【ファジサポ日誌】198. 論点は戦法にあり~百年構想L第9・10節 ファジアーノ岡山(神戸戦・京都戦) マッチレビュー~
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決して狙って2戦合作にした訳ではない。
あくまでも筆者のスケジュールの都合により今回は第9節神戸戦、第10節の京都戦の合作レビューにしたのであるが、奇しくもゲームの大きな論点は同様であったと思う。
そこで、今回はこの2戦を簡単に振り返りながら共通論点に触れ、更に今後の岡山の戦いについて展望を述べてみたい。
1.川鉄ダービー(第9節ヴィッセル神戸戦)
1ー4の大敗を喫した第5回の川鉄ダービーであった。
お互いに負傷離脱者が目立つ一戦となったのであるが、過密日程の神戸に対して岡山には代表戦ウイークの休みが与えられていたことを考えると、少々チームづくりに不安を感じさせる状況であったともいえる。
過去2シーズンについても岡山はリーグ開幕から約2か月を経過した段階で、負傷離脱者が多数発生していた。チームが医学的にも細心の注意、対策を払っていることは過去に報道されているとおりであるが、この現象は強度の高いサッカーを展開する上で、日常から肉体的にもハードな練習メニューをこなしている副産物と言え、また再現性が高い現象として捉えたい。
懸念されるのは1年後、2026-2027シーズンの後半である。
ウインターブレイクを挟んだリーグ後半戦がおそらく2月第3週、これまでのリーグ開幕期と同様に始まる。そこから各選手の疲労がピークに達するであろう、ちょうどこの4月中旬~下旬は残留争いを含むリーグ内での立ち位置が決まる重要な時期と重なり、この時期での離脱者多発という状況は何としてでも避けたいところである。
それにしても神戸は離脱者多数とはいえ、序列2~3番手ぐらいにCF(10)大迫勇也やRSB(24)酒井高徳といった元代表クラスが出てくる。
岡山も過去と比較するとかなり選手層は厚くなっているが、この試合で貴重なレフティLCB(2)工藤孝太を(おそらく)かなり無理して起用したことからも、まだまだJ1を戦う上での台所事情は豊かとはいえない。
(2)工藤が前半早々に交代、(4)阿部海大が慣れないLCBを守ったが、チーム全体の大量失点とは別にして、次の京都戦も含めて健闘していたとは思う。既存戦力の更なる成長も加えて、J1に生き残るためにも戦力の更なる充実は必須といえる岡山である。
神戸と対戦する際にポイントとなるのが、中盤構成における岡山とのギャップである。神戸は4-3-3というフォーメーションを敷くのであるが、基本配置のみを比べると、岡山の3-4-2-1のダブルボランチと3対2の数的優位を築くことができる。
これが、お互いにゴールキックを中心に前進を図るチームなので、中盤での空中戦やセカンドボール争いに影響が出る訳である。それがまともな恰好で現れていたのが、直近では同じ4-3-3の清水戦であったといえる。
もちろん両チームとも中盤の選手のみでボールを奪い合う訳ではない。
ここに前線、後方の選手がどれだけ有機的に絡むのかによってボールの行方は決まるのである。

岡山のゴールキックからの前進を見てみたい。
GK(1)レナート・モーザーのキックは飛距離はそこまで出ないがコントロールショットである。
神戸は相手のゴールキックに対して、CBではなくアンカーの(6)扇原貴宏が空中戦のフィルターになれる点が強みである。
これが神戸が2CBで最終ラインを維持できる理由のひとつと筆者は考えており、この試合においては(4)山川哲史や(3)マテウス・トゥーレルといったレギュラー陣がいないことを踏まえても、CBを直接岡山のロングボールに晒さないという意味でも空中戦における(6)扇原の役割は大きかったといえる。
(6)扇原の今シーズンの空中戦勝率は59.1%(114位)、空中戦勝利数は13回(79位)を記録する(第10節終了時点)。
これは中盤の選手としてはリーグ全体でも上位に位置する。
なお、2025シーズンの同数値は空中戦勝率60.4%(100位)、空中戦勝利数61回(49位)であった。高い水準で安定しているといえる。
