【ファジサポ日誌】200. 再チャレンジの礎~百年構想L第12節 ファジアーノ岡山(アビスパ福岡戦) マッチレビュー~
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レビュー作成経費、作成中の筆者のコーヒー代に使用させていただきます。
私事であるが、2022シーズン第1節からスタートした拙レビュー『ファジサポ日誌』が今号で200本目となった。
ここまで続けてこれたのは一重に読者の皆様のおかげである。
心から感謝申し上げたい。
開始した時は、何となくこのままJ1へ昇格していく過程を現地観戦も行っているサポーターの戦術視点で描いていきたいと思っていたが、J1昇格後の世界や始めた当時から噂されていたシーズン移行のこのような形で進んでいくとは想像もしていなかった。
レビューを書き始めて最も大きく変わったのは、読者様との交流も含めて観戦趣味が大きく広がったことである。そしてサッカーの見方も当時とは大きく変わった。創作とは自分自身を変えていくものであるとはよく思う。
J1に昇格して、ファジアーノ岡山に関しては良質な記事媒体が増えた。
しかし、一方で戦術面に関してはもう少しそうした記事があっても良いとも感じている。その時の呟きや投稿と異なり、記事はしっかりインデックスされていく。しばらくは今のスタンスで書き続けていこうと思う。
1.試合結果&メンバー
連戦のアビスパ福岡が相手であったが、順位面を考えると岡山としては負ける訳にはいかなかった一戦と考える。チームとしてG大阪戦で上向きな試合内容を見せていただけに、ここですっきりと勝てたことで安堵したというのが本音である。
岡山の構想リーグでの複数得点は前節に続き3試合目となった。決定機の数の割には得点がやや少なかったので、この点は素直に好材料と考えるべきであろう。一方でホーム長崎戦(●0-1)以外は全試合で得点をマークしているのも今シーズンの特長である。クリーンシートは2戦目となった。
こちらは逆に守備機会数の割には失点が増えている感じる面もある。
2026 J1百年構想リーグ⚽️「失点と被ゴール期待値の差分データ」です。
— J-FootVizu|数字で見るJリーグ (@j_league_data) April 28, 2026
※4/25(第12節)終了時点#Jリーグ #Jstats pic.twitter.com/r7diKWUFhm
ここで興味深いデータが出てきている。
「失点と被ゴール期待値との差分データ」なのであるが、実は岡山は被ゴール期待値は14.144なのであるが、実際の失点数は19とリーグワーストの「プラス差分」を記録しているのである。
最近の大量失点が大きく影響している点は否めないが、おそらくそこを差し引いても大きなマイナスにブレることはないだろう。
「被ゴール期待値」とは相手のシュートの質に対する失点予測を表している。ということは岡山の場合、比較的イージーなシュートから失点しているということになる。
そこで今シーズンの各失点シーンを振り返ってみたのであるが、GKとDFの間の狭いスペースを相手に確実に狙われているということは言えるのかもしれない。よってシュートそのものはイージーでも失点に繋がっているという側面はあるかもしれない。GKが2人とも新戦力になったことから、最終ラインとのコミュニケーション向上により失点を減らせる余地はまだまだあるのかもしれない。
そしてもう一つ、失点シーンに関してはボールの奪われ方が良くないとは感じている。この点は今シーズンから保持にも取り組み始めた影響は出ているのだろう。これも奪われたシーンの中には繋ぐことが出来れば逆にチャンスになっていたシーンもあった。紙一重と言えるし、この点は保持を高めることで乗り越えてほしいところである。

岡山はここでLWBに(88)山根永遠が復帰、RWB(51)白井康介と共に両翼のスタメンを入れ替えてきた。そしてCF(98)ポポが今シーズン2度目の先発となった。前回先発したアウェイ、C大阪戦(〇2-1)では貴重なゴールも上げた。前節G大阪戦では強力なキープ力から(8)江坂の同点ゴールをアシスト、好調は明らかで期待が高まる。
ベンチにも離脱が続いていたDF(43)鈴木喜丈が戻ってきた。連戦に向けてこれも好材料である。そして新戦力FW(9)レオ・ガウショやMF(66)西川潤が2試合続けてのベンチ入りとなった。
水曜日からの連戦となった福岡もスタメン6人を入れ替えてきた。
2.レビュー
岡山にとってはこの試合に明確なポイントがいくつかあったと思う。
序盤、岡山は自陣でファール、福岡にFKを与える。福岡LST(14)名古新太郎のFKはこの試合唯一の福岡の枠内シュートとなったが、GK(1)レナート・モーザーがセーブ、ここからCKが連続したのであるが、二次攻撃も含めて、この序盤を無失点で切り抜けたことが大きかった。
