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【ファジサポ日誌】202. 大外をとれ! ~ 百年構想L第14節 ファジアーノ岡山(サンフレッチェ広島戦) マッチレビュー ~

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レビュー作成経費、作成中の筆者のコーヒー代に使用させていただきます。

今節のレビューの作成中に非常に残念な出来事が起こってしまった。
実は今回のレビューの内容にも多少影響が出る部分があったので、特にこの前書きを中心に大幅な書き直しを行っていた。
この件については、今後何らかの形で触れることはあるかもしれないが、少なくとも両クラブのサポーターの感情が昂っている現在ではない。
そして事の行く末をもう少し見なくてはならないと思っている。
また、このレビューは毎号お読みいただいている熱心な読者様によってお支えいただいている。まず筆者としては、そうした場を荒らさずに確保することを最優先に考えたい。

1.試合結果&メンバー

後述するように、多少ズレをつくろうとする動きは見られたが、全体的には3-4-2-1同士のミラーゲームによるバチバチなデュエル色の強い戦いが展開された。
互いに決定機をモノに出来ない中、終盤83分、岡山が交代出場選手のコンビネーションから新加入CF(9)レオ・ガウショのゴールで均衡を破る。
その後は、同点に向けて猛攻を見せる広島をゴール前の堅い守りで跳ね返し続けた岡山がそのまま1-0で逃げ切った。

昨シーズンからスタートした広島との対戦は4戦とも1点を争う薄氷の結果となっている。

百年構想リーグJ1WEST第14節 岡山-広島 メンバー

今週水曜日(4/29)から中2日の連戦である。
岡山はターンオーバーを行った。
GKは4試合ぶりの先発となった(52)濵田太郎が出場、(1)レナート・モーザーはメンバー外となった。パフォーマンス自体は安定していたと感じられた(1)モーザーであるが、DFラインとの意思統一に課題があるとする説もある。正確なところは不明であるが、客観的にピッチを俯瞰する機会が設けられたということも考えられなくもない。

最終ラインではDF(18)田上大地がメンバー外となった一方、CB(48)立田悠悟は続戦となった。ハイパフォーマンスが続く一方、最近の試合では疲労している様子も見受けられる。広島の1トップに長身選手が入る可能性が高かったことからも中央に長身の(48)立田を配したいとの意図が続戦の理由であったのかもしれない。

そしてボランチではベテラン、キャプテンCH(7)竹内涼が今シーズン初出場を果たした。昨シーズンは11試合に出場した(7)竹内であったが、J1昇格後のスタメンはこの試合が初となる。

左シャドーでは(40)河野孝汰が先発した。一方でこのポジションでスタメン出場を続けてきたMF(8)江坂任はベンチスタート、ベンチにはコンディションが整ったMF(17)末吉塁もエントリーしてきた。

広島もスタメン5人を変更した。ボランチの(6)川辺駿は3試合ぶりの出場となった。

2.レビュー

(1)前半~設計された守備と攻撃の課題~

今シーズンの広島は従来の縦に速いサッカーのみならず、保持からの崩しにも取り組んでいる。同じく縦に速いサッカーに加え、保持に取り組んでいるという流れについては岡山も同様であるが、広島の場合はリーグ制覇やアジア制覇といったより高い目標を志す為の戦術強化という側面がある。

こうした流れもあり、前半の広島は比較的地上戦を指向していたと言える。
岡山にとってはこの繋ぎの過程をボールの奪いどころとして狙っていた。

特に目立ったのがRCB(6)大森博やLWB(88)山根永遠のパスカット、インターセプトである。31分には広島が左サイドに展開、中に下りてきたCF(10)鈴木章斗に当てようとしたボールを胸トラップでカット、数メートルを持ち運び、そのまま広島陣内右サイドに開いたRWB(28)松本昌也に斜めのパスを通し、岡山は広島陣内右サイドへの進出を成功させた。

