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【ファジサポ日誌】209. 最善の先の初勝利 ~ 百年構想Lプレーオフラウンド第2戦 ファジアーノ岡山(浦和レッズ戦) マッチレビュー ~

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「前進もしたが宿題も得た。そんな一戦であった。」
プレーオフ第1戦レビューでの筆者の締めの言葉である。
この宿題に対して、どのような回答をピッチで表現していくのか、ファジアーノ岡山は明確な回答をこの第2戦で出してくれたように思う。
そして、対浦和レッズ戦初勝利というメモリアルな結果を伴い、この構想大会を締めくくることが出来た。

1.試合結果&メンバー

プレーオフラウンド11位・12位決定戦はアウェイ岡山が0-2で快勝。2戦合計3-1で岡山の11位が確定した。
繰り返しになるが、岡山の対浦和戦は4戦目にして初勝利、埼玉スタジアム2002での初勝利となった。
岡山の百年構想大会の成績は通算で20戦9勝1分10敗、27得点26失点となった。PK戦をドロー換算すると、7勝7分6敗の勝点29相当となる。これを更に年間のリーグ戦勝点に換算すると約52点となる。
単純比較はできるものでもないが、J1初年度の2025シーズンが勝点45の13位で終わったことを考えると、勝点獲得ペースは昨シーズンよりも向上していたとみることも出来るし、成長の実感を掴んだ割には立ち位置としては現状キープに止まっているとの見方も可能と言える。
この点については読者様も様々な感想を持っていることだろう。

百年構想リーグ POラウンド第2戦 浦和-岡山 メンバー

岡山CH(5)小倉幸成はU-21日本代表に選出、欠場となった。
その代表活動中に負傷したのではないかとの情報も入ってきた。
彼の存在は法政大学所属の特別指定選手でありながら、既に岡山躍進のキーマンの一人である。新シーズン開幕まで2ヵ月弱、焦らずに完治させてほしい。

ボランチには久々に(33)神谷優太が入った。
LWBには(88)山根永遠ではなく(51)白井康介が回る。
そしてRST(27)木村太哉はメンバー外となった。
前節の最終盤で足を攣らせていた姿は少々気になったが、欠場理由については不明である。(※クラブより左足内果疲労骨折により6/8手術、全治2~3ヵ月程度とのリリースがありました。非常に痛い離脱になりそうですが、万全な状態での復帰を願います。)
RSTには(22)一美和成が入った。

ベンチメンバーではGKの控えに高卒ルーキーGK(13)松田駿が入る。
青森山田高のキャプテンとして選手権にも出場した(13)松田のことなので大舞台には慣れていると思われるが、アウェイ浦和の圧が高まる埼玉スタジアム2002の雰囲気を味わうだけでも良い経験になったのではないだろうか。もちろん先発(1)レナート・モーザーにアクシデントがあれば出番が回ってくる。ゲーム中、そうした準備をこなすこともまた貴重な経験である。

また、クラブSNSの不祥事の件以来、出場機会がなかったFW(40)河野孝汰が久々にベンチ入りした。この間、(40)河野はTRMでの好調ぶりが伝えられていた。また、木山監督との対話(面談)により多機能な自身のプレーについて一度整理する機会も得られたようである。

浦和は第1戦からスタメン4人に変更を加えた。主にその第1戦の後半から出場していた選手たちである。

2.レビュー

(1)前半

岡山と浦和、お互いに求めている「らしさ」がある。
その「らしさ」を90分間において表現し続けた岡山に勝利がもたらされた。そんな一戦であったように思う。

浦和、田中達也監督は明確にボールを保持、パスワークから岡山を崩すサッカーを示唆していた。それに対して岡山は前線からハイプレスを基盤とした前向きに設計された守備を披露、主導権を握る。

百年構想リーグ POラウンド第2戦 浦和-岡山 岡山の守備

昨シーズン、岡山が対浦和で苦労していたのがGK(1)西川周作を介したビルドアップであった。自陣ゴール前深くでのボール回しに岡山はプレスを仕掛けきれない、どこまでプレスするのか迷いが生じ、ハイプレスを無効化されていた。この日の岡山はこの(1)西川へも積極的にプレス、自由にビルドアップさせていなかったと言える。相手の起点に圧力を掛ける守備が、後方の連動性を引き出す。

