【ファジサポ日誌】216.若雉たちの挑戦~U-21リーグ第1節 ファジアーノ岡山U-21 vs ガンバ大阪U-21 マッチレビュー~
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トップ画像は笠岡ベイファームの向日葵です。
改めてU-21Jリーグの意義を確認した。
出場機会が限られる19~21歳の若手選手の出場機会確保が大きな目的であるが、これも単なる試合設定ということではなく、①年間を通して90分フル出場できる機会、②試合→休息→トレーニング→試合のサイクルの提供、③観られている状況での真剣勝負という具体的な環境設定が想定されている。
一方で、リーグ戦維持の観点(選手不足の防止)から19歳~21歳に限らず、様々な属性の選手たちの出場機会が認められている。
OA(オーバーエイジ)枠は、年齢制限なしのOAとU-24OAの2種類が設けられた。
① 推薦基準 OA3名まで+U-24OA4名まで
② 必須基準 OA6名まで+U-24OA4名まで
(※推薦基準に満たない試合においては、U-21選手の先発出場4名を義務化する)
もうこの辺りからややこしくなる訳であるが、推薦基準を満たせないケース、例えばOAが4名以上となった場合は、U-21選手を4名以上先発させなくてはならない。リーグの本来の趣旨に沿ったルールということになる。
そしてこのU-21という設定がミソである。リーグの意義は19~21歳の出場機会確保であるが、U-18の選手を2種登録して出場させることも認められている。プレミアリーグなどの育成年代のリーグ戦が設定されない時期には、彼らを出場させることが可能な点も大きな特長である。なお、外国籍選手枠は3名である。
リーグ戦は東西に分かれて行われる。
WESTリーグは岡山を含めて5チームが参加するが、それだけだとホーム&アウェイでも8試合しか設定できない。そこで、EASTリーグとの交流戦6試合を加え、計14試合が予定されている。
大会の趣旨は素晴らしいものであるが、例外ルールが多いことからも、スタートする前からリーグの形骸化を心配する声もあった。
さて、ファジアーノ岡山U-21、若雉たちの初戦はどうだったのであろうか。
1.試合結果&メンバー
ファジアーノ岡山U-21ホームゲームの会場は、岡山県内の各地に設定されている。開幕節の笠岡陸上競技場ではこの試合を含めて2試合、総社、美作、津山での試合が現在予定されている。
トップチームのホーム、JFE晴れの国スタジアムが過密であることも影響していると思われる。全県をホームタウンとしていることからも県内各地のサポーターに試合を観てもらいたいという積極的な意図もあるものと解釈している。なお、観戦は無料である。開催コストを踏まえても、非常にありがたい取り組みであるが、クラブとしては地元住民にも気軽に観戦してもらうことにより、ファン層、サポーター層の拡大も視野に入れいるものと推察する。
また、DAZNにより実況中継が各試合に設定されていることも大きな取り組みと言える。そのおかげでこのレビューも作成できる訳であるが、岡山の以外の試合も積極的に視聴したいと思う。
さて、試合結果であるが前後半、岡山が終始優勢であったが、ゴール前を崩すことが出来ず、逆に後半G大阪にカウンターを決められ0-1で敗れた。アクセス面では決して好立地とは言えない笠岡陸上競技場に1,746人の観衆を集めた。
応援団体はトップチームと変わらない応援を声明し、前日のトップチームのゲームを担当したスタジアムDJがコール、観られている状況での真剣勝負という点では素晴らしいゲーム環境であったと言えよう。
スタンドには木山監督や大槻コーチも訪れていたという。
トップチームと重ならない日程を設定することの重要性も感じた。

岡山が3-4-2-1、G大阪が4-2-3-1、共にトップチームと同様のフォーメーションを採用していた。
両チームのメンバーに関しては、やはり年齢構成から注目していきたい。