岡山は(6)扇原に簡単にゴールキックを跳ね返させないためにも、彼のところでCF(22)一美和成が下りて競り、前方に走り込む2シャドー(8)江坂任と(27)木村太哉へ配球する作戦をとっていたと思う。守備時に(22)一美はちょうど(6)扇原をみる形にはなる。ちょうど良かったといえる。また、(1)モーザーのキックが左に流れた時はこの落としを同じく空中戦が得意な(8)江坂が担っていた。
空中戦からの確実な落としと前方縦への鋭いスプリント、この試合で(99)ルカオ-(40)河野孝汰ではなく(22)一美-(27)木村のセットが先発した理由であったと考える。
(22)一美や(8)江坂が前方へ落とすことが出来ていた際には比較的岡山のチャンスになっていた。特に序盤の岡山は悪くなかったと思う。
しかし、神戸の守備も気が利いている。2CBの脇のスペース、特に(80)ンドカ・ボニフェイスの脇に関しては(24)酒井が中に絞ることで上手く岡山のスペースを消していた。岡山としてはここで(8)江坂が完全に自由になれなかったのが痛かったと思う。
問題はこのゴールキックを神戸に跳ね返された後にあったと思う。

これは(6)扇原が岡山のロングボールを跳ね返した場面であるが、前半は下りてきた(10)大迫がこのこぼれ球を高い精度で拾っていたように見えた。そして拾うのみではなく、(7)井手口陽介ら前向きのIHに正確な落としを披露していた。まだ体調面が万全ではないと言われている(10)大迫であり、この試合も前半のみのプレーに止まったが、その質は一段階上であったと言える。
岡山のボランチ(5)小倉と(3)藤井(海)もこぼれ球を全く拾えない訳ではないが、第一歩の動き出しと落下予測には差があった点は否めなかった。またこぼれ球を拾ってもその後の持ち運び、前線へのパス精度に差があったことも否めない。
こうして後手に回ると岡山の中盤2人はこぼれ球を拾った神戸の両IHの動き出しに備えることが第一となる。
7分、岡山自陣左サイドからのFKは神戸陣内左サイドに(22)一美を走らせて起点をつくるねらいであったが、この時におそらく上述したような関係性から岡山の中盤が前線に押し上げられてなく、岡山中盤と前線との間のスペースに神戸の起点をつくらせてしまっている。
神戸の攻撃局面に転じたもかかわらず、LWB(88)山根永遠も(3)藤井(海)も中途半端に神戸のボールホルダーに食いついてしまい、左サイドで裏をとられている。これが8分の失点のきっかけになっているのだ。
神戸との大きな違いは、神戸には中盤に(6)扇原という強力なフィルターがいることである。彼が最終ラインの前で構えることでCBに次のプレー準備の時間を与えているのであるが、岡山の場合はボランチが前に食いついて裏を取られると3枚とはいえ最終ラインが直接相手アタッカーに晒されるリスクを負うのである。
昨シーズンの神戸との対戦時はセカンドボール争いの局面でシンプルに神戸の数的優位が目立っていたと記憶しているが、この試合においてはその中盤構造を前提とした神戸の質的優位が序盤から目立つ形となった。
岡山としてまずかったのは、こうした神戸有利の構造があるにも関わらず、最終ラインを含めて多くの選手が神戸のホルダーに後追いで食いついてしまったことにあったと考える。神戸の攻撃は至ってシンプルである。
両IHが保持、非保持の関係になった時に互いの立ち位置を見ながら、岡山の選手が食いついた裏のスペースを狙って動き出し、パスを出す。この連続した関係性をIHとWG、更にはそこにSBが絡む形で前進するのである。この試合が移籍後初先発となったRWG(19)満田誠と同サイドのIH(5)郷家勇太のコンビネーションが抜群であったのは、神戸の攻撃が至ってシンプルな仕組みによって構成されていたからである。
さて、先制された後の岡山は一言で述べるなら縦に急ぎ過ぎている印象は拭えなかった。(27)木村を中心に前線3枚が鋭いスプリントを見せる分、自陣からの配球も縦一発を狙うものが増えてくる。
今の岡山には前で粘ればセットプレーがある。そんな考えもあるのだろうか。しかし、縦に急ぐ分、やはり中盤以降が押し上げることが出来ない。
押し上げる時間がないというべきだろう。運よくCKを獲れれば岡山にも二次攻撃を含めたチャンスが生まれるが、神戸陣内で回収されると連動したゲーゲンプレスは難しくなる。あっさり岡山陣内に運ばれて、前述したように食いついた裏を狙われる。