岡山の前線3枚であるが、いつもどおりの2シャドー、1トップではなくRST(22)一美とCF(99)ルカオが2トップのような並びをとり、(99)ルカオは明確に浦和CB(2)宮本航太にプレス、一方(22)一美は対面のCB(5)根本健太からの縦パスのコースを背中で消すことを優先していたように見えた。こうすることで、(5)根本からLWBに可変するLSB(88)長沼洋一に誘導していた。

浦和のビルドアップの特長の一つが(88)長沼を使った左肩上がりの攻撃にあるが、岡山は浦和ボールを右サイドに誘導後、RWB(26)本山遥が(88)長沼に、その後方のLST(10)中島翔哉にもRCB(6)大森博が積極的に食いついた。

プレーオフ初戦でもこのサイドの規制は出来ていない訳ではなかったが、岡山としては浦和左サイドのキーマンに明確に人を付けることで、浦和の左サイドを封鎖した。
(88)長沼と(10)中島は第1戦でそれぞれ10km台の走行距離を記録したが、この第2戦では共に8km台に低下した。中島に関しては出場時間の差はあるが、これも左サイドを自由にさせなかった証と考える。

こうすることで浦和のビルドアップの道筋は中央に限定される。
岡山としてはビルドアップを読みやすくなり、中盤以降の選手たちの思い切った前方へのプレスを導いていたと言える。

中盤ではCH(41)宮本英治の前方へのプレスに加え、(33)神谷の正確なスペース管理も光っていた。

浦和は岡山のボランチ脇などにOMF(8)マテウス・サヴィオが下りて組み立てを行っていた。この受けの動きとそこからのドリブルによる前進、サイドへのパスによる散らしは浦和の攻撃において貴重な手段になっていたと言える。

一方、岡山のボール運びはCF(99)ルカオへのフィードと、後方からの繋ぎの二本立てであった。ここは第1戦と同様であったと言えるが、やはり第1戦よりも浦和陣内でのハイプレス、再奪取が上手くいっていた。従来の岡山の良さが出ていたと言える。
この日は16:00のキックオフ、ちょうどピッチ全体がメインスタンド屋根の陰に隠れていた。岡山での第1戦と比べると暑さを凌げた点も岡山の運動量確保に影響したのではないかと推察する。

そして、前半にセットプレーから先制に成功する。

第1戦の岡山のCKはニアでのフリックにねらいを持っているように見えた。近戦で上手くいっていたパターンであるが、若干精度に欠いた面はあった。
おそらく、この初戦を踏まえて、ファーねらいに変えてきているのであるが、浦和がゾーンで守っていることを考えても、シンプルに有効な形であったと言える。岡山はファーに5人が入っている。(22)一美や(99)ルカオが浦和DFを引きつけたことで(6)大森がフリーになれた。

そして、久々であったが(33)神谷のキックの精度もやはり良かった。
浦和DF背後への対応しにくいコースを選択、かつ味方が前向きに飛び込むスペースをしっかり予測、正確に落としている。
(6)大森の嬉しいJ1初ゴールは第一子誕生が発表されたDF(4)阿部海大に向けたゆりかごダンスに繋がった。

先制点をポイントに挙げていた浦和としては痛恨の失点であったかもしれないが、すぐに同点に追いつこうとそのパスワークのテンポは上がる。
浦和は明らかに岡山3CBの強固さを嫌っていたように見えた。
中央をパスワーク、ドリブルで運び、岡山のゴール前の壁を避け、左右に共に3CBの脇にポイントをつくる。
ここから縦に突破して、横からクロスを上げるシーンは少なく、サイドからペナ角や中央にボールを戻し、そこから更に岡山最終ラインの裏、そしてミドルシュートを狙うシーンが目立った。31分、(8)サヴィオのパスから裏に抜けた(88)長沼の決定機もそうした流れの末にあった。

