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【ファジサポ日誌】208. 理想的な戦いであったが ~ 百年構想Lプレーオフラウンド第1戦 ファジアーノ岡山(浦和レッズ戦) マッチレビュー ~

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1.試合結果&メンバー

実際のゲームを見た印象面においても、各種スタッツ上からも全体的に岡山優勢のゲームであったと思う。後半、CF(99)ルカオの先制ゴールが決まった後に関してもその印象が強かったが、浦和がポケットに飛び込んだLSH(10)中島翔哉の柔らかいターンを伴ったファーへのクロスにRSB(3)ダニーロ・ボザが飛び込み同点。熱戦となった。

ホーム&アウェイの第1戦はドロー。次節、アウェイでの順位決着となる。
岡山の対浦和は昨シーズンは2戦とも0-1での敗戦、今回のゲームで初勝利とはならなかったが、初めてのドローを記録したことになる。

百年構想リーグPOラウンド第1戦 岡山-浦和 メンバー

岡山は前節C大阪戦からスタメン3人を変更してきた。
GK(1)レナート・モーザーはアウェイ長崎戦以来の出場となる。
(52)濵田太郎との正GK争いについては、今のところ併用という方針であることがこの起用からも伝わってくる。替えるタイミングはシンプルに前の試合で失点が重なった時であり、GKの判断が上手くいかなかった試合の次という印象である。

RWBは(51)白井康介に代わり(26)本山遥がこちらも久々のスタメンとなった。浦和は4-4-2であるが、攻撃時にはLSB(88)長沼洋一がWBのように張り出し、高い位置をとってくる。この動きをしっかり規制したいとの意図が伝わってくる。

そして、ワントップにはこちらも久々に(99)ルカオがスタメン起用された。最近スタメンに定着していた(98)ウェリック・ポポはメンバー外となった。スタジアムには来場していたが、今週に入り他クラブへの移籍によるチーム活動離脱が正式に発表された。
RBブラガンチーノからのレンタル期間はこの構想リーグまでである。
3ゴール3アシストと構想リーグで頭角を現した(98)ポポの買い取りは、多くのサポーターも望むところであったが、様々な情報をみた限りでは金銭面のみならず成績面についても条件があった可能性がある。
新シーズンに向けて彼の離脱は痛いことではあるが、RBグループからのレンタル受け入れについてクラブとしても何らかの戦略は持っていたのではないかと推察する。今後の検証や新たな展開に期待したい。

浦和は前節町田戦からスタメン5人を変更してきた。CF(36)肥田野蓮治は昨秋のアウェイ岡山戦がプロデビュー戦であり、鮮やかな決勝ゴールを決めた地で久々の先発となった。
(26)本山のところでも述べたが浦和は攻撃時にLSBの(88)長沼が予め高い位置を取り、(10)中島が内にポジションを取ってくる。

ベンチには田中達也暫定監督体制に代わり出番を増やしていたMF(39)早川隼平が入った。岡山がJ1昇格を決めた2024シーズンに前線の駒不足の窮地を救ってくれた選手である。
浦和からのレンタルとなると、どうしても現在負傷離脱中の(2)工藤孝太の動向も気になる。ご覧のように現在の浦和には(2)宮本優太と(5)根本健太の強固な2CBが君臨する。実際にこの試合でもこの2人が岡山攻撃陣の前に立ちはだかった。今後の浦和の体制の変化にもよるが、気になるところである。

2.レビュー

(1)前半

昨シーズンの浦和戦と合わせて振り返っても、同チームとの対戦では最も良かった試合内容であったと思う。

試合開始時点で30℃を超える気温が観測されていたと思うが、序盤から激しいトランジションの応酬となった。最初の15分はハイペースな戦いであったと言える。保持する浦和に対して、岡山が完全に持たせていたとまでは言えないのであるが、岡山のボールの奪いどころは浦和最終ラインから主に(88)長沼、(10)中島ら中盤にパスが入った所であった。
ここをダブルボランチとRCB(6)大森博で挟み込んで奪い、こぼれ球を可変により3CBに変化している浦和最終ラインの脇や(99)ルカオに素早く蹴り込み、味方が走り込むという、いつもどおりの形を表現できていたと思う。