岡山のディフェンスの代名詞はハイプレスであるが、重要なのは相手ボールの誘導である。基本的にサイドに誘導し、時間を掛けさせながら5-4-1や5-3-2のブロックで受けることにより、最後をやらさない体勢を構築していた訳だが、この試合では神戸をあまりにも縦へと進入させ過ぎた。
45分のRCB(48)立田悠悟のミスによる失点はあまりにも痛かったが、前半から長い時間、中央を相手に晒され続け、プレッシャーを受け続けた帰結と考える。
また、彼もコンディションは決して良くないようには映った。
2点差をつけられた岡山は後半開始から(3)藤井(海)に代えてCF(99)ルカオを入れて(5)小倉をアンカーにした3-1-4-2に陣形を変更する。前半は前述したようにダブルボランチの両方とも神戸のIHの圧に屈して前に出られなかった面が攻守に大きく影響していた。
ボランチの一角を縦への推進に長けた(33)神谷優太に代えるのも策の一つとは思ったが、2点差をつけられたことで指揮官はより大胆に打開を図ったと言える。RWBは(28)松本から(51)白井康介にスイッチした。
岡山は神戸IHに(8)江坂と(27)木村を当て監視させ、(22)一美のプレスバックとWBの絞りで挟み込み中盤の高い位置でボールを奪うねらいであったと思われる。(5)小倉は中盤の底でこぼれ球掃除と逆サイドへの展開を担う。
神戸は体調に不安がある(10)大迫からCF(40)内野航太郎にスイッチする。
岡山のシステム変更は全体的には当たっていたと思う。ボール奪取のところから改善策が必要であり、2点差を考えてもより高い位置で奪うことが必要であったからである。一方、神戸は岡山のハイラインの裏をショートカウンターで狙うようになる。点差を踏まえても至極当然であったと言える。
サイドを使いながらいくつかゴール前でのチャンスをつくり、55分頃には中盤でアンカーの(5)小倉と両IHでボールを運ぼうとするチャレンジも出来ていた。一方でパスコースの規制は神戸の方が長けていたことも事実で、引っ掛けられた岡山のパスは悉く神戸のカウンターに繋がってもいた。その完結度も高かった。
60分過ぎからは岡山が前に人数をかけたことによって、神戸のラインが下がり始めた。これにより岡山の中盤にスペースが出来て、クロッサーがノープレッシャーで前線に配球できる環境が整い始めた。
61分の岡山のゴールはそこに至る展開が素晴らしかった。
左サイド(88)山根からの斜めのクロスが入り、跳ね返しを(5)小倉が高い位置で回収、逆の右サイドに振ってから(51)白井が逆足のクロスを入れる。やはり斜めのボールを入れる意図があったものと考えられるが、ファーに落とすコース選択も良く、ラインを上げていた分、ボックスの中で数的優位をつくれていた点も素晴らしかった。
システム変更がゴールに結びついたと言え、ここでしっかり失点管理が出来ていれば、神戸は(10)大迫という「引き出し」を失っていただけに岡山にも勝点獲得のチャンスはあった。
この直後に岡山は(5)郷家にPKを献上してしまうのであるが、相手のロングボールに競り負けてこぼれ球を(19)満田に拾われてドリブルでボックス内まで進入を許してしまったが、岡山守備陣も(19)満田をよく引っ掛けていた。その脇を更にIHが入ってきたという構図なのだが、PKを与えた結果に関しては全くよくないのだが、(5)小倉のプレーに関しては彼1人だけが(5)郷家の進入に反応出来ているので、ファーストディフェンスを担う選手の本能が働いたものと考える。案外、簡単に「軽率」とは表現出来ないプレーとは感じた。ここをステイ出来るかどうかは経験値の差かもしれない。
一方で神戸はしたたかに(4)阿部の裏、この左サイドからの進入を狙っていた。おそらく(5)郷家と(19)満田の関係性が抜群であったこともあるのだが、神戸に決定的な3点目を決められ、ほぼ岡山の勝ち筋は消滅したのであった。
2.第10節京都サンガ戦
1-5、再びの大敗であった。
岡山にとって2戦続けての大敗というのは過去を遡ってもあまり記憶にない。ショックを受けたサポーターも多かったであろう。
選手たちは神戸戦を受けて、反抗と更なる成長を誓っていた筈である。
コンディションの問題は継続して抱えていたかもしれないが、戦う気力は十分であった筈と言える。そうだとすれば神戸戦同様に、戦法的な部分に大敗の要因があったのかもしれない。
