。




レビュー冒頭で岡山も神戸もコンセプトは同じと述べましたが、やはりアタッキングゾーンに入ってからの崩しのアイデアやスピード、決定力に関しては雲泥の差があると改めて感じました。これは認めざるを得ません。
岡山としてはロングボールによる前進が容易ではなかったことから、繋ぎによる前進を図った訳ですが、それも低い位置で遮断されカウンターを受けててしまう。そこでということではなかったのかもしれませんが、38分に(33)神谷に代えて新加入(41)宮本を早くも投入します。
24分に(33)神谷が警告を受けており、その後も守備対応で「あやしい」場面があったことから退場のリスクを考えたこと、20分以降、岡山が繋ぎだしてからもなかなかその存在感を示せずにいたことを踏まえての交代であったと思います。
(41)宮本に長い時間出場出来る目処が立っていたことも大きかったと思われますが、前半のうちの交代に踏み切ったことについては、木山監督の危機感の現れであったと思います。
その(41)宮本ですが、前半から神戸にプレッシャーを掛けられる局面で臆せずボールを触っていたと思いました。彼が一度パスを受けてくれることで周囲の選手も少しずつリズムを取り戻しつつはありました。
前半終了のホイッスルと同時に何となくスタンドのあちらこちらから感嘆の声が漏れていたように感じました。神戸の強さに圧倒された前半でした。

プレッシャーを受けながら単独で受けて出すことが出来る。
終盤、ワンボランチにシステムを変更できた要因には
彼の安定したプレーぶりがあったといえる。
その神戸の強さの重要な部分のもう一つが、各選手の切り替えの速さです。例えば前述した(8)江坂がボールを受ける際なのですが、彼にパスが出され反転して前を向く間に、神戸のRIH(7)井手口陽介や(6)扇原は素早く(8)江坂の前方にポジションを移動しています。
こうした切り替えの速さ、まさにハイインテンシティを体現していると思いました。
これも最初に述べましたが、全体スタッツにおける岡山と神戸のスプリントの総回数、総走行距離に大きな違いはないのですが、その中身が大きく異なります。神戸はスタメンの全員が一定の回数、距離を確保出来ています。
つまり集団的にハイインテンシティを実行出来ていることがわかります。
一方、岡山もよく走れている方ですが、(39)佐藤の回数、距離が際立って目立つ内容になっています。
後半、立ち上がりの岡山は、改めて(99)ルカオを明確にターゲットにし、そのこぼれ球を縦関係になったRST(27)木村太哉がねらう形や、LCB(15)工藤孝太の中への持ち上がりなどにより攻撃圧力を高めようとしますが、いずれもアタッキングサードに有効に進入できません。
48分には左サイドでCB(18)田上大地から縦に(41)宮本を経由して(8)江坂に繋ごうとしますが、このパスを(24)酒井にカットされ、中央、左サイドとあっという間に展開され(23)広瀬のシュートに繋ぎます。クロスバーに救われましたが、やはり後半も神戸攻勢の展開は変わりません。
何とか失点を逃れた岡山は、やはり原点回帰とばかりに(99)ルカオにボールを集めますが、ただ中央で構えるのではなく、特に左サイドに流れることで(39)佐藤とのコンビで前進、ここに後方の(15)工藤や(8)江坂、更に(41)宮本が絡むことで劣勢を打開しようとします。

(※前後半の(99)ルカオと(39)佐藤の距離感、位置関係の違いに注目していただきたい。)
特に(39)佐藤は岡山ボールを自陣で引き取ると、気迫十分に低い位置からでもドリブルで持ち運ぼうとしていました。彼の走行距離、スプリント数が岡山の中でも群を抜いた理由です。同時に神戸の激しいマークにも合っていました。
先に提示したボールロスト位置が左側で多くなっている理由の一つです。
それだけ(39)佐藤は神戸の守備網にチャレンジしていた証でもあるのです。

