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【ファジサポ日誌】219.鬼門突破のカギ~J1第5節 ジェフ千葉 vs ファジアーノ岡山 マッチレビュー~

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少し気が早いが、最近の各シーズンのJ1残留ラインは大体、勝点40前後となっている。1試合平均獲得勝点に換算すると約1.05、少なくとも平均で1点を下回るペースになると降格が現実味を帯びてくると考えて間違いないだろう。
4節終了時点でのファジアーノ岡山の獲得勝点は4、ちょうど1試合平均1ポイントである。今節の相手は昇格組のひとつである千葉、相手関係やこの先の戦いを踏まえても、岡山にとっては是が非でも勝点3を稼ぎたいゲームであった。

しかし、ミッドウィーク開催なうえに、まだリーグ戦で勝利したことがない「鬼門」フクアリでのアウェイ戦という相性が岡山に立ちはだかった。

1.試合結果&メンバー

岡山が3試合ぶりの勝利を、クラブ史上初のフクアリ初勝利で飾った。
千葉からの勝利自体がJ2時代の2020シーズンホーム戦以来となる。
実に6年ぶりの勝利となった。
ちなみにこの時は1-2とリードを許す中、ゲーム最終盤に上門、イ・ヨンジェの連続ゴールで鮮やかに逆転した。懐かしい限りである。

31分CF(9)ガウショが相手DFを背にしながら浮き球のパスに反応、パワフルに反転して抜け出し、ニア上に豪快に突き刺す。岡山が先制する。

10分後に千葉CH(4)田口のロングパスから右サイドで張っていたRWB(7)田中が岡山最終ラインの裏をとり、自ら中央に持ち運んで決める。ホームチームが前半のうちに同点に持ち込む。岡山としては一瞬の隙を突かれた格好であった。

後半も球際の激しい戦いが続く中、交代選手のパワー、推進力で勝る岡山が徐々に優勢に、AT4分、途中出場CF(99)ルカオの落としに反応したLST(33)神谷が抜け出し独走、相手GKとの1対1を制した。

J1第5節 千葉-岡山 メンバー

落とせない試合であったとは思うが、中3日の連戦を考慮したメンバー選考となった。名古屋戦で先制ゴールを決めたLCB(43)鈴木は(おそらく)休養をとった。
左に(6)大森が回り、RCBに(44)森が入った。おそらく(43)鈴木不在時の第一選択となる配置である。
RWBで(26)本山(遙)が今シーズン初出場、同サイドのシャドーに(20)河野が入り、ワントップは(9)ガウショとなる。一方、CB(48)立田やボランチの2人(41)宮本や(80)オベルダンといったセンターラインは崩さなかった。

開幕から4連敗と初日が出ない千葉にとっても、相性が良い岡山戦は落とせない一戦であったに違いない。前節川崎戦からのスタメン変更は2人に止まった。しかし、基本配置は4-4-2から3-4-2-1に変更、岡山とのミラーゲームを選択した。

2.レビュー

(1)前半

千葉は4バックと3バックを併用しているが、今節では3-4-2-1を採用、岡山にミラーゲームを挑んできた。千葉は開幕から4試合で13失点、守備の改善は急務であったが、マンマークにより対面の相手への責任を明確化することで失点減に繋げようとするねらいもあったのかもしれない。

序盤からミラーゲームらしい球際が激しく、縦に速い攻防が展開されるが、お互いにパスワークに正確性を欠き、ゲームが落ち着かない。
岡山はワントップ(9)ガウショに当てて前線に起点をつくろうと、千葉は同じくワントップ(99)エリソンにラインブレイクさせようと試みる。
先に相手ゴール前へ進出したのは岡山であった。

CH(80)オベルダンが千葉の左サイド中盤ブロック脇でボールを受け、連係したLWB(88)山根が前進、ボックス内の(9)ガウショへクロスを送るが届かない。
6分には自陣でパスカットしたLCB(6)大森がドリブル前進、PA内を抉りマイナスのクロスを出すがRST(20)河野のトラップが決まらずシュートを撃ち切れない。

