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【ファジサポ日誌】221. 愚直さの再現性~J1第7節 浦和レッズ vs ファジアーノ岡山 マッチレビュー~

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「おおっ、入った!」という言葉を思わず漏らしてしまった。
決勝ゴールを決めた立田自身もそんな感覚であったのかもしれない。
対浦和もそうなのだが、どうしても対チョウキジェ監督を意識せざるを得ない対戦にはなった。
ゲームでは予想だにしないハプニングも起こったのであるが、浦和の岡山対策は嵌り、岡山の勝ち筋は事故的な得点によるものぐらいではないだろうかと個人的に思っていたら、そういう形でゴールが決まってしまう。
不思議な試合であった。

1.試合結果&レビュー

岡山2連勝、浦和は3連勝と好調同士の一戦は、前半に岡山先制、浦和同点の1-1から後半AT岡山CB(48)立田の左サイドからのクロスがそのままゴールイン、岡山が思わぬ形で勝点3を手にした。
岡山は3連勝、勝点を13に伸ばし6位に浮上した。

まだこんな計算は早いかもしれないが、降格圏18位とは勝点9差、3勝分差をつけた。油断禁物であるが、当面は安全圏で戦えそうである。
次節のホーム京都戦を終えるとJ1は代表ゲームのため、しばらくお休みとなる。
この試合でもそうであったが、不安定な気候の中、激戦が続くことによる各選手の疲労の蓄積も感じるところである。リーグ中断期間中のリフレッシュに期待したい。

一方、浦和の連勝は3でストップした。序盤を3連敗スタートということもあり3勝4敗と負けが一つ先行することになった。

J1第7節 浦和-岡山 メンバー

岡山はCH(80)オベルダンが前節広島戦での退場により出場停止、ボランチコンビは久々に(24)藤田と(41)宮本となった。それ以外は前節と同様であった。サブには磐田からレンタル加入のFW(19)佐藤も入ってきた。

浦和はこの試合の当日(9/13)クラブ公式から集団感染についてリリースした。感染の影響と思われるコンディション不良により、主力のGK(1)西川、MF(18)林、MF(77)金子が欠場した。

浦和は今シーズン開幕から5試合を4-1-2-3で戦い、前節の鹿島戦で初めて3-4-2-1を導入し勝利した。このゲームのフォーメーションも注目された。

基本配置は3-4-2-1であった。
ただし、序盤は非保持時にWBが完全に最終ラインに戻るのではなく、自陣で岡山ボールとなった際はボールと反対サイドのWBは予め一列上がり攻撃に備える4-3-3のような構えをとっていた。流動的であったと言える。

2.レビュー

(1)前半~岡山の左封じ~

京都時代からチョウキジェ監督の岡山対策は冴えを見せていたが、この試合でも岡山の前進経路を長時間にわたり封鎖されてしまった。

この点について考えていきたいが、その前に岡山の先制までの流れと先制点について振り返りたい。
この試合の序盤10分過ぎまでは、お互いにロングボールによる前進を多用していたため、試合の争点は中盤のセカンドボールの回収にあった。この回収についても当初は五分であったと考える。
そうした展開が続く中、浦和のRCB(3)ボザがおそらく攻撃参加の際に故障を発生、浦和の交代と岡山の連続セットプレーの流れの中から、岡山が先制に成功した。

試合後の木山監督からセットプレーで獲れて良かったとの趣旨のコメントもあった。
新シーズン開幕から岡山のセットプレーからは一貫したニアねらいの傾向があり、やはりまともに中央、または対策されているであろうファーにボールを送っても、簡単にゴールを奪えるものではないことから、シーズン序盤の今のうちにニアの変化からゴールを奪うチャレンジを行っているものと好意的に解釈している。このねらいからはまだゴールを奪えていないが、こうしてデザインされたセットプレーからゴールを獲れたことは一歩前進と捉えてよいだろう。

岡山としては(41)宮本がシュート撃つ予定であったが、詰められてしまう。しかし、そのこぼれ球が右に流れる間に、ゴール前中央にいた(6)大森が動き直しニア寄りのスペースにポジションを取り直す動きが効いている。FWのような動きと評された部分であろう。
そして、対面の相手を剥した(26)本山が浮き球ではなくグラウンダーのクロスが供給したことで更に浦和守備陣の意表を突いた。
ニアのスペースを完全に確保していた(6)大森は、まるで(26)本山と示し合わせていたかのようにフリック、背後にいたCF(45)オナイウの意表も突き、ゴールへと流し込んだ。