DAZNのメンバー紹介では各選手の年齢も表示してくれる。
9月に19歳になるRCB(3)千田を加えると、岡山の19~21歳の選手はGK(13)松田、CB(15)藤井、LCB(5)池戸、RWB(4)森、LST(10)末宗の計6名となった。
OA枠はこの試合が8ヶ月ぶりの実戦復帰となったCH(7)田部井の1名のみ、後はサブも含めてU-18組で構成された。
8/26(水)に天皇杯初戦(2回戦)を控えている影響によりOA枠は積極的に使わなかったと考えられる。また、現在U-18プレミアリーグのサマーブレイク期間にあたっている影響から2種登録選手も積極的に起用してきた岡山であるが、当初のリーグの目的に沿った選手起用は行えていたのではないだろうか。
GK(13)松田はJ1開幕戦でデビュー済、2失点を喫したが落ち着いたプレースタイルが目を引いた。前日の東京V戦も含めて3試合連続でメンバーインしている。最終ラインはレフティ(15)藤井が中央CBを務める。彼も長期にわたるリハビリを経て、先日のトレマで復帰を果たしたばかりである。LCBの池戸はJ1第2節の長崎戦の終盤にデビューした。
RWBの新加入(4)森も前日の東京V戦で岡山初出場を果たしたばかりである。ここにブラジル短期留学帰りのホープ(3)千田や(10)末宗、U-18からは技術に定評があるCH(44)松本、J2藤枝やJ3愛媛でプレーする兄を持つことでも注目されるLWB(32)行友、そして香川の至宝U-18のエースCF(31)安西、積極的な仕掛けが光るRST(21)岡崎が先発した。
非常に面白いメンバーであったと言える。
G大阪は、12月に19歳になるCF(37)中積と、U-23アジアカップ代表GK(18)荒木に匹敵するポテンシャルと評判のGK(31)張の2名が19~21歳、OA枠で実績十分のCB(2)福岡とCH(16)鈴木を起用、U-24OA枠で大卒ルーキーLSB(32)吉原を起用、他のメンバーはU-18組、つまりプレミア組で堅めてきた。
(37)中積は前日のアウェイ名古屋戦でJ1デビューを果たしていた。
豊田から笠岡まで移動してきたことになる。
選手の背番号であるが、岡山はトップで14番を付ける田部井が7番を付けるなどの変動があった。一方、G大阪はトップチームと連動した通し番号と推察する。2種登録の選手たちは揃って重い番号を付けていた。こうした違いも面白い点である。
2.レビュー
(1)前半
連戦の選手や負傷明けの選手もいる中、両チームの選手のコンディションの良さを感じた。中盤でのセカンドボール争いから、岡山は(7)田部井を中心にキープ、左サイドに張る(10)末宗へ展開し起点をつくることで(32)行友や後方の(5)池戸が攻撃参加、トップチーム同様に左から盛んにチャンスメイクする。
ただ、右で仕留める力はトップチームのそれにはまだまだ及ばない。
2分、(7)田部井の左のクロスのこぼれ球に(10)末宗が詰めた決定機や、30分(32)行友の猛プレスから左に展開、クロスに右シャドーの(21)岡崎が入りスルーした場面など惜しいシーンは複数作れていたが、ゴールへ詰める鋭さやパワーに欠けたと言って良い。
岡山の場合、この仕留める役割として右WBの役割が特に重要になるのであるが、30分まで出場した(4)森についてはそうした戦術面の浸透がこれからという印象は残った。おそらく天皇杯での出場も予想されることから引き続き注目したい。また(4)森に代わって登場した(42)森光は後半も含めて、攻守にアグレッシブなプレーが光ったが、決めるところまではなかなか顔を出せなかった。U-18のメンバーに関しては、筆者が見たプレミアの試合では4-1-2ー3を導入しており、3-1-4-2のWBの役割をこなすだけでも大変であったと思う。この点もこれからの伸びしろになるのだろう。
