【ファジサポ日誌】212.堅守の維持
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いよいよ、オーストリアキャンプが始まった。
クラブ初となる海外キャンプから、クラブ、チームはどのような知見と収穫を得て岡山に帰ってくるのか今から楽しみである。
クラブとクラブに関わる様々な人々の熱意と知恵により急成長を続けるファジアーノ岡山ではあるが、経営面や取り組んでいるサッカーを踏まえると、J1に定着するための基盤は現在身につけている途上であることが読み取れてくる。
J1定着、またあってほしくはないが、仮にJ2に降格することがあっても短期間で再昇格するだけの体力を確保するのは、まだ先のことになるのではないかと予想している。
この仮定どおりであるなら、ファジアーノ岡山はこれから始まる26-27シーズンからもう2~3シーズンは何が何でもJ1にしがみつかなかればならない。
先日の新体制発表会では堅守は目的ではないとする木山隆之監督のコメントも聞くことができたのであるが、それも守備に計算が立っているからこその自信とも読み取れる。
実際、J1昇格以降においても岡山の強みは「堅守」であると言えよう。この点は多くのサポーターが認めるところでもある。
その岡山の守備の強みは、ハイプレスと最後をやらさない守備に内訳できると考えるが、今回はそのうち「最後をやらさない守備」について考えてみたい。これが崩れなければ、リーグ戦において最低でも勝点1は獲得できるからである。
こんなの欲しい人はいないと思うけど、個人的にはご贔屓チームの失点ハイライト(集)が見たかったりする。
— 雉球応援人(ギラ球応援人) (@trainfootball44) July 11, 2026
新シーズンのサッカーとの比較の素になったりするのだ。ワンシーンごと、自分で探して勝手に見なさいという話ではある。
失点シーンを見ることは楽しい作業ではないが、失点は様々な情報の宝庫でもある。今回百年構想リーグでの全失点を見直してみた。
百年構想リーグでの岡山の失点数は18試合で25失点(プレーオフは除く)。1試合平均1.38失点となった。これはJ1WESTでは6位、J1全体では11番目となる。やはり岡山の場合、失点数は順位と連動していた。
開幕からリーグ戦が進むにつれ、岡山が対戦相手に明確に狙われていたゾーンが存在する。

それが自陣PA内のポケットとGKと最終ラインの間のスペースである。
特に清水、神戸、京都など4-3-3を採用するサイド攻撃に強みを持つチームが対戦相手の場合が顕著であった。
パターンとしては、特に岡山の左サイドで保持から左WBを食いつかせ、その動きに更に左CBを前方に引き出しその裏のスペース(青)、ちょうどポケットに浮き球のパスやスルーパスを出す。入り込んだ相手選手から岡山のGKと最終ラインの間(赤)のスペース、そして最終ラインがこのスペースを埋めにきた時は、最終ラインの手前のスペースにマイナスのクロスを出すという形が一つである。
そしてもう一つが岡山最終ラインの戻りが間に合わないうちに、対戦相手がポケットを経由せずに直接赤のスペースに斜めのクロスを差し込むパターンである。
構想リーグ中、こうした形からの失点が少なくとも4~5点はあった。
また失点には繋がらなかったものの、この形から多くの被決定機を迎えた試合もあり、相手にペースを握られる一因にもなっていた。
ポケットに関しては、代表がそうであるように近年多くのチームでも攻撃のねらいになっていたゾーンであるが、GKと最終ラインの間については、岡山の場合、かつてGKブローダーセンが前方に飛び出すプレーを苦手にしていた時期があり、ここを明確に狙われていたこともあった。
今シーズンについても、対戦相手は新加入GK(1)レナート・モーザーとCB陣の連係不足を狙っていた側面はあるだろう。
しかし、そうした局面的な岡山対策のみではない気がしていた。体感レベルではあるが、昨シーズンと比較しても、明らかにこれらのゾーンを対戦相手が能動的に狙っていたように見えた試合が増えていた。
そこで関係してくるのが「ゴール期待値」である。
ゴール期待値という概念自体は以前から存在する。
端的に述べるなら、シュートチャンスが得点に結びつく確率を0~1の数値で現したものである。各シュートデータを多角的な要素から分析、AIにそのデータを学習させるため、よりその精度は高まっていると言われている。研究の結果、最近その数値に関して興味深い傾向が現れるようになったと言われている。