実は1-0で勝利したホームの京都戦が筆者個人としては今シーズンのベストゲームであったと考えている。この時はお互いに3-4-2-1を敷いたことによりミラーゲームの要素が強くなったこと、そしてこの時は京都にCF(9)ラファエル・エリアスがいたことで、シンプルに彼を目がけたボールも数多く配球されていた。簡単にまとめるとこの2点が岡山が好戦できた京都側からの要素と考える。
今回のアウェイ戦では、京都が縦に速いという基本コンセプトはそのままも、やはり岡山が苦手とする4-3-3にフォーメーションを変えてきたことが大きかった。このフォーメーション変更は岡山戦の次戦から導入されていた。本来の京都の陣形である。また、(9)エリアスが離脱したことにより、そのボール運びがより組織的になっていたことも事実である。
岡山は前線にCF(99)ルカオを配置してきた。ある程度中盤を省略して、中央から左サイドに流れる彼にボールを預けると京都のマーカーが複数ついてもそこで時間をつくることが出来る。後方の(8)江坂に細工の時間が与えられ、陣形を全体を押し上げることが出来る。そうして最後まで崩せなくても、やはり今シーズンは自信のセットプレーがある。
ある意味従来どおりの岡山のゲームプランであったといえる。
自分たちの手にボールがある時はそれでも良いのであるが、問題は相手のゴールキックからの前進にあった。
京都のGK(1)太田岳志は高い精度でキックの使い分けができる選手である。岡山の守備がセットされた際には、CF(17)アレックス・ソウザを狙ったボールを蹴っていたが、そこに岡山のダブルボランチ(41)宮本英治と(33)神谷優太を競らせるボールを意識して配球しているように見えた。この試合でも岡山の中盤と、京都の中盤には枚数的な差がある。
そこへ岡山の少ない中盤のうち1人が競り合い要員になってしまうと、こぼれ球の奪取に人数を割けなくなってしまう。

図で示すとこのような構造になる。
岡山としてはCBが前に出てゴールキックを跳ね返したいところであるが、ここに怖いRWG(11)マルコ・トゥーリオがいる訳でいたずらに前に出られない状況がつくられている。ならばWB、例えばこのケースではLWB(51)白井康介が中に絞ってサポートをするのも手であるが、ここはRIHの(6)ジョアン・ペドロがしっかりロック、(8)江坂や(27)木村が下りる手もあるが、それでも数的不利には変わらず、仮にこぼれ球を奪えても前線の枚数が今度は不足するのである。
ゲーム序盤は前述したように岡山が(99)ルカオに預ける形、京都は中盤の優位性をもって攻撃を展開していた。
しかし、ボールを握れるのは構造的にゲームを動かしている方にはなってしまう。京都が圧倒的に保持する展開の中、12分の先制点は京都が岡山の陣形を左右、縦に拡げて特に岡山最終ラインと中盤のライン間を間延びさせたことが効いていた。
ゴール前の局面で斜めのクロスを多用したことが京都の大量得点の直接的な要因にはなっていると思ったが、その背景には京都の保持時間の長さと岡山の陣形を分断するボール運びにあったと考える。
この先制点の場面、京都が岡山陣内に全員が入り最終ラインでボールを回した際に(41)宮本はハイプレスを行っている。実はその分、ゴール前への帰陣が遅れたと感じているのだが、最近数試合の(41)宮本は前方進出への意識を明らかに強めている。
昨シーズンからのプレースタイルを踏まえても、彼が目指すのは豊富な運動量を武器にしたいわゆる「ボックストゥボックス」型のボランチで、縦への前進、後進が生命線となる。この試合の京都は(41)宮本を前方へ引きつけることで、その背後のスペースやその後の局面で発生する数的有利を上手く使えていたのである。
こうなってくると(41)宮本の相方のボランチの役割が重要になってくる。彼が飛びだしたスペースを管理する必要が出てくるからだ。
この試合ではその役割を自ずと(33)神谷が担うことになるのだが、適任であったかと言えばそうではなかったと思う。
ベテランになり最近はその守備力にも進境をみせてくれている(33)神谷であるが、やはりボールを持ってこそ味が出るボランチである。スペース管理や刈り取りに関してはこの日のメンバーで考えれば(5)小倉の方が長けていたと思うが、おそらく神戸戦のPK献上等が影響したメンバー選考であったとは思う。