続く7分には(9)ガウショが右サイド寄りに流れ、やや浅い位置に下りマーカーのCB(66)ホールを引き出すが、背後のスペースに味方が走っていなかった。しかし、岡山はこの序盤に左サイドは後方の選手も含めた持ち上がり、右サイドからは(9)ガウショのライン間での受けによる前進と、攻撃の形は示せていた。

千葉は(80)オベルダンへの警戒を強めていた。
非保持時にはマーカーのCH(25)インディオとLST(29)矢村を中心に(80)オベルダンから縦前方への前進スペース、パスコースを消す守備を優先、彼にボールが入ったところを囲おうとしていた。

これに呼応してということではないだろうが、9分には今度はCH(41)宮本が千葉のブロック中盤左脇、ちょうどRWB(7)田中の前のスペースに流れ、ここを起点に(88)山根に運ばせ、中央でLST(10)ナサンホと(20)河野のワンツーで崩そうとするが僅かに通らない。

千葉はWBの(7)田中が保持時にその攻撃力を活かそうと内寄りに入ってくる、この後の守備の切り替えの際に岡山から見て左にスペースが出来る。
岡山はここでズレをつくろうとしていた。

そしてゴール前は(9)ガウショが相手を引きつけて(20)河野を中心としたワンタッチのパスワークで(10)ナサンホが抜け出す形にトライしていた。シンプルながらこの形も有効であったと言える。

両チームともハイテンションで試合に入ったこともあり、10分も過ぎると展開に落ち着きが見られるようになった。
千葉はショートパスを中心とした前進を図るが、ここでミラーゲームを選択したことが前進の足かせになっているようには見えた。
最終的には(99)エリソンが岡山最終ラインの左右に流れることでズレをつくろうと試みていた。16分には(99)エリソンからつくったCKの二次攻撃からRST(20)石川が際どいシュートを放つ。

18分には千葉の岡山陣内でのショートパスを岡山がカット、ライン間に下りた(20)河野を経由してRWB(26)本山(遥)が右サイドを運ぶが、浅い位置からのクロスは手前で引っ掛かってしまう。
この試合で多く見られた岡山の課題の一端を示すシーンであった。岡山のPA内のアタッカー陣の動き出しは速かった。もっと早いタイミングであれば、アーリークロスが通っていた可能性は高い。
しかし、相手の守備がある程度整ってからであれば、もっとゴール前まで運んだ方が良い。
(26)本山(遥)の持ち運び、クロスを上げる判断は終始中途半端に映った。

続いて岡山の非保持時について見てみたい。
前節ではFW(99)ルカオがハイプレスのスイッチャーとなり、前半からハイプレスを積極的に仕掛けていた岡山であったが、この日(9)ガウショが先発した影響は守備面であったといえる。

20分、ハイプレスを仕掛けずに3-4-3のミドルブロックを敷く岡山に対して千葉は右にボールを散らして(88)山根を引き出し、右サイドを走る(7)田中にロングフィードを送る。(6)大森が対応したこともあり通らなかったが千葉のねらいのひとつではあった。言うまでもなく41分の同点ゴールの伏線になっていた。

この時間から千葉は(7)田中のラインブレイク、一方、岡山は同サイドの(10)ナサンホのラインブレイクによってチャンスを構築する。

飲水タイム明けの岡山は(80)オベルダンへのプレッシャーが強いことを逆手にとり、敢えて彼へボールを入れて千葉の中盤を引きつけ、そこへ(41)宮本をサポートさせることで、右サイドに展開してチャンスをつくろうとしていた。31分の先制点はその組み立ての一環から生まれたものである。

シンプルであったが、J1初ゴールを決めた(9)ガウショに関しては、自身の前方にボールを扱えるスペースがあると滅法強さを発揮する。
ミラーゲームになったことで序盤からマーカーの(66)ホールを何度も背にしていたことから、彼との優位性のような感覚は掴んでいたのかもしれない。
シンプルなラインブレイクであるが、抜け出してからもGKの動きをしっかり見ているので、早い段階でニア上にねらいを持つことが出来ていたのかもしれない。