浦和としてはサイドからのシンプルなクロスでは、岡山の3CBを攻略できないとの考えもあったのかもしれない。また、浦和にはクロスを頭で合わせるよりも、蹴ることが得意な選手が多い。しっかり足でシュートを撃たそうとするねらいもあったのかもしれない。
サイドから中央、更に裏やポケットを狙うダイレクトパスは十分岡山の守備にズレをつくっていたが、決定力不足によりゴールを決めることは出来なかった。

逆に岡山は30分台にハイプレス、再奪取による波状攻撃から連続して決定機を迎えるが、こちらも決め切ることが出来ない。

岡山の課題は依然としてこうした攻勢時においての決定力不足にある。
少し気になるのが、惜しいながらもこの決定力不足の形も割と再現性が高いい点である。
ということは、惜しいながらもゴールが生まれない構造を抱え持っている可能性がある。例えば、相手の守備者が何人以上ゴール前を堅めていたら得点できない、またはこの位置を相手守備者に抑えられたら得点を奪えないといったことである。こうした「攻撃限界」と呼んでみるのであるが、限界値を超えるには一定以上の個の力量が攻撃陣に必要と考える。現在の攻撃スカッドでは限界があるのかもしれない。
そこで現有戦力を中心に今後も攻撃を組み立てていくのであれば、こうしたシーンで押し込み続けるのではなく、一度、ボールを戻して相手をゴール前から剥がし、改めて疑似カウンター的に再攻撃を仕掛けるといった工夫も必要かもしれないと考えるのである。

(2)後半

後半の浦和は単に繋ぐのみではなく、CBがラインを上げることで陣形全体を前方へと押し上げていた。浦和は岡山陣内でのパスワークにより、ゲームを支配しようとする。

岡山の前線はこの浦和のCBも押し上げにプレスをしっかり掛けられなくなる。そこで54分に(22)一美に代えてCF(9)レオ・ガウショ、おそらく腰部に故障を抱えていたとみられる(33)神谷に代えてLIH(28)松本昌也を投入、(41)宮本をアンカーに据えた3-1-4-2へとフォーメーションを変更する。

2トップと両IHを中心にハイプレスすることで、浦和最終ラインを押し下げる効果をねらったものと推察する。しかし、守備面のねらいという点では、再び陣形を前方に押し出す効果は乏しかったように思える。
(99)ルカオの運動量が落ちたことと、(9)ガウショのプレス強度が不足していた点も影響したが、浦和が変わらず、岡山のサイドのスペースにねらいを持っており、岡山中央からのプレスが十分に効いていないように思えた。(9)ガウショのプレスに関しては、前節レビューでももう少し見たいと述べたが、標準的なCFのそれと感じた。コース消しやサイドへの誘導といった動きはソツがないと感じる一方で、対面のホルダーへの対応はよくなかった。突っ込んだところを躱されてボールを運ばれるシーンも目立った。「岡山標準」を物差しにするのであれば、少し物足りなく見える点は否めない。

浦和はCF(17)小森に代えて退団が決まっているCF(9)イサーク・キーセリテンを投入する。サイドを中心に前線にポイントをつくる意図があったと考えられるが、ここにボールが上手く収まらない。岡山のディフェンスが上回っていたと言える。後半の中盤、約20分間は全体的に浦和の時間であったと言えるが、岡山は何とか凌ぐ。

70分台に入り、岡山は浦和に押し込まれたことにより自ずと自陣で5-4-1のブロックを組むことになる。(8)江坂を右SH、(66)西川潤を左SH、そして(28)松本をボランチに配置し直した5-4-1にフォーメーションを変更する。前線からの規制を捨て、守りを堅める。

試合後の選手たちのコメントによると、守りを堅めたのではあるが、選手たちは決して攻撃の意欲を失っていた訳でもなかった点が見て取れる。そういう意味では非常に面白い終盤になったと思う。

まず、浦和に攻略され続けていた中盤両脇のスペースにSHを配して埋めたことで、なかなか出来ていなかった浦和のボール運びを遮断できるようになる。
特に交代出場の(66)西川が背中で浦和のパスコースをきめ細かに消す動きは効いていた。