育成年代では前線経験があり、徳島加入時はボランチであったことを踏まえると足技の巧みさは言うまでもないことなのかもしれない。
構想リーグプレーオフの浦和戦のパワフルなヘディング弾とはまた異なる一面を見せてもらえた。
岡山の「DFW」というとパワフルなDF(18)田上のフィニッシュも特長的であるが、彼とはまた異なるタイプのフィニッシャーが誕生した瞬間かもしれない。

岡山は先制ゴール直後に、岡山陣内に進入してきたCB(5)根本からCF(99)ルカオが奪取、そのまま重戦車と評されるドリブルで浦和DF陣を振り切り、そのままシュートを放つ。またこの直後の浦和のビルドアップに対しては、浦和が明確に3バックとなり岡山前線と同数となったことから、岡山が積極的にハイプレス、再奪取に成功している。

流れが変わったのは22分の浦和のビルドアップであったと思う。
浦和最終ライン3枚と岡山前線3枚がかち合う形を嫌い、浦和は深さをとるGK(23)福井を使いながらボールを回す。(1)西川が得意とするプレーである。こうして岡山前線からボールを遠ざけ、岡山の前線を引っ張った背後に下りてきた(12)瀬古を中継して、更に中盤に下りてきた(42)南野を使った前進に成功、岡山を自陣に押し込み始めた。

岡山は回収すると(99)ルカオを前線に走らせる。
浦和は(12)瀬古にボールを預けて前進、左右に散らしながら配球する。

この時間帯は現役日本代表(12)瀬古の実力が大きく光っていた。
(12)瀬古は自陣からの組み立てのみならず、岡山陣内では岡山5-4-1ブロックの中盤手前でキープする。ここに寄ってくる(10)サヴィオらとショートパスを交換することで、岡山中盤4人に飛び込む隙を与えない。
そして、この中盤が寄ってくるタイミングでライン間にポジションを取る味方にパスを出すのである。

この同点ゴールは(42)南野が(43)鈴木のマークを何気なく外して(12)瀬古から斜めのパスを引き出し、レフティの(43)鈴木が処理しにくい左サイド寄りに流れて、かつ左足でボールを隠しながら反転、シュートも角度がほぼ無かったと思うがボール1~2個分のコースを正確に突いていた。岡山としては完全に崩された形であったと言える。

さて、ここからようやくこの項目の本題となる。

この試合は浦和サイドの目線から振り返りを進めた方が分かりやすいと考える。浦和が前半にやりたかったこと、その一番は岡山のビルドアップの封鎖と考えられる。
岡山のビルドアップの道筋、その有力な方法の一つがWBを使った前進である。これについては各WBの特性面も影響するが、岡山では(51)白井や(88)山根といったドリブルでキープしながら運べる選手がその担い手となる。

この試合では前節と同様に左WBに(51)白井が入ったので、浦和としては岡山の左からのルートを封鎖したい。
また、浦和の過去5戦のデータをみると、右からの攻撃構築の頻度が高くなっている。これは(3)ボザや(77)金子といったタレントが存在することも大きいのであるが、浦和の強みとこの試合における戦術的ねらいが一致する状況が生まれていた。

まずは、ロングボールで(51)白井の裏をRWB(8)水沼に狙わせて岡山を左へと押し込む。
浦和は3バックスタートであったが、序盤は(3)ボザがSBのような立ち位置をとることで数的優位を形成していた。
そして、ハーフウェイ付近から岡山陣内でSB化した(3)ボザ、(8)水沼、RST(42)南野の3人で数的優位をつくり、状況によってはここにCH(12)瀬古が加わり、岡山の左からの前進をタイトに制限していた。

浦和の岡山左対策は非保持のみならず保持時にも発揮されていた。
自陣での保持時に、プレスに出る(51)白井に対して(3)ボザと(8)水沼がレーンを交換しながら(51)白井を引きつけ、2人のパス交換から突破、(51)白井の裏のスペースにLCB(43)鈴木を引っ張り出そうとしていた。

28分の場面を採り上げてみたい。
このシーンは岡山が自陣左で奪取、(51)白井のドリブルによりロングカウンターを仕掛けたのであるが、浦和は予め彼を警戒。(51)白井がドリブルで前進する際にも彼の進路に複数の選手で入り、そのスピードを緩めさせながらも、巧みに彼を単独で浦和陣内中央へと誘い込んでいた。
これは意図的に浦和が誘っていたようにも見えた。こうしたちょっとしたシーンにJ1とJ2の違いを感じるのであるが、J1ではこうした相手の力を使った駆け引きが随所で発生する。

J1第7節 浦和-岡山 28分 浦和右サイドからの攻略

岡山のロングカウンターは不発。再びボールを握った浦和は(51)白井がいない右サイドから展開する。この時、大胆に中央のCB(5)根本が右に開き、負傷の(3)ボザに代わり右CBに移った(2)宮本が右SBのような位置どりを取る。
(2)宮本を制限する(51)白井がいない為、(43)鈴木がスライドしてプレスを掛けようとするが、これをCH(41)宮本が制して自陣に戻るように指示、フリーの(8)水沼からのクロスを許すが戻った分、際どいボールを送られるまでには至らなかった。