構想リーグではチーム最多タイの4ゴールを叩き出した(9)ガウショであったが、2トップ、またはファイヤーフォーメーションになってからのコンビネーションから決定機が多かった一方で、ワントップでの動きには課題もあった。それだけにこのゴールはチームにとっても大きな意義を持つものとなりそうである。

この先制ゴールで目覚めたのか、直後の33分、千葉はそれまでほとんど見られていなかったLWB(8)津久井の突破によりCKを獲得する。ここは(26)本山(遥)がよくついていった。
このCKを千葉CH(55)喜田が蹴った際に右足を痛めてしまう。このプレーでのものなのか、自陣PA内で(10)ナサンホの突破を防いだ際のものなのかは不明であるが、(55)喜田はここで負傷退場、代わって(4)田口が入る。

そして41分、千葉がワンチャンスで同点に追いつく。

岡山としては一瞬の隙を突かれた格好であったと思う。
前節名古屋戦でも前半の先制後にミスからすぐに追いつかれており、開幕のC大阪戦でも先制のリードをあっさりと吐き出してしまっていた。
シーズン序盤ながら淡白な失点が増えている点は気になっている。
試合後に(88)山根がサポーターに謝っていたように、ラインを揃えられなかったという点では彼のミスなのかもしれないが、ハイプレスを控えるにしても、ロングボールを出した(4)田口にプレッシャーが全く掛かっていなかった点については前線にも反省点があると思う。

岡山は千葉に6年間勝てなかった訳であるが、近年はこの(4)田口の配球力と(7)田中の突破力に振り回されていた。選手はそこまででもないかもしれないが、岡山サポにとって嫌な空気がまとわりつく失点であったと思う。

(2)後半


後半開始から岡山は(10)ナサンホに代えて(8)江坂を投入する。(10)ナサンホが名古屋戦も62分出場したことを考慮すると予定された交代であったかもしれない。
彼のプレーを振り返るなら、これまでで最も良かったと思う。その理由はサイドからゴールに向かって直線的に力強く推進するプレーが見られたからである。
これまでは、この前進スペースを見つける事自体に苦労していた印象が強かった。
その理由は(99)ルカオが、彼がいる左へと流れてくる傾向が強いこと、そして後方から(41)宮本や(43)鈴木が積極的に攻撃参加してくること、そして比較的自由に動く(8)江坂を見ながら動かなくてはならなかったからであると考える。

この試合での(9)ガウショや(20)河野との関係性は良かった。
なぜなら(9)ガウショは(99)ルカオほどサイド寄りに流れない。そして(20)河野は前線3人との関係性を重視しながら動けるからである。
左CBの持ち上がりに関しても(43)鈴木の場合はパスワークで進入してくるのに対して、(6)大森は単独で入ってくる分、その背後のスペースを読みやすい、突きやすいという面はあるだろう。この日の(41)宮本に関しては、前半は(80)オベルダンのサポートを中心に本来のボランチの位置でプレーすることが多かった。
つまり(10)ナサンホの持ち味が出やすい環境が揃っていた訳だが、逆に考えると今シーズンの岡山のポジションレスなサッカーとミスマッチが生じているともいえる。
彼の場合は、これからどうしていくのか課題山積と感じる。
岡山の10番は長らく不遇であったと筆者は感じている。ようやく活躍必至な10番が来てくれたと喜んでいる。燻らずに活躍、そして目標であろう韓国代表に返り咲いてほしい。

後半の千葉のスタートは4バック気味にも見えた。前半岡山に使われた中盤脇のスペースを埋める意図や、ビルドアップの際にSBを高めに出して、(8)津久井を前に押し出したかったのかもしれないが流動的であった。
そもそも岡山が前方への圧力を高めたこと、そして(8)江坂が入ったことで千葉陣内でのキープが可能となり、岡山が千葉を押し込む序盤となった。