また、(41)宮本は再びダブルボランチの一角を形成することで、積極的に前方へプレスに出られるようになった。プレスに出ることで、浦和中盤へのパスコースは空くのであるが、このコースを(66)西川が塞ぐ、そんな関係性であったと思う。

浦和の進路を限定して回収、ロングカウンターから追加点を奪うという明確な終盤のゲーム運びが岡山からは見てとれた。

ワントップの(9)ガウショは、相手を背負ったポストプレーというよりも、ボールを受けてから素早い反転によりボールを相手マーカーがいないスペースへ大きく持ち出すことにより、味方の攻め上がりの時間を作っていた。この動きは岡山がカウンターに移行する上で効果的であったと言える。

更に岡山は81分に(8)江坂に代えてRSH(40)河野孝汰、(51)白井に代えてLWB(88)山根永遠を投入する。前述した背景もあったのか(40)河野の攻守に気迫溢れるプレーが目立った。プレス、プレスバックといった守備面も十分な働きであった。

そして、岡山が待望の追加点を上げる。

ここは、浦和CB(2)宮本航太からの縦パスをLCB(43)鈴木喜丈がカット、前方に蹴るのではなく(43)鈴木自らが運んだことで前線に十分な人数を掛けることが出来た。
左サイドタッチライン際に進出しようとした(66)西川にスペースへ走り込むパスが出される。コーナーフラッグ付近ぎりぎりで追いついた(66)西川は左足でキープしながら(88)山根のサポートを待つ。この時目線を後方へ向けることで山根へのマイナスを浦和DF2人に意識させる。そしてボールを戻すことで(88)山根に前進スペースを与えている点も意図したもののように見える。
一方、(88)山根は瞬間的にアウトレーンからハーフレーンへ進路変更。浦和の意表を突く(66)西川からの横パスを受けてサイド奥をとる。
ゴール前では(9)ガウショが(88)山根からのマイナスのクロスに備える。囮としての動きも意識していたと思えるし、もちろんクロスが来れば自身で撃つ用意もあったと思う。これまでの(9)ガウショのゴールシーンを見ていれば、彼の前方にスペースを与える危険性について浦和も把握していた筈である。自ずと浦和DFは(9)ガウショに引きつけられる。
(40)河野はゴール前ファー寄りで準備する。
(88)山根のクロスがバウンドした分、意外にも合わせるのは難しかったように見えたが、バウンドした分コースを消す(1)西川の上を越えるシュートを撃つことが出来た。

3.まとめ

以上、簡単に百年構想リーグ最終戦をまとめた。
冒頭では自分らしさを出し切った岡山に軍配が上がったと書いたが、一つの試合においては、自分らしさを出せない時間帯もある。
そういう意味では試合展開の変化に柔軟性を示せたのが岡山であったと言える。ハイプレスが掛からない時間帯に構えて我慢しロングカウンターをねらうという戦法はまさにそうであったと考える。一方、浦和は決定力という最後の局面さえ打開できればというシーンが多かったこともあり、戦術そのものに大きな変化をつけられなかった点が響いたのかもしれない。

百年構想リーグが終わった。この最終戦において、ビッグクラブの一つ浦和から勝利を上げられた点はチームにとっても大きな自信になる筈である。
対戦相手の研究も進んでくるとは思うが、よりパワーと精度を高めた新シーズンの岡山に期待したい。

今回もお読みいただき、ありがとうございました!

※敬称略

【自己紹介】
雉球応援人(きじたまおうえんびと)
J1ファジアーノ岡山、J3ギラヴァンツ北九州レビュアー
レビュー作成が趣味を超えてライフワークになりつつある。

J1定着と総合型スポーツクラブへの成長を図る岡山、念願のJ2復帰へ向けて再チャレンジに挑む北九州の戦いぶりを追っていく。

日々勉強、分析、解析、解釈、更に磨いていきたい。

岡山在住の開業社労士。今年も日常に追われる。
鉄道ファンでもあるが、最近は鉄分不足が続く。

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