一方、浦和も保持による崩しのみではなく、岡山の3CBの脇や5-3-2ブロックの脇のスペースへ早めにボールを送る、そして運んでいた。
どちらかと言えば攻撃としてはこの方法が有効で、CKも含めた決定機を迎えるが(1)モーザーが好セーブを見せる。
岡山としては良い立ち上がりであったが、一瞬の隙を突いてくる浦和へのアラートも維持しなければならない展開であったと言える。

お互いに最初の15分をハイテンションで入った分、前半の中盤、その後の15分はペースダウンする。改めて浦和が保持しようとしていた時間帯であった。
浦和の保持はやはり一列上がった(88)長沼にボールを預けるものであり、岡山の奪いどころは変わらずここであった。
岡山は(99)ルカオとRST(27)木村太哉が浦和2CBにプレス、(88)長沼に誘導したところを(26)本山とダブルボランチで規制し奪う。16分(26)本山のドリブルによる前進、そしてクロスから(99)ルカオのシュートに至ったシーンは岡山のねらいどおりであったと言える。

浦和はこうしたシーンを踏まえて、岡山のハイプレス回避を優先する。2CBではなくGK(1)西川周作の「配球」から直接前線に起点をつくる。この起点づくりは浦和の陣地回復に大きく役立っていた。
最近の記事で筆者は今シーズンの岡山のロングカウンターの充実ぶりについて述べてきたが、非保持に切り替わった際の浦和の撤退は速い。
ワイドにピッチを使う3-5-2から一気にゴール前の4-4-2ブロックへと収束するスピードは特筆であったと言える。
岡山としては一時的に持たされそうな嫌な展開ではあったが、LST(8)江坂任を中心に無難にサイドに流すのではなく、あえてコンパクトな浦和ブロックをテンポアップにより攻略しようとした姿勢には好感を持った。

岡山はサイドに流れる(99)ルカオを使いながら、浦和陣内で保持しながら前進、CKの獲得からゴールを狙おうとするが、この試合に関しては全体的にセットプレーの策が上手く嵌らなかった。こういう試合もあるということだろう。

岡山の左サイドからの攻撃に関しては、対面の(88)長沼が上がってくる右サイドとは異なりセットされた状態である。よって、岡山としては細かい崩しも要求された。LWB(88)山根永遠、(8)江坂を中心としたパスワークから浦和のサイド裏のスペースを狙うシーンもあったが、ショートパスの精度を欠いたと言える。(88)山根からのファー狙いのクロスに関しても待ち構えていた浦和守備陣に跳ね返されることが多かった。

前半の30分近くになると、両チームに険しい表情を見せる選手も現れていた。互いにペースダウン、精度も落ちた前半の中盤であったと言える。

前半終盤の岡山からはGK(1)モーザーのゴールキックに進境が見えた。これまでと異なり飛距離が出ていたのである。これは元々蹴る能力はあったが、コントロールショットに止めていた可能性もあるのだが、岡山は彼のキックから前線深い位置に起点をつくることが出来ていた。
そして(99)ルカオのポストプレーがこの時間帯は非常に安定していた。
最近の彼のポストプレーはスローテンポの展開においても簡単に失わない安定感がある。そして、一度前を向くと大きな蹴り出しにより自分たちの展開にスイッチできる良さがある。

浦和も岡山陣内でボールを奪った際にはCH(11)サミュエルグスタフソンを起点の正確なロングパスが効いていた。彼にボールが入ると、浦和は相方の(25)安居海渡を含めて全員がワイドにポジションをとれる。つまりピッチを広く使うことができるようになる。岡山にとっては対浦和で苦手な展開になるということだ。

お互いに体力面の問題は抱えながらも良い攻防を披露できた前半であったと言える。

(2)後半

前半と異なりファー狙いのCKから(27)木村が決定機を迎えた岡山が主導権を握っていく。この後半序盤の岡山の攻撃に大きな成長を感じた。
それは浦和の4-4-2の守備ブロックをサイドチェンジを用いながら揺さぶり、浦和のコンパクトな陣形を広げた点にある。

これは4-4-2ブロックを攻略する基本とも言えるが、岡山は自陣からボールを落ち着いて保持しながら浦和陣内への進入に成功していた。
明らかに持たされていたのではなく、能動的にボールを持っていた点は岡山の大きな成長と呼べるだろう。