少し時間が戻り16分には広島のビルドアップではないが、中盤でのセカンドボールが広島RST(30)トルガイ・アルスランに繋がりそうなところを最終ラインから思い切って前進した(6)大森が後方から(30)トルガイにプレッシャーをかけて奪取、そのまま縦に持ち運び、右に開いたCF(99)ルカオにパスを通し、彼のクロスからRST(27)木村太哉がゴール中央で決定機を迎えた。

この試合の(6)大森の前進気勢は岡山の右サイド攻撃に厚みをもたらしていた。序盤の1分、4分には共に(6)大森の攻撃参加により岡山が右サイドでズレをつくり、それぞれクロスから決定機をつくっている。
岡山優勢の流れをつくる貴重な先制攻撃に関与した。

(6)大森の前進を支えていたのが、彼自身の素早いトランジションにもよるが、中央CBに入った(48)立田のカバーも大きなサポートになっていた。
岡山がボールサイドに幅を圧縮することで(6)大森と縦関係になり、彼の後方のスペースをケア出来ていたのである。

(6)大森のスプリント力、そして球際で負けないサイズとボール奪取力、更には元ボランチとしての能力を活かした奪取後の確実な配球力がこうした積極的な守備を可能としている。

個の能力を最大限にチーム戦術に還元する木山ファジらしい守備と言える。

一方、9分の(88)山根のインターセプトには広島のビルドアップの特長を踏まえた岡山のねらいが見えていた。

百年構想リーグJ1WEST第14節 岡山-広島 9分山根のインターセプト

この試合の岡山は広島の最終ラインに対して(99)ルカオ、(27)木村プラスボランチの1枚を中心にプレスを掛けていた。LST(40)河野はいつもこのポジションに入る(8)江坂同様に相手のWBを監視するため、一列下りたポジションに位置していた。このRWBのポジションに広島はRCB(33)塩谷司が可変してくる。大まかに前節の名古屋戦と似ている形である。

このサイドに展開されてLWBの(88)山根が引っ張り出されてその裏を突かれたのが前回対戦時であったので、岡山としては(33)塩谷にパスを通された方が厄介であったかもしれない。

この場面は、前線の2人がプレスには行かずにセット、(7)竹内が(6)川辺を見ながら(41)宮本と広島(10)鈴木へのパスコースを消している。(41)宮本としては中に入ってきた(15)中野の存在も気づいていたのかもしれないが、何となく彼へのパスコースを空けているようにも見えるのである。

そして(40)河野の動きが絶妙と感じたのであるが、広島CB(4)荒木隼人がパスだ出そうとする瞬間に(33)塩谷へのパスコースを素早くカットする動きを取っている。

これによって、(4)荒木の選択肢が瞬間的にRWB(15)中野就斗のみになっているのであるが、(33)塩谷の前方のスペースを警戒しながら(15)中野の後方でマークに付いていた(88)山根が一気に前に出てインターセプトに成功している。

この岡山の前線2枚からの一連の動きをみていると、やはり前回(33)塩谷の可変に苦戦した反省と、最近の広島のビルドアップの傾向を踏まえて、ハーフレーンを空けて広島を誘導していたようにも感じるのである。

岡山のこれまでの守備は比較的にオーソドクスで、昨シーズンまでは相手の形やボール運びに関わらず、外誘導が第一選択であったと筆者は捉えている。しかし、昨シーズンJ1を経験し、今その守備にも大きな変化が生じていると感じた。

外誘導は相手ボールを自陣ゴールから遠ざけるという目的においては最適であるが、逆にマイボールを相手ゴールに近づけるという観点では中央誘導でボールを奪った方が縦に鋭いカウンターを繰り出すことが出来る。
この場面はボールを奪った(88)山根から、広島最終ラインの裏へ走った(27)木村へスルーパスが出された。