出典元が不確かであるので、引用は避ける、と言うよりは本来公開されない数値であるのかもしれないが、今回テーマに挙げているポケットからのマイナスのクロスや、GKと最終ライン間を狙ったクロスからの期待値はCKの2倍程度、ミドルシュートの3倍以上を示しているらしい。
自ら確認をとった内容ではなく、一般的なサッカー趣味者に詳細な数値を読み取る権利もない状況で、このような紹介を行うのは心苦しいのであるが、こうした話題が出始めたタイミングと前述した岡山の失点、被決定機パターンが現れ始めた時期を照らし合わせると、やはりこうした傾向が出ている可能性はあり、早速それを攻撃戦術に積極導入しているチームがあるように思えるのである。
ということは26-27シーズン、岡山は更にこうしたスペースを積極的に狙われる可能性があるということである。
それに対して、岡山がどのような守備を展開するのか。非常に難しい対応を迫られることが予想されるのであるが、ポケットに進入されてからの局面よりは、いかにポケットから相手を遠ざけるかについて対策を考えた方が良いような気がするのである。

ポイントは岡山のLWBの動きである。
なお、なぜ相手右サイドからの進入のみを焦点にしているのか、その理由については岡山のファーストディフェンスの特長が影響している。
岡山前線のディフェンスはワントップと右シャドーで相手最終ラインにプレッシャーを掛けて、左シャドーの(8)江坂任はボランチ付近まで下がって相手を引き込む傾向にある。よって相手は右サイド、岡山の左サイドから人数を掛けて進入してくるケースが多いように思う。
これまで、相手が岡山陣内左から進入してきた際に岡山のLWBは対面のボールホルダーに対して、まず縦を切る守備をしていた。これを相手ホルダーと自陣ゴールを結ぶ直線上に立つように変えることで、あえて縦のコースを空けて、ホルダーに前進させるように選択させ、外に誘導する。出来るだけポケットにボールを送らせないという守備方法は検討に値するのではないだろうか。本当はこの役割を右シャドーの(8)江坂が出来れば良いのであるが、彼にそこまでの守備への切り替えを求めると彼の攻撃的な良さが出なくなる。その分をLWBの守備の考え方と左ボランチのカバー能力で賄おうとするやり方と言える。
なお、このポジションが(66)西川潤になれば守備強度や精度はおそらく一段上がる、また相手を4-3-3で想定しているが、3-4-2-1のミラーゲームになればまたやり方が異なってくることには注意しておきたい。
いずれにしても守備陣の更なる連係が求められる訳であるが、この連係面についてはプラス、マイナス、双方の要因があると考える。
まずプラス面は新シーズンに向けて(1)モーザーと最終ラインのコミュニケーション良化、連係強化が見込まれることである。
マイナス面は前回の記事でも指摘したが、左CB工藤孝太の浦和復帰により、左CBの層が薄くなってしまったことである。
もちろん(55)藤井葉大ら既存戦力の台頭やレギュラー(43)鈴木喜丈の稼働率上昇に期待したい点は間違いないのであるが、連係面を踏まえた場合に(55)藤井らを構想リーグで試せなかった点は、仮にやむを得ない理由があったにせよ、現状は懸念点と言わざるを得ない。
このポジションについては、今後、新戦力の獲得も有り得ると予想するが、キャンプが始まった現段階においては獲得のタイミングが連係面において、大きく影響すると考えられる。
26-27シーズンのファジアーノ岡山、唯一かつ最大の懸念かもしれない。どういう形になるかは今後の推移次第であるが、早期解決に期待したい。
今回もお読みいただき、ありがとうございました!
※敬称略
【自己紹介】
雉球応援人(きじたまおうえんびと)
J1ファジアーノ岡山、J3ギラヴァンツ北九州レビュアー
レビュー作成が趣味を超えてライフワークになりつつある。
J1定着と総合型スポーツクラブへの成長を図る岡山、念願のJ2復帰へ向けて再チャレンジに挑む北九州の戦いぶりを追っていく。
日々勉強、分析、解析、解釈、更に磨いていきたい。
岡山在住の開業社労士。今年も日常に追われる。
鉄道ファンでもあるが、最近は鉄分不足が続く。
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