この(99)ルカオの先制ゴールも形はシンプルであるが、この前の組み立て段階でしっかりと浦和の陣形を広げていたことがゴールを決めた(99)ルカオに余裕のあるプレースペースをもたらしているのである。

ボールを保持する目的の一つには、ボールを持つことにより相手の立ち位置を変えることがある。何となく岡山にも保持の本質的な香りが漂ってきている点が嬉しい。
この局面のみを切り取ると(8)江坂の動き出しにより(11)グスタフソンを引きつけたことで、(26)本山がクロスを上げられやすくなっている。弾道性のクロスを上げたことで(99)ルカオの仕事は高い打点で叩きつけるだけになっていたことも大きかった。

(99)ルカオとしてはこの段階で「弟分」(98)ポポの退団を知っていた可能性はある。自分自身が更に岡山の前線を引っ張っていかなくてはならない、自覚を結果で示したゴールであったと言えそうだ。

リードを許した浦和はこれまでよりも積極的にボールを握り、早い段階での同点を目指す。
自ずと浦和の岡山陣内への進入機会は増える。

岡山は自陣で最終ライン5枚で守る。浦和の保持のキーマン(88)長沼はその5枚の更に外で構える。岡山としては(88)長沼との距離は詰めやすい状況ではあるが、厄介であったのがCBの(5)根本がここに攻撃参加してくる動きであった。(5)根本がサイドに張ってくることで(88)長沼をフリーにしやすくなるのである。細かい点にはなるが、岡山のこの構想リーグでの課題を一つ述べるなら、異なる形で福岡戦でもみられた現象ではあるが、相手CBの攻撃参加をどのように規制するのかという点が挙げられる。
相手は当然ズレをつくるために行っていることなので、そもそも規制することが構造的には難しいのであるが、J1で勝点を上積むためには、こうした守備戦術も必要な気はする。

それでも岡山は浦和の保持に対して構えて守り、得意のロングカウンターから追加点を奪おうとする姿勢は明確に見せていた。この辺りは今シーズンの自分たちの強みをしっかり把握している振る舞いであったと考える。

そんな流れの中で、岡山がカウンター気味の運びから保持に転じてフィニッシュに至った場面があったので振り返ってみたい。54分50秒からの場面である。

浦和の分厚い攻撃に対して、岡山が自陣ゴール前で回収する。(6)大森から(5)小倉へと渡り前方へ展開しようとするが、上図のように浦和の再奪取の構えは強固で(5)小倉は最終ラインへ戻す。

受けた(48)立田と横の(43)鈴木にも浦和2トップがハイプレスを仕掛けており、(48)立田としてはサイドに開いた(88)山根に出すにもプレスに引っかかる可能性はあった。

ここで(48)立田が苦し紛れに蹴らず、斜め前方にいる(99)ルカオへのパスコースを見つけた視野の広さに感服した。

実は今シーズンの岡山は最終ラインからボランチを飛ばした縦パスによる組み立てにも数多くチャレンジしている。そしてその縦パスの多くが、相手がコースを消しにくい斜めのルートを通している点に特長がある。

そして、この(48)立田からのパスを受けた(99)ルカオがこれまでなら背後のマーカーを剥がそうと反転し縦へとドリブルするところを、この場面では確実にキープして味方の上がりを待ち、横パスからサイドチェンジ、やはり浦和の陣形を広げようとしているのである。最終的にこの崩しから得点にはならなかったが(8)江坂のシュートで終えられたことは盤面返しとしては最高の形であったと思う。

ボールを奪ってからの各局面で、一発的なプレーに懸けるのではなく、相手のトランジション等をリスペクトした上で、得点の可能性を高めるプレーを組織的に展開できるようになっている。
今大会における岡山の大きな成長ポイントではないだろうか。

ここまでお読みいただけると、これは岡山の勝ちパターンとお感じになられるかもしれない。筆者もゲームを観ながらこの時間帯まではそのように感じていた。では、なぜ同点に追いつかれたのか。この点を考えてみたい。