後半も(39)佐藤と(24)酒井のマッチアップは迫力十分でしたが、(24)酒井の巧さは状況的に抜けないとみるや、すぐさま中央を経由して逆サイドに展開できる点でした。
53分のLST(9)宮代大聖の決定的なシュートも、そのプロセスは(23)広瀬の決定機に至ったプロセスと同様で、(24)酒井から中央の(3)トゥーレルを経由して大外を駆け上がったLSB(41)永戸勝也からのクロスに反応したものでした。
神戸に一瞬で勝負を決められてしまいそうな悪い気配を感じながらも、前半と比べると岡山は落ち着いてボールを動かすことが出来ていました。
その要因がまさに(41)宮本であったと思います。
いわき時代の2023シーズンにこのJスタ(当時はCスタ)でゴールを決められましたが、当時は縦に速い選手、ボックストゥボックスタイプの選手という印象のみが個人的に残っていました。
しかし、この試合では非常にボランチらしいボランチと形容したい動きを見せてくれました。
まずフリーランが二手先を読むような動きなので、いわゆる無駄走りがなく、味方がボールを持った際にすぐに受けられる態勢が整っています。
これが岡山の最終ラインからのビルドアップを可能にしていました。
そして、相手守備者に囲まれる、または背負った状態でも臆することなく受けられる、更にはダイレクトでパスを出すことで(39)佐藤らの前進をスムーズにする、そして縦に入れられないと判断した時は躊躇せずにサイドへ展開する。このように書いただけでも「ダイナモ」という言葉がぴったりと当てはまるようなプレーぶりです。
今シーズンの新潟では苦渋を舐めていたようですが、彼のプレーの幅の広さは間違いなく新潟で培われたものと推察します。
この補強は今後の岡山の戦いにおいて大きな意味を持つのかもしれません。
筆者はチーム全体を変えられる選手というインパクト受けました。
勝負の分かれ目は62~63分の両チームの攻撃にあったと思います。
62分、岡山は(27)木村が競り勝ったこぼれ球を縦関係になっていた(99)ルカオが収めてRWB(88)柳貴博に展開、後方に位置していた(8)江坂へパス、(8)江坂がボックス内に走り込んだ(27)木村を目がけてクロスを上げます。(27)木村は(24)酒井と競り、ボールには合わせられませんでしたが、こぼれ球を(39)佐藤がマイボールにしたため、岡山に二次攻撃のチャンスが残される筈でした。

このチャンスは何とか形にしたかった。
しかし、(24)酒井に対する(27)木村のファールを取られ神戸ボールに代わります。非常にもったいないファールでした。
スロー映像をみますと、確かに(27)木村の両手が(24)酒井をプッシュしているように見えます。
最近、少し気になっていますのが、この試合もそうでしたが、岡山の攻撃局面でのオフェンスファールの多さです。
大体が手を使ったことによるファールが多いのですが、これはJ2の頃からの悪癖といえます。
J1においては、ただでさえチャンスが多くないチームです。
この点はもう少しチームとしても選手個人としても問題視、課題視してほしいと思います。
一方でその直後の神戸の追加点は見事でした。
E-1選手権メンバーの #宮代大聖 が右足一閃⚽️
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) July 20, 2025
🎦 ゴール動画
🏆 明治安田J1リーグ 第24節
🆚 岡山vs神戸
🔢 0-2
⌚️ 64分
⚽️ 宮代 大聖(神戸)#Jリーグ pic.twitter.com/kifAVxxudq
実況の江本一真アナの投稿では「翼くんと岬くんに」例えられていましたが、スローインを受けた(9)宮代と(13)佐々木の目が合った瞬間に一気のペースアップ、(9)宮代の瞬発的なスピードに(24)藤田が全くついていけませんでした。
(13)佐々木が潰れ役となる構図は先制点と同様ですが、これで獲り切ってしまうのが今の神戸の強さといえます。
チーム全員がどのようにアタッキングゾーンに進入するのか共通認識はあると思いますが、個の関係性においてゴールを奪えてしまう。
今シーズンの岡山にはまだそうしたコンビがいないので、少し羨ましい追加点でした。
岡山が惜しまれるのは、既に交代準備に入っていたことです。
出来れば1点差でスイッチしたいところでした。
岡山は(27)木村から(98)ウェリック・ポポ、(88)柳(貴)から(28)松本昌也にスイッチします。
この交代に伴い(99)ルカオと(98)ポポの2トップ、(8)江坂をトップ下に配置する3-4-1-2にフォーメーションは変わります。