守備に関して、前線3枚とWBを中心としたハイプレスはG大阪のビルドアップの出口を失わせる程、機能していた。更に素晴らしかったのは後方のスライドやG大阪が蹴ったボールに対する回収も非常にスムーズであったことである。蹴らされる、蹴っても蹴っても回収される、良い時のトップチームが見せる「ゾーン」を再現していたと言える。
G大阪は、序盤はロングボールからのセカンド回収、一度サイドに当てて中央に戻し(16)鈴木の推進力を使って前進を図っていたが、ビルドアップを岡山に完全に嵌められて自陣からの脱出が容易ではなくなっていた。
最前線の(37)中積までが最終ラインからボールを引き取ろうとした場面もあった。
しかし、ドリブルで運べる選手も多いため、一度カウンターに入ると速い。
トップ下の(61)城阪は際どいシュート2本放っていた。特に31分のミドルは枠を捉えているように見えたが、岡山GK(13)松田の高い跳躍によりセーブされる。
岡山の選手個々について触れたい。
まず(7)田部井であるが、冒頭で触れた久々の実戦復帰であった点や、この試合のメンバーとほとんど一緒に練習していないハンデはありながらも別格の動きを見せていた。特に(10)末宗や(32)行友との呼吸は抜群であったが、やはりトップチームのコンセプトに近い形で左からゲームメイクできていた。ひょっとしたら(7)田部井の動きを起点にトップチームの再現に至ったのかもしれないが、初めてプレーする者同士とは思えない連係を見せていた。
CKについても決して悪い弾道には見えなかったが、さすがに即興で合わすのは難しかったように思える。
工藤孝太移籍後の左CB候補として、筆者が個人的に期待している(15)藤井はまず中央での出場となった。この点に関しては、何らかの育成意図を感じる。武器である左足からのロングフィードが通る機会は少なかったが、相変わらず良い弾道との印象は残った。守備面では味方がハイプレスに出た際の連動もスムーズで、ビルドアップ時にプレッシャーを掛けられた際も冷静に保持出来ていた。
しばらくは当リーグの主軸になるのかもしれないが、カップ戦も含めたアピールに期待したい。
同じくトップチームでは左CBでの起用も有り得そうな(5)池戸であるが、左肩上がりの攻撃傾向に合わせて、積極的に相手PA内に進入する動きを見せられたことは良いアピールであったと思う。21分のシュートは角度がなく外れてしまったが、良いチャレンジであった。
ボランチの(44)松本は(7)田部井とのバランスをとるプレーに終始した印象である。味方のカバーも含めて、オフザボールの動きの質の良さが目立った。敢えて今後の課題を述べるなら、相方が持った時の攻撃参加にあると思う。この点も伸びしろである。
(3)千田は終始危なげないプレーを披露、彼も前線へのフィードを武器にしていると思うが、チームが左肩上がりになった時にどのように特長を出していくのか、更なるプレーの幅の広がりに期待したい。
(2)後半
このように前半からかなり面白かったのであるが、昇降格がないことから選手が自分の良さをストレートに出していこうとする姿勢に加え、OAの選手が入ったことで彼らの高い技術との擦り合わせや即興性という面がゲームを更に面白くしているように筆者は感じている。
後半開始からG大阪は一気に4人を交代してきた。
このU-21リーグの特長の一つに交代枠が7名まで認められている点が挙げられる。サブメンバーも含めて、多くの若手の出場機会を確保することが最大の目的と考えられるが、OA枠の選手が調整目的で出場することへの配慮もあるのかもしれない。
(16)鈴木、(2)福岡、(32)吉原、(37)中積といったトップチームの選手たちが下がり、G大阪のFPは純粋にプレミアリーグを戦うメンバーとなった。
岡山のコンセプトは前半と大きくは変わらなかったと思うが、前半と比べるとレフティ(32)行友が浅い位置からクロスを上げる場面も増えていた。左サイドでの崩しに人数を掛けるよりも、(10)末宗をはじめ、ボックスの中、ゴール前に人数を掛けたいという意図はあったのかもしれない。
このクロスは、G大阪最終ラインとGKの間やファーのスペース狙った落ちてくる球質ということもあり、彼らの対応を難しくしていた。