まず、最初のポイントは浦和の57分の3枚代えにあったと思う。
(11)グスタフソンからCH(13)渡邊凌磨、RSH(14)関根貴大からRSH(77)金子拓郎、CF(36)肥田野からCF(24)松尾佑介へと同ポジションでスイッチする。
この交代により浦和は保持色を明らかに強めた。
後半最初の15分の浦和の保持率は58.3%であったが、60分からの15分は67.3%まで上昇しているのである。

特に(24)松尾は岡山の3CB脇や最終ラインの裏のスペースなどに頻繁に顔を出してはキープを繰り返した。岡山の5-4-1ブロックは強固であったが、浦和の保持に対して徐々に疲労の色を濃くしていく。

そして2つ目のポイントは、各選手に疲労の色が見えていた岡山も積極的な選手交代を行っていたことである。そのこと自体は問題ではないのだが、交代直後の守備の甘さが出てしまった失点シーンであったとも言える。

左右に3CB脇を突いてくる(24)松尾をなかなか捕まえられない岡山であったが、この場面は(6)大森が出ていき対応している。岡山の選手たちは(24)松尾からのクロスを警戒していたと思うが、しかし、その裏のポケットを(10)中島に使われてしまう。このスペースを使った分、後方からRSB(3)ボザがボックス内に進入する時間をつくることが出来た。柔らかい反転からのクロスに対して、このシーンの直前に投入されたばかりのLST(66)西川潤は(3)ボザを捕まえることが出来なかった。

岡山は(99)ルカオに代えてCF(9)レオ・ガウショも既に投入済であった。これまでの(9)ガウショの起用法は主に後半の3-1-4-2への変更時ということで2トップの一角での起用が多かったが、この試合ではワントップを務める。これも(98)ポポが離脱する前提にあったなら、今後に向けてのテストであったと考える。

プレーそのものは悪くなかったと感じた。(99)ルカオや(98)ポポとは異なり、ストライカー気質が強い分、ポストプレーにしても球離れが早い。その分、シュートで終えるプレーも多く、オープンな展開においては効果的と感じられる反面、得点をマークした過去の試合のようにゴールに近い位置にはなかなか進出できていなかった。こうなると、やはり相方がいた方がより良いプレーが出来ると考えた方が良いのかもしれない。
この日の岡山ベンチにはCF(22)一美和成も控えていた。岡山はひょっとしたら最後の交代で(22)一美を投入、2トップに変更するプランも持っていたかもしれない。しかし、この試合では終盤LCB(43)鈴木喜丈が足を攣らせて交代、交代枠が無くなってしまった。

一方、(9)ガウショの守備に関してはこれも可もなく、不可もなくといった印象であった。浦和が保持している状況なので、中へのパスコースを消すことが優先されていたが、サイドへの誘導はやれていたと思う。しかし、先発起用となった際の能動的なプレスという点については、まだ判断はつかない面もある。

全体的に後半の終盤は暑さの影響からか、お互いにパフォーマンスは落ちてしまった印象が残った。

3.まとめ

以上、簡単に浦和戦を振り返った。
地域リーグラウンドが終わり、いよいよ東日本のチームとの力比較が始まった。
今週は全体的に西日本が優勢の結果が出る中、岡山は浦和を相手に昨シーズンの2度の対戦よりも良いサッカーが出来ていたことは間違いないと思う。
しかし、勝ちパターンを考える中、ドローという結果に終わったことに関してはシンプルに浦和の個と組織の質によるものと捉えたい。
岡山としてはこうした試合で勝点3を得るには、交代選手がこれまで以上に質を高めていかなくてはならない。
前進はしたが、更に宿題も得た。そんな第1戦であった。

今回もお読みいただき、ありがとうございました!

※敬称略

【自己紹介】
雉球応援人(きじたまおうえんびと)
J1ファジアーノ岡山、J3ギラヴァンツ北九州レビュアー
レビュー作成が趣味を超えてライフワークになりつつある。

J1定着と総合型スポーツクラブへの成長を図る岡山、念願のJ2復帰へ向けて再チャレンジに挑む北九州の戦いぶりを追っていく。

日々勉強、分析、解析、解釈、更に磨いていきたい。

岡山在住の開業社労士。今年も日常に追われる。
鉄道ファンでもあるが、最近は鉄分不足が続く。

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