良いねらいであったと思います。
2トップにしたことで、懸念であった(98)ポポの守備負担が軽くなる、そして(8)江坂が前に出ることで決定機により関与しやすくなる。更に(8)江坂の脇にスペースが出来ることで、ここにボランチやWBが入っていきやすくなるという効果があったと思います。
結論から述べれば、岡山が最終盤に1点を返せたのはこのタイミングで(8)江坂を前に出せれたからであると考えます。
正直なところ、2点差がついてからの神戸は余裕が出たせいもあるのか、少し圧を緩めてくれたところはあったと思います。それでも82分にはオフサイドにはなりましたが、途中出場CF(29)小松蓮にあわや3失点目となる豪快なシュートを叩きこまれた訳ですから、やはり神戸の攻撃局面での瞬間的な決定力には畏怖さへ感じるのです。
岡山は更に不動のボランチ(24)藤田に代えてCF(22)一美、(99)ルカオに代えて(45)ブラウンを投入。(22)一美、(98)ポポの2トップに(39)佐藤を右シャドーに入れて(8)江坂と並べ、(45)ブラウンをLWBへ、(41)宮本のワンボランチという3-3-2-2の攻撃的布陣に変更します。2点差でしたが、ゴールを奪うことにこだわってきました。
この岡山の攻撃的布陣に対する神戸2CBの対応が見事で(22)一美の前進に対しては(3)トゥーレルがそのフィジカルを活かして外へ追いやることを徹底していました。一方でこれまでの3戦と比べると最も高い位置、そしてゴールに近いところでプレーしていたと思います。もっと自らシュートを撃っても良さそうにも思えましたが、やはり彼は密集を細かくショートパスやドリブルで抜いていくのが好きなブラジル人らしい選手であると、改めて思いました。(98)ポポに関しては一歩前進と筆者は捉えます。
LWBで起用された(45)ブラウンは攻撃面よりは守備面でフィジカルを活かした対応が目立っており、岡山の神戸陣内での攻撃継続に貢献していたと思います。徳島ではWBでも積極的に起用されていましたが、これだけ守備が出来るのであれば、左サイドに起点をつくる効果からも今後のWBでの起用も面白いと思いました。
こうした執念がゲーム最終盤、岡山にゴールをもたらします。
🎦 ゴール動画
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) July 20, 2025
🏆 明治安田J1リーグ 第24節
🆚 岡山vs神戸
🔢 1-2
⌚️ 90+5分
⚽️ 江坂 任(岡山)#Jリーグ pic.twitter.com/8PBwz1bGJF
(45)ブラウンが中に入り、(98)ポポが外に流れて受けたタイミングで(15)工藤が前進。(98)ポポからのパスをダイレクトで上げた分、(8)江坂が先に触ることが出来ました。クロスの質が(15)工藤の課題になっていましたが、この場面ではニアに飛び込む(8)江坂の意図を読んだ上質なクロスを上げたといえます。また、(8)江坂もアウェイでの対戦の際には神戸GK(1)前川黛也に決定的なヘディングシュートを一本止められていましたから、お返しの意味も持つゴールであったと思います。

3.まとめ
以上、神戸戦をまとめました。
試合後、(8)江坂は最終盤のような攻撃を最初からしたいと述べました。
サッカーを観ている者であれば、よく聞く類のコメントであり、その最終盤の反撃を90分行えないことにサッカーの難しさがある訳ですが、そんなことは百も承知している筈のプロサッカー選手、ましてや(8)江坂のような経験豊富な選手がこうしたコメントを残すことに意味があったと思います。
繰り返しになりますが、この1点を奪えた大きな要因には(8)江坂を高い位置に置くシステム変更があったと筆者は考えています。
岡山3-4-2-1における(8)江坂の立ち位置は前方にスペースと人を残すゲームメーカー的な位置にありますが、この位置であると敵陣でゲームメイクは出来ますが、決定機に絡みにくいという欠点もあります。
またシャドーとトップの関係性による崩しも少なくなる面はあり、今の岡山の攻撃をみていると前線1トップ+2シャドーにしている意義はあまり感じられないように思えます。
そこで、最初から(8)江坂をトップ下に置く3-4-1-2にシステムを変更する余地は今後の戦いにおいて残されていると筆者は考えます。
もちろん(8)江坂へのマークはきつくなる訳ですが、その分、相手ボランチを下げさせることも可能になりますし、彼の両サイドのスペースが使えるという利点も出てきます。
また中盤のゲームメイクに関しては(8)江坂とは異なった意味にはなりますが(41)宮本が担える部分はかなりあるのではないかとも思いました。
木山監督の傾向を考えると、完全に息詰まらない限りはシーズン途中で基本システムを大きく変えることは考えにくいのですが、今回の対戦相手が神戸であったことを割り引いて、現状のチームをどのように評価するのか、その評価により変化の必要性を認めるのか、ここは今後の大きなポイントになると考えます。筆者は(8)江坂を前に出す布陣に変えるべきと考えます。
また、試合全体を振り返ると神戸の選手の前進に狭いスペースでドリブルが多用されていることも目を惹きました。現状の岡山ではそれが出来るのが(39)佐藤のみというのが大きな差になっていたとは感じました。
神戸の中盤より前の選手は全員が一定の推進力を持っています。
(26)本山も守備への切り替えに関しては鋭さを持っていますが、おそらく攻撃力の面では現在の神戸スタメン陣には歯が立たなかったのかもしれません。
更には(13)佐々木にしても(4)山川にしても下部組織出身の選手です。神戸に潤沢な資金があることは言わずもがなですが、単に大型補強のみに頼っている訳でもなく、アカデミーにしっかり投資をしている様子が伝わってきます。岡山もアカデミーの整備という点では少しずつ成果が出始めています。近い将来に期待したいですね。
今回もお読みいただき、ありがとうございました!
※敬称略
【自己紹介】
雉球応援人(きじたまおうえんびと)
J1ファジアーノ岡山、J3ギラヴァンツ北九州レビュアー
レビュー作成が趣味を超えてライフワークになりつつある。
昨シーズンは岡山悲願のJ1初昇格のゲームを記すことが出来た。
今シーズンも初のJ1の舞台となる岡山、念願のJ2復帰へ向けて勝負に撃って出る北九州の戦いぶりを追っていく。
日々勉強、分析、解析、解釈、更に磨いていきたい。
岡山在住の開業社労士。今年も日常に追われる。
鉄道ファンでもあるが、最近は鉄分不足が続く。