(2)宮本が低めの位置を敢えてとることで、(43)鈴木の裏のスペースを広く使おうとしている。この場合であれば岡山の(41)宮本がサイドに出て網を掛けても良いのであるが、(41)宮本は下りてきたRSH(42)南野へのパスコースを消さなくてはならない。中央封鎖が優先となるからである。こうなると、岡山の左サイドを使った攻撃は自重せざるを得なくなるのである。

浦和は15分に(3)ボザが負傷により交代、LCBに構想リーグまで岡山に在籍していた(15)工藤が入り、(5)根本が中央、(2)宮本が右に回った。戦術的にも影響がある交代に思えたが、(2)宮本は自らのドリブルで前進する機会も多く、岡山の左サイドとしてはより厄介な存在になっていた。

では中央を使う場合はどうであったかというとここも浦和のワントップ+2シャドーが岡山の3バックにしっかりプレスを掛けており、岡山はGK(1)モーザーを含めて蹴らされてしまう場面が最近の試合と比べても目立っていた。
蹴らされしまうため、ロングボールにも精度が出ない。無理な味方の落としと浦和に跳ね返されることで中盤の回収にも苦戦することになったのである。

(2)後半~愚直な粘り~

こうした状況の解消方法を考えた場合、筆者個人の指向としてはボールを運ぶ道筋を増やしたいと考える。
そこで左がダメなら右はどうだろうかと考えたくなるのである。
最近2試合のクロスの精度や粘り強い守備により、その評価を上げているRWBの(26)本山であるが、自陣から運ぶという仕事に関しては、左の(51)白井と比べるとまだまだ成長の余地があるように感じる。
そこで(26)本山に代えてドリブルしながらキープできる(88)山根を入れて、ビルドアップの出口を右にも設けるという策は一案であるように思える。

後半も最初は両チームやり方自体は変わっていなかったと思う。
しかし、(12)瀬古と下りてく際の(10)サヴィオを中心とした中盤での回収力が高い浦和が、保持の局面に入っていく。岡山はハイプレスで制限を掛けようとするが、再び最終ラインを4枚のような形に可変、サイドに出口を作っていた。

岡山の突破口はやはり(99)ルカオであった。
50分には右サイドに流れた(99)ルカオが浦和守備陣を吹っ飛ばしながらキープ、スローインを獲得しながら前進、最終的には自らヘディングシュートを放つ。この(99)ルカオに浦和は古巣対戦となった(15)工藤を明確に付けさせた。(99)ルカオのパワーに圧倒されつつも(15)工藤は要所を締める粘り強い守備を見せていた。

岡山はいつもより早い56分、両シャドーをRST(10)ナサンホ、LST(33)神谷へとスイッチする。前節の広島戦でも10人になった岡山を前から引っ張った2人である。
岡山は改めて前線の走力と推進力を強化、個による打開を図っていく。
岡山は改めてチームコンセプトである相手コートでのサッカーを徹底するべく、ハイプレスを強化する。
そして、(33)神谷が入るとセットプレーの期待値が高まる。
岡山の勝ち筋はこの段階で見えてきていた筈であった。

57分のCKは岡山がずっと狙っていたニアで(43)鈴木が合わせるが、GK(32)福井が好セーブ、こぼれ球を(6)大森が押し込もうとするが、(15)工藤が体を入れて辛うじて防ぐ。つい最近まで一緒に戦っていたCB同士の攻防は迫力十分であった。

59分、浦和陣内での(99)ルカオのCH(37)植木へのファールが流されなかったことで場内が騒然となる。思い返してみれば、この辺りから不穏な空気が場内に漂っていたような気がする。

後半も浦和保持の流れであったが、60分前後では岡山にも保持の展開が生まれる。浦和の4-3-3(4-4-2)のブロックは岡山のボールホルダーに対しての寄せが速い。岡山はブロック内になかなか差し込むことが出来ず、結局は外回りの単調なクロスに頼る場面も多かったが、(10)ナサンホは浦和4バックの脇のポケットに進入、チャンスメイクを図っていた。

やはり、この両シャドーの交代は効いていたと言える。

ポイントとなった交代策が浦和側にもあったと思う。
63分の(12)瀬古から(25)安居、(10)サヴィオから(13)渡邊への交代である。
先に述べておくと、(25)安居や(13)渡邊が入ってからも浦和の保持の質は高かったと思う。しかし、ここまで述べてきたように(12)瀬古や(10)サヴィオが絡む浦和の保持は質が一次元違うのである。
(12)瀬古に関しては、非保持時も常に味方のポジショニングを360℃の視野において行っていた。その姿はピッチ上の指揮者であった。