岡山の守備は堅守の堅持から得点力の強化の為の守備へと進化を遂げようとしている。

一方で、岡山の課題の一つである決定力不足に関しては、選手の力量とは別の観点で改善策が求められると感じた前半であった。一例を採り上げたい。

百年構想リーグJ1WEST第14節 岡山-広島 岡山の攻撃の課題

岡山はクロスを多用するチームである。
それだけWBの推進力が攻撃の肝になるのであるが、例えばLWBの(88)山根のプレーがカットインからのクロス及びシュート一辺倒になっている時がある。もちろん、今シーズン彼が左サイドで単独で起点になれる分、サイドに流れる傾向が強い(99)ルカオらワントップがボックス内に入れるという効果は生み出している。
一方で、ボックス内に味方の人数が多いということは、相手の守備陣の人数も多いことを示す。つまりボックス内に大渋滞が発生することになり、ここへクロスを送り込むことにより、ボックス内で混乱はつくれてもシュートスペース、シュートコースをつくれないという事態になってしまうのである。

そこで、赤丸で示した相手のWBの裏のスペースを突く動きが岡山にはもっと必要と考える。ここへはWBが単独で行っても良いし、LCBなどがオーバーラップ、アンダーラップして進入する方法もあるだろう。
そうすることによって、赤丸のゾーンに相手の守備者を引っ張り出し、ボックス内の渋滞を解消すれば、シュートコースやプレースペースを確保することが出来るものと考えるのである。

ヒントになったのが43分の岡山の攻撃で、LCB(43)鈴木喜丈が(88)山根の内をアンダーラップ、外からポケットを取り、ゴール前にライナー性のクロスを送る。味方が合わせることは出来なかったが、ゴール前にはしっかりと味方が飛び込むスペースが出来ていた。

(2)後半~拮抗した展開とシステム変更~

広島は後半開始から(10)鈴木に代えてCF(17)木下康介、LWB(24)東俊希に代えてLWB(13)新井直人を入れてきた。
広島の試合後の記事を読んでいると、前半はデュエルの不足を感じていた面もあったようだ。ビルドアップもであるが、まずは切り替えの向上、強度アップを図る後半であったと言えそうである。

ということで、後半序盤は改めてハイインテンシティな展開が続く。広島は前半よりも更にゴールに直結するボール運びを進めてくる。
52分、交代出場LWB(13)新井直人からファーサイドRWB(15)中野就斗を狙った対角のクロス攻撃は迫力十分であった。

ここから広島保持の展開が続く中、岡山は(99)ルカオに代えてCF(9)レオ・ガウショ、(27)木村に代えてRST(66)西川潤を投入する。58分には敵陣右サイド奥へのゴールキックを(9)レオが競り、そのこぼれ球を(66)西川→(7)竹内→(28)松本→(66)西川と繋ぎ、岡山が広島ボックス内へと進入する。狭いスペースに臆することなく入っていきボールを扱える(66)西川の良さが早速発揮されていた。
また、(9)レオも落とした後には(66)西川からのマイナスのクロスに合わせられるスペースに移動しており、この交代選手を中心とした前線の連係は順調に成熟していると感じた。

広島は59分に前半からビルドアップの構築に大きく関与していた(30)トルガイに代えてRST(39)中村草太を投入する。
昨シーズンのホーム戦では痛い決勝ゴールを決められた。
交代出場直後の60分、その(39)中村がピッチ中央(6)川辺からの浮き球のパスに反応、岡山最終ラインの裏をとり縦に抜け出すが、ここは岡山GK(52)濵田の飛び出しにより難を逃れた。

64分(4)荒木からLCB(19)佐々木翔への交代によって中央CBに移った(3)山﨑大地から敵陣左奥へフィードを出される。ここは(9)レオのプレスが少々甘くなった場面であった。

この岡山右サイドからのクロスをファーサイドで(40)河野と(15)中野が競り合い、(40)河野が(15)中野の足を踏んだプレーについてVARが介入する。最終的にOFRも行われたが、おそらくノーマルフットボールコンタクトとの判定がなされたものと推察する。PK無しとの判定であった。
結局、この一連のプレー、判定が試合後のピッチ外の出来事のきっかけになってしまったのであるが、まず判定の感想としてはPK判定であってもノーファールであっても支持できる要素はあったように思える。
よって、いずれの判定であったとしても少なくとも「絶対に」ということは言えないと考える。