岡山最終ラインは、神戸戦に続き彼らのコンディションの問題もあったと思うし、神戸戦の大敗を踏まえて先の失点は絶対に避けたいとの意識は強かった筈である。またGKが久々の(52)濵田太郎ということもあり、彼を助けたいという想い、そしてボランチのところで網に掛けられない状況といった複合的な要素がラインを下げさせ、下に重くなってしまう状況を生み出していたのではないかと推察する。
それでも前半の岡山はよく抵抗していた。
セットプレーさえ取れればという自信が今の岡山の攻撃の精神的支柱になっているような気さえする。30分(27)木村の2試合連続ゴールは、(8)江坂のニアのフリックからファーで詰めたものであった。今まで見せていないパターンでのゴールであった。
だからこそ悪いなりに前半をイーブンで過ごせていればという点は確かに悔やまれる。様々なハプニングの影響によりATが延びてしまい、前半のクロージングがしにくかった影響はあったが、50分の失点シーンは中盤の構造的にはそれほどの問題はなかった。こぼれ球への反応、そのクリア、シュートブロック、反応、各選手の各プレーの細部が後手に回ったといえる。
この失点が岡山としてはかなりショックであった。精神的動揺を立て直せないまま更に失点を重ねる。
これも序盤から京都の保持に特に最終ライン後方が晒されていたことを考えると、岡山にとっては連続したボディブローが確実に効いていたといえる。
ダウンは時間の問題であったのかもしれない。
神戸戦と異なり、岡山は後半開始からのテコ入れは行わなかった。
この辺りは各選手のコンディションを踏まえてのマネジメントの要素もあったのかもしれないが、対抗するのであれば神戸戦同様に早い段階から3-1-4-2に代えても良かったのかもしれない。
岡山は自陣で前半よりもボールへと各選手が群がっていくのであるが、55分にはCKの流れから無情にもボールへ寄せていく選手たちの裏を取られて失点、勝負ありであった。
3.何を強化するべきか?
この2戦を簡単に振り返ってみたが、神戸と京都、戦術の細部は異なるのだが、共通項は中盤構造の数的優位からゲーム全体の主導権を握った点、そして人とボールに食いつく岡山の守備の特性の裏を突いていたこと、そして岡山ゴール前の局面では斜めのクロスボールを多用していたという3点にあったと考える。
その中で岡山は前方への人数を圧力を高めることで抵抗、一定の反撃は行えていたが、試合全体をプラスに持っていく程の出力には至らなかった。
元来、岡山は接戦を制してナンボというチームである。やはり撃ち合いの展開に持ち込まれる前に何らかの対策を施したいと考えるなら、やはり試合の「うったて」となる構造的なズレにいかに手当てを施すかがカギになるのであるが、京都戦のようにほかのポジションの選手が中盤をサポートする形もつくりくいことが分かる。
そこでヒントになりそうなのが、現在オプションとして導入している3-1-4-2である。このフォーメーションで戦える時間を増やし、少なくとも4-3-3の相手に対して主導権を容易く握らせないことも手の一つであるのかもしれない。そしてこのフォーメーションのカギになるのが、間違いなく(5)小倉幸成の成長である。
もう一点述べるのであれば、もう少し岡山も積極的にボールを保持しても良いように思う。今シーズンは保持にも取り組んではいるが、その位置づけはあくまでも現在の縦に速い、ボールを持たないサッカーの補助的な役割に止まっているとみている。それが証に保持に関する各種数値は昨シーズンとほとんど変わっていない。もう少し自陣保持も含めてボールを動かすことにより、最終ラインを疲弊させずに戦うことも必要と考える。そうすることにより、強度に頼り切りの強化から脱却することもでき、それが負傷離脱者の減少にも繋がるのではないかと考えるのである。
今回もお読みいただき、ありがとうございました!
※敬称略
【自己紹介】
雉球応援人(きじたまおうえんびと)
J1ファジアーノ岡山、J3ギラヴァンツ北九州レビュアー
レビュー作成が趣味を超えてライフワークになりつつある。
J1定着と総合型スポーツクラブへの成長を図る岡山、念願のJ2復帰へ向けて再チャレンジに挑む北九州の戦いぶりを追っていく。
日々勉強、分析、解析、解釈、更に磨いていきたい。
岡山在住の開業社労士。今年も日常に追われる。
鉄道ファンでもあるが、最近は鉄分不足が続く。