その分、岡山としてはそのスペースに先に走り込むことが出来れば得点に繋がったかもしれないというシーンが散見された。
また(32)行友のクロスから、前半同様にCKも数多く獲得した岡山であったが、トップチームのCK時と比べると中の選手の動き出しが若干早すぎるのではないかとの印象を持った。つまりG大阪守備陣に予測されやすかったこともCKから得点が生まれなかった理由の一つと思えた。
(32)行友に限らずクロスの話を続けると、手前のDFに引っ掛かるシーンも数多く見られた。これは味方の跳躍力に合わせている雰囲気も感じ取れた。前線の若雉たちの今後の成長ポイントかもしれない。
そういう意味では(32)行友のクロスはトップチームの選手たちなら合わせられるのかもしれない、そんな想像も面白いのである。
現在のトップチームにはレフティのWBは(79)ブラウンのみであるが、彼はクロッサーではない。(おそらく藤井は最終ラインで計算されている。)
一度、トップチームでも(32)行友を見てみたいと思ったのである。
首脳陣には彼のプレーがどのように映ったのだろうか。
一方、G大阪は前半よりも明らかにビルドアップもプレースピードも上がった。おそらく普段から一緒に戦っている者同士の呼吸がそうさせたのであろう。OA枠の選手がいるから上手くいくというものでもないのである。これもサッカーの面白いところである。
岡山がチャンスを決め切れない中、55分中盤でのセカンドから裏に抜け出したG大阪(61)城阪がPA内左で切り返してシュート、G大阪がカウンターから先制した。前半も2本際どいシュートを放っていた(61)城阪の3本目の正直であった。
岡山としては痛恨の失点であった。
岡山は後半から(5)池戸と(15)藤井の位置を入れ替えていた。岡山のビルドアップに対してG大阪が岡山ボランチを監視する中、ボールを持つ(5)池戸は下りてきたシャドーの(21)岡崎へパスをつけ、そのリターンを(7)田部井が前方へ送った。
このボールが前方で収まれば、岡山のチャンスであったが、中盤に弾き返されたボールをG大阪の左シャドーが処理しようとしたところに(3)千田が食いつき、その裏を取られてしまったという構図である。
攻守のチャレンジに関しては、CBから一列飛ばしてシャドーにつけるパスや最終ラインが出来るだけ前で潰そうとするスタイルなど、やはりトップチームに倣った形であったと思う。トップチームと異なるのはシャドーのボールを受ける位置が浅い位置になってしまったことや、CBが前に出た時の寄せの甘さ(絶対に前進させないという圧)という点かもしれない。こうした点も今後のリーグ戦でどれだけ成長できるのか楽しみにしたい。
この後半の岡山の良かった点を一つ述べると、それは最後までハイプレスが衰えなかった点である。90分通しての走力、気力、この点はU-18のメンバーもかなり鍛えられていると感じた。特に前半途中から出場したRWB(42)森光の積極性は光っていたと思う。まだ2年生、これからも注目したい選手である。
3.まとめ
初のU-21リーグのレビューとなったが、まずトップチームのコンセプトを忠実に再現していた点に好感を持った。課題もトップチーム似ている点についてはご愛嬌ということにしたい。日程によってOA枠も変化し、プレミアリーグが再開すればU-18メンバーの構成も変化するかもしれないが、このチームの成長も追ってみたい、そう思わせてくれる一戦であった。
まずはこのチームで初得点を決めること、これが短期的かつ明確な目標となったことは間違いない。
今回もお読みいただきありがとうございました!
※敬称略
【自己紹介】
J1定着と総合型スポーツクラブへの成長を図る岡山、念願のJ2復帰へ向けて再チャレンジに挑む北九州の戦いぶりを追っていく。
日々勉強、分析、解析、解釈、更に磨いていきたい。
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