前章で岡山GKと最終ラインの間のスペースを相手に狙われている点について触れたが、3分42秒にはショートコーナーからやはりGKとDFの間を狙った斜めのグラウンダーのクロスが供給された。
岡山守備陣はこうしたクロスに対して戻っていた前線の選手も含めて十分意識していたようには見えた。その分、スペースに走り込もうとしたCB(37)田代雅也には合わなかったのかもしれない。
福岡の攻撃は岡山最終ラインの裏を縦に狙うロングボールが中心であった。
シンプルな攻撃であったが、最終ラインを中心にクリアボールが浅くなる傾向が試合を通じて続いていた。極端な風の影響は受けていなかった筈なのでこの点は少々気にはなったが、この試合では(41)宮本英治と(5)小倉幸成のセカンド回収とその後のキープが抜群に良かった。
福岡ダブルボランチも実力者たちであるが、中盤の争いは特に前半は明らかに岡山の方が質的に優位を確保していた。
マイボールにした岡山にとって大きかったのは、今シーズン筆者が度々述べてきているが(88)山根のキープ力である。
セカンド争いで回収したボールを、そのまま激しい中盤の争いに晒すのではなく、左サイドの安全地帯に流す。ここで(88)山根がキープに入ることで岡山にはポジション補正、敵陣進入の時間が与えられる。同サイドのゲームメーカーLST(8)江坂にもより良いポジションを選択する時間がつくられる。
また、大きいのはCF(98)ウェリック・ポポへの影響である。
同ポジションの(99)ルカオと異なり、彼はロングボールよりは足元へのパスを収めるプレーに長けている。よって、前線に起点をつくるにしても、最初から左サイドに流れて構えるのではなく、サイドに流れるにしても彼との間の中継点を必要とするのである。その中継点を(88)山根が担っているのである。
(88)山根がキープできる理由については、重心が低いことによる懐の深さといったプレーの特長もさることながら、対面の相手が迫ってきたタイミングで浮き球とグラウンダーを使い分けながらパスを出せる技術が高い点も見逃せない。相手としてはそれがわかっているので、後方のスペースを空けてまで(88)山根に突っ込めないのである。
この試合、前半は岡山の保持率が高く、後半は逆に福岡の保持率が高くなるのであるが、その前後半それぞれで得点を奪えたことは大きかった。前半に関しては(88)山根の力量によるところは大きいのである。
筆者はバックスタンド中央付近でいつも観戦しているが、岡山の鮮やかな速攻を見慣れれているサポーターからは「もっと早く攻めろ!」や「前へ前へ!」といった声がピッチ上にかかることも少なくない。
しかし、この特に前半、左サイドで粘り強くキープしながら、スローインを交えながらじっくり攻めることが自軍体力の温存にも繋がり、ブロックしている相手を崩すという岡山の戦法のバリエーションを増やすことにも繋がり、最終的には身を助けることに繋がるものと考えている。
ウェリック ポポのグラウンダーのパスから最後は白井康介が押し込み岡山が先制💥
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) April 25, 2026
🎦 ゴール動画
🏆 明治安田J1百年構想リーグ 地域リーグラウンド 第12節
🆚 岡山vs福岡
🔢 1-0
⌚️ 27分
⚽️ 白井 康介(岡山)#Jリーグ pic.twitter.com/ugzymRojI9
スローインをものにするは、岡山好調のバロメーターと言える。
(98)ポポの左サイドでの前進、キープに左コーナー付近で福岡LCB(16)岡哲平が対応、そこにRWB(33)山脇樺織がサポートに入ろうとしているのであるが、スロー映像で見ると(98)ポポの足が長いせいでボールの置き所を(16)岡が見失っているようにも見える。
この独特の間合いとリズムは(99)ルカオとは異なる(98)ポポの武器と言えよう。そしてこの得点は、岡山がしっかりとボールサイドに圧縮して逆サイドのRWB(51)白井康介がゴールを決めるという、岡山の理想の攻撃が出来ていたという点でも自信になるゴールであったと言える。
福岡の攻撃は、左サイドからの攻略が中心であった。
よって岡山が逆サイドからキープする展開は福岡の攻撃を消すという意味でも効果的であったと考える。
さて、リードされた福岡は後半、積極的な保持によって岡山ゴールを脅かす。まず後半開始から(33)山脇に代えてCH(11)見木友哉を投入、(6)重見柾人を前に出して、(22)藤本一輝をRWBに回した。