広島は60分過ぎから再びボールを保持するようになる。
この時間帯は(33)塩谷が中に絞り、より前方でのプレーを指向するようになっていた。岡山のライン間が開き始め、広島としてはボールを持ちやすくなっていたように見えた。しかし、広島の中盤から前線への運びは最終的には裏狙いのボールであり、岡山はここで跳ね返しセカンドを回収することは出来ていた。とは言え、岡山もそこから保持に繋げることは出来ていなかった。

そこで岡山は72分に切り札(8)江坂任と(22)一美和成を投入する。
彼らを投入し、(41)宮本をアンカー的に置く3-1-4-2または3-5-2にシフトする。最近の岡山の攻撃の打開策である。
この3-1-4-2に変更することによって、IHに(8)江坂と(66)西川の攻撃的な選手を配置することでWBも含めた第二列の4枚と2トップが短い距離間でショートパスを交換しながら相手ゴールへと迫っていくことが可能となる。一方で、陣形全体が前がかりになるので、相手のカウンターも受けやすくなる。
73分、岡山が左から攻撃を構築も完結出来ず、逆サイドに展開されて(39)中村のドリブルによりカウンター攻撃を受けたシーンはその典型といえる。ここはRWBを俊足の(26)本山遥に代えていたことで辛うじて失点を防いだ岡山であった。

お互いにセットプレーからもゴールを決められない膠着した展開が続く中、岡山に選手交代、システム変更の効果がついに得点となって現れる。

この得点シーンは、映像の直前で(22)一美が広島の(15)中野と(6)川辺のプレッシャーを受けながらキープし起点になった動きも効いていた。そして何と言ってもレフティの(66)西川が絡んだことで、前半の項目で述べた大外奥のスペースを突けた点が大きかったと思う。

このスペースを突くことで広島の最終ラインが横に引き延ばされ、更に(8)江坂がニアに走り込んだことで(9)レオに十分なプレースペースが生まれているのである。

それにしても(9)レオに加入2試合目にしてゴールが生まれた点は、今までの新戦力ストライカーにあまり見られなかった傾向と言える。
シュートコースは空いていたが、強く当て過ぎるとGKに当ててしまう可能性もあったと考える。彼の高いシュート技術の一端を垣間見ることが出来た。

先制後の岡山は想定されたATを踏まえると少々早く引いてしまったように感じたが、何とか広島の猛攻を跳ね返し90分以内勝利を手にした。

3.まとめ

以上、簡単に広島戦を振り返った。
連戦の最中ということもあり、簡易的な内容になった点はご容赦いただきたい。しかし、その忙しさというより今は、クラブによる不適切なSNS投稿と、敢えてこのように述べるが、宮本、河野両選手の不適切な行動が残念でならない。一方で冒頭でも述べたが、現段階であらゆることを確定的には述べたくない。この後のクラブの動き等を見守りたいと思う。

内容的に両チームとも戦術的なチャレンジが多く見られた素晴らしいゲームであっただけに残念である。
しかし、岡山側の視点としては、依然として決定力不足という攻撃の課題は残るものの、その解消策のヒントを得た一戦であったということは強調したい。

(なお、拙レビューアップから数時間後、岡山公式から今回の不適切投稿に対する見解、原因、謝罪に関して発表があったので貼っておきたい。広島サポーターの感情には引き続き配慮しなければならないが、岡山としては考えられる可能な限りの対応を行ったのではないだろうか。信頼回復に努めるクラブを見守っていきたい。)


今回もお読みいただき、ありがとうございました!

※敬称略

【自己紹介】
雉球応援人(きじたまおうえんびと)
J1ファジアーノ岡山、J3ギラヴァンツ北九州レビュアー
レビュー作成が趣味を超えてライフワークになりつつある。

J1定着と総合型スポーツクラブへの成長を図る岡山、念願のJ2復帰へ向けて再チャレンジに挑む北九州の戦いぶりを追っていく。

日々勉強、分析、解析、解釈、更に磨いていきたい。

岡山在住の開業社労士。今年も日常に追われる。
鉄道ファンでもあるが、最近は鉄分不足が続く。

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