(12)瀬古が不在となった影響は浦和最終ラインからの繋ぎにあったように思う。浦和全体が前掛かりになったこともあるが、下りてきてほしい時に下りられる人がいなくなったことで、若干浦和最終ラインの球離れが悪くなったように見えた。岡山はこの交代の直後(99)ルカオからCF(9)ガウショにスイッチするが、ハイプレス自体はこの時間からの方が効いていたようにも見えた。

このように確かに岡山に流れが傾きそうな時間もあり、実際にこの後半は(10)ナサンホのチャンスメイクから(9)ガウショに決定機を訪れたりもしたのであるが、やはろ浦和の4枚でスタートするビルドアップに対する構造的な解決策を岡山は持っておらず、完全に自分たちの時間には出来ていなかったと考える。
一方、それは浦和も同様で、ボールはキープ出来るが、アタッキングサードに入ってからの崩しが岡山と同様に単調で、お互いに十分なゴールの匂いはしなかった。ただ、浦和が持てる分、ゴール近くへ運べる回数が多くなる。
何となくそのうちの一発を決められてしまう展開になりかけていたようにも思える。

70分近くになり、保持する浦和に対して走らされてきた岡山の選手たちにも疲労の色が見始める。ファールで浦和の選手を止めるシーンも増えてきていた。

そんな状況であったが故に80分に浦和(37)植木が足を攣ったタイミングで上田主審のインカムが故障、取り換えるのに5分近い時間を要したのは、特に岡山の選手にとっては絶好のブレイクになったように見えた。
その80分に岡山は(24)藤田に代えてRCB(44)森を投入、(6)大森をボランチに上げる。この試合で4枚目の警告を受けた(41)宮本は次節京都戦が出場停止となる。(24)藤田の3戦連続先発も予想されるが、ボランチ(6)大森を試しておきたいとのベンチの考えもあったのかもしれない。

ATに突入、再びオープンな展開になる中、浦和がゴールに迫る。岡山としては耐える展開が続いていたが、94分、浦和(13)渡邊のシュートを(41)宮本が顔面でブロック、そのまま倒れるが上田主審は試合を止めずに流す。映像では一度起き上がった(41)宮本がふらふらと歩くシーンまでが確認できたが、これは主審がすぐに止めるべき事案であったと思う。

(41)宮本の治療、搬送の間になかなかスタジアムが沈静化しなかった件については、不可抗力もあったのかもしれないが、やはり要治療者の体調配慮を最優先に考えねばならない。ピッチから見えないというのであれば、細かい事象も断定的には確認できないのである。疑わしきは応援を中断するという姿勢で応援指揮団体が臨めるかどうかに最終的には懸かっていると考える。幸いにも大事に至っていないようで何よりであった。

浦和のチョウキジェ監督は試合後、こうした間について言及していたが、確かに影響はあったと思った。
岡山がこの試合で明確に展開的に浦和を上回ったのは実はこの中断以降、ATの残り数分であったように思えた。

まさかの決勝ゴールは、岡山が浦和陣内で押し込んだ際に最終ラインもハーフウェイライン付近まで上げている。そこでボールを引き取った(48)立田が浦和の最終ラインから逃れるために左サイドに持ち運んでいる。
残り時間を考えれば、実は最善の防御策でもあったのだ。

そして自身が攻撃参加している以上は絶対に中途半端な奪われ方をしないというDFリーダーらしい責任感から生まれたゴールではないだろうか。

3.まとめ

劇的ではあったが、岡山が勝てそうな試合であったかと問われればそうではなかった。岡山の戦術はシンプルであり、状況打開も個の力量によるところが大きい。そのため、構造的に優位性を持つ、個の力量で優位に立つチームと対戦するとわかりやすく試合展開は不利になる。
こうした点をチョウキジェ監督にストーレートに突かれたとも言える。
そんな一戦であった。
しかし、岡山の良さを表現する際によく使われる愚直さを、戦力的に充実していると言われる今の岡山の選手たちが、隙なく体現できる点がチームとしての大きな強みとなっており、上手くいかないなりに試合を維持出来た要因であったと思う。それは各中断以降の試合運びにストレートに反映されたと捉えたいが、やはりまとめにくいゲームではあった。

今回もお読みいただきありがとうございました!

※敬称略

【自己紹介】

J1定着と総合型スポーツクラブへの成長を図る岡山、念願のJ2復帰へ向けて再チャレンジに挑む北九州の戦いぶりを追っていく。

日々勉強、分析、解析、解釈、更に磨いていきたい。

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