(11)見木を入れたことで中盤守備の強度を高め配球力をアップさせた。
そしてビルドアップ時にLCB(15)辻岡佑真を左ウイングバックのような位置に可変させて攻撃の起点にさせていた。この形は昨シーズンから福岡が攻撃時に行っているやり方で、ザンクト・パウリに移籍した日本代表CB安藤智哉も担っていた形である。(15)辻岡の場合はレフティであり、かつ配球能力が高いこともあり、積極的に前方へ長短のパス、フィードを出していた。
高松工芸高校出身、IPUに進学後は岡山の練習にも参加していた(15)辻岡はいわきFCの特別指定選手時代にこのJスタでデビューしている。
馴染みの選手も多い岡山との対戦での躍動ぶりが目立った。
厄介であったのが、(15)辻岡が偽SBのように内レーンへと入ってくる動きである。

この動きは少なからず岡山の守備に混乱を与えていたように見えた。
彼も、岡山で言えば(88)山根と同様で対面の相手が突っ込むと柔らかく前方へパスを出すことが出来る。彼のショートパスから実際に福岡はいくつかの決定機を迎えていた。
岡山はRST(27)木村太哉がマークすることになるが、こうなると岡山が前方から圧力をかけることが出来ずにラインが徐々に下がることになる。
また、(88)山根や(8)江坂がいる左サイドから攻撃を組み立てられなくなる。いわば前半との逆転現象が起こっていた、これはやはり現地観戦でこそ強く感じられる部分であった。
しかし、追加点を奪ったのは岡山であった。
奥に走り込んでいた山根永遠が流し込み追加点!🔥
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) April 25, 2026
🎦 ゴール動画
🏆 明治安田J1百年構想リーグ 地域リーグラウンド 第12節
🆚 岡山vs福岡
🔢 2-0
⌚️ 61分
⚽️ 山根 永遠(岡山)#Jリーグ pic.twitter.com/5VpsxMzinY
このゴールの前、5分間ほどの攻防が非常に見ごたえがあった。
福岡は前述の(15)辻岡の攻撃参加を起点にチャンスをつくるが、岡山はリードしているということもあり、割り切ってリトリートで守っていたことが結果的には上手くいったといえる。
しかし、そこから左サイドに張った(98)ポポを使ったカウンターと(5)小倉を中継点にした保持、更にはLCB(6)大森博のドリブルによる持ち上がりからの保持と多彩な保持の形を見せていた。
そして、このゴールも中央縦へのパス交換の繰り返しからボールを保持することで福岡の陣形を間延びさせたことにより、右サイドRCB(48)立田悠悟のダイレクトパスと(51)白井のスピード豊かな縦への前進に対して、福岡の中盤以降の戻りが間に合わず、最終的に逆サイドの(88)山根がフリーで飛び込めているのである。
これは岡山がずっと取り組んできたボール保持からのゴールであり、かつ前半の(51)白井のゴール同様に逆サイドのWBが入り込む岡山の従来からのコンセプトも光ったゴールでもあった。自信になる形である。
2点をリードした岡山は、更に勢いを増す(15)辻岡に途中交代(40)河野孝汰を付けて、危なげなく逃げ切った。
3.まとめ
以上、簡単に福岡戦を振り返った。
岡山としては堅守であったり、WBのゴール関与といった従来からのコンセプトを体現できたと同時に保持からの崩しも体現した、今後の戦いの礎となる一戦であったと言える。
一方で、福岡の守備強度に関しては最近の対戦相手と比較するとやりやすい面があったこともまた事実である。今後は更に高い強度、速いスピードを持つ相手に対して同様のコンセプトを展開できるのか、更なる成長が求められる。
また、相手が可変した時の対応という面では課題も残した。最終的にリトリートで守るという結論に達するのであるが、これではシンプルな相手の可変に対してもあっさりと全体のラインを下げることになりそうである。
出来れば中盤のゾーンでもっと守れるようになれば良いのであるが、これは高次元なレベルアップを求めるという話でもある。
長い目で期待したい。
今回もお読みいただき、ありがとうございました!
※敬称略
【自己紹介】
雉球応援人(きじたまおうえんびと)
J1ファジアーノ岡山、J3ギラヴァンツ北九州レビュアー
レビュー作成が趣味を超えてライフワークになりつつある。
J1定着と総合型スポーツクラブへの成長を図る岡山、念願のJ2復帰へ向けて再チャレンジに挑む北九州の戦いぶりを追っていく。
日々勉強、分析、解析、解釈、更に磨いていきたい。
岡山在住の開業社労士。今年も日常に追われる。
鉄道ファンでもあるが、最近は鉄分不足が続く。
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