筆者は前節名古屋戦のレビューで(8)江坂とダブルボランチの流動的なポジションチェンジに否定的な立場をとった。その考え方自体に現段階では変わりはないが、それでもこのスタイルにチームも(8)江坂自身も意欲的に取り組んでいるとの情報もある。そこでこの新スタイルについて、良かった点を採り上げてみたい。
それが62分、千葉PA内ポケットに進入した(80)オベルダンがシュートを放ったシーンである。

J1第5節 千葉-岡山 62分 オベルダンの決定機に繋がった江坂のゲームメイク

この場面は岡山の千葉陣内での保持が続いた時間であった。
(8)江坂はダブルボランチよりも低い位置、センターサークル付近でボールを保持、縦への出しどころを探るが、見つからず、いったん上がってきたRCB(44)森へボールを預ける。(44)森は千葉の5-2-3のボランチ脇へとボール運びながら(41)宮本へパスを出す。この時はまだ岡山のダブルボランチは所定のポジションにいる。

(41)宮本もじわじわと千葉のブロックを押し下げながら前進、再び(44)森に渡し、多少前進したところで後方から(8)江坂がライン間に進入、ここで攻撃のギアが上がる。この時、(8)江坂の周囲の千葉の選手たちは全員彼へのアラートを高めている。この隙に(80)オベルダンが(4)田口の背後を回りながら一気にポケットへと進入、(8)江坂からの縦パスを受けているのである。

筆者はPA内での抜群の決定力を誇る(8)江坂が後方にいることのデメリットが気になっているのであるが、この場面はパサーとしての(8)江坂の強みが出た場面であった。そしてボランチがしっかりとポケットへと進入する時間をつくれた点が大きかったと考える。
おそらく(41)宮本も最終的にはこの(80)オベルダン同じ仕事を行うことを目標にしているものと思われるが、PA前までは進出できても、いわゆる相手の裏までは入りこめていない現状である。この場面の(80)オベルダンの動きは一つのモデルになりそうである。

この時、ワントップの(9)ガウショと(20)河野は(80)オベルダンからのクロスに備えている。この攻撃の形であれば(10)ナサンホの高い身体能力を活かしたフィニッシュ力も活きるのではないかと考える。

問題は、サイド攻撃を行う際に、ボランチがどのタイミングで中へ入るかである。そもそも岡山のサイドからのクロスは、この試合でも途中出場したRWB(51)白井など一部の選手を除き、精度もさることながらクロスの意図が曖昧に見えるシーンが多い。スペースなのか、人なのか、またはゴール前にカオスをつくりたいのか、メッセージ性に乏しいのである。

よって、シャドーの一角が後方でゲームメイクするのであれば、ボランチがクロスに入っていく動きも必要になるのであるが、そのタイミング、スイッチを構築できていないというのが、現状の岡山の攻撃の大きな問題なのかもしれない。

この試合の勝敗の構造自体は実はシンプルであったと思う。
率直に述べて交代選手の質の差であった。千葉は(99)エリソンを下げ、CF(30)松村らを入れたが、前に当てる、裏を走らせるという攻撃スタイル自体は何も変わらなかった。そうなるとパワーダウンは避けられないのである。
一方、岡山にはCF(99)ルカオが、そしてLST(33)神谷が残っていた。攻撃の質という点では(8)江坂が絡んだ一部のシーンを除き、アバウトな岡山であったが、90分内で上手く2度も裏をとることが出来た。
そんな試合であったということだろう。

3.まとめ

フクアリ初勝利は岡山の地力が着実に着いていることを現わしている。
そのことは喜ばしいことであるが、ボールを保持している時間については、レビュー中で述べたとおり惜しいシーンはいくつかあったが、全体的には千葉の守備ブロックを崩し切れないシーンが目立った。
シンプルにパワーと前進気勢が上手く得点に繋がったが、シン・ファジアーノ岡山は一つ間違えば得点力不足に陥る雰囲気もある。まだまだ前途多難であると思った。

今回もお読みいただきありがとうございました!

※敬称略

【自己紹介】

J1定着と総合型スポーツクラブへの成長を図る岡山、念願のJ2復帰へ向けて再チャレンジに挑む北九州の戦いぶりを追っていく。

日々勉強、分析、解析、解釈、更に磨いていきたい。

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