【ファジサポ日誌】201. ギアチェンジ~百年構想L第13節 ファジアーノ岡山(名古屋グランパス戦) マッチレビュー~
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いよいよG.W.の連戦が始まった。
アウェイの名古屋戦は改装後のパロマ瑞穂スタジアムで開催された。
以前の瑞穂を知っていたため、陸上競技場をこういう風に改装できるのかと想像よりもコンパクトに見えた新スタジアムの「箱庭感」に大いに興味が湧いた。いずれ訪ねてみたい。
川に落ちたグランパスくんではないが、「飛び石」連休の一戦、今節は「簡易版レビュー」とさせていただきたい。
1.試合結果&メンバー
先制する名古屋、追いつく岡山、そしてPK戦決着。前回ホーム戦でのデジャブのような接戦であった。もつれにもつれたPK戦は5-4で岡山に軍配。岡山が勝点2を獲得した。
J1WEST2位を快走する名古屋相手の勝利であったが、WESTは5位京都から10位長崎までが勝点3差の中にひしめく大接戦となっている。
今回の連戦中にまだまだ順位は動きそうである。

岡山は前節福岡戦からスタメン3人を変更した。
LCBに前節福岡戦(〇2-0)で久々に復帰した(43)鈴木喜丈、LWBにG大阪戦以来の先発となる(45)ブラウンノア賢信、そしてボランチの一角に(28)松本昌也が入る。岡山ではボランチでの出場はこれが初となった。(28)松本は元々中盤はどこでも出来るポリバレント性が売りの選手でもある。
ベンチにボランチのサブとして(7)竹内涼が入っていた事からも、現在このポジションには多くの離脱者が出ていることが考えられる。
2.レビュー
全体的に岡山、名古屋共にボールをしっかり動かすサッカーを指向していたと思う。下からじっくり繋ぐ場面も多く、試合展開自体はスローテンポであり、ゴールを奪うための「ギアチェンジ」をどのように行うのかという点に注目していた。
前半は共に大きな決定機を迎えたが、その数、内容という面では全体的には岡山優勢であったように見えた。岡山としてはこの前半にゴールを奪いきれなかったことで、少々試合全体を重たいものにしてしまったと言える。
この試合では筆者が岡山の保持のキーマンとして考えているMF(88)山根永遠がベンチスタートとなったが、先発した(45)ブラウンを中心にWBをフィニッシュに絡ませる場面を岡山は数多くつくっていた。
岡山9分の決定機はボランチの(28)松本が最終ライン付近まで下りながら味方の保持をサポート、途中で名古屋の5レーンを埋め尽くすディフェンスに跳ね返されながらも自陣でLST(8)江坂任がセカンドボールを回収、右に展開したところから始まっている。

このシーンでは、左シャドーの(8)江坂が反対サイドに顔を出して、名古屋のマンマークとの間にギャップをつくり、RWB(51)白井康介が名古屋最終ラインの裏を取りクロス、CF(98)ウェリック・ポポが中央で相手を引きつけ、逆サイドのWBに決めさせる。福岡戦でも見られた岡山の再現性の高い攻撃であった。
この試合では右シャドーの(27)木村太哉が(8)江坂がいる左に顔を出してギャップをつくる場面もあった。ボールサイドで人を寄せることでギャップをつくり速攻系の保持により、相手を崩す。この試合における岡山のねらいの一つであったと言える。
しかし、この形で少々ネックと感じたのは(45)ブラウンがレフティであることである。この場面では完全にフリーで決定機を迎えたが、左利きの彼にほぼ真横からクロスが来たことでシュートに角度をつけることが難しかったと言える。これが右利きのLWBであればシュートの撃ちやすさという部分は出てくるのだろう。前節福岡戦の(88)山根のゴールがイメージしやすい。
しかし(45)ブラウンにラストクロスを上げさせることでレフティの彼が活かされている場面もあった。25分の攻撃である。
この場面は名古屋の左サイドからのパスワークをCH(5)小倉幸成がカット、スペースがある逆サイド左に展開し、パスを受けた(43)鈴木が持ち上がる。この試合では逆サイドに流れる「喜丈ロール」も久々に見られたが、彼が90分通して良いパフォーマンスを見せてくれたことも収穫の一つであった。
名古屋陣内左サイド、タッチライン際に(43)鈴木がボールを運ぶことでマーカーの名古屋RST(7)和泉竜司を引きつける。そしてハーフレーンでこれもマーカーのRWB(9)浅野雄也の裏を取った(45)ブラウンがポケットの進入に成功、そこからマイナスのクロスを出し(8)江坂のシュートに結びつけた場面であった。
(43)鈴木がプラスアルファを作り出し、左サイドから攻撃を構築することでレフティの(45)ブラウンの特長が生かされた場面であったと言える。
繰り返しになるが岡山の前半の攻撃はサイドチェンジを交えて、そこに人をプラスアルファすることでギャップを生み出し、名古屋ゴール前に進入する形を中心に据えていたと言える。
一方の名古屋の攻撃は前回のホーム戦と基本コンセプトは同様であったが、若干変化が生じていたように見えた。

前回対戦時は攻撃の起点となる(31)高嶺朋樹がボランチで起用、彼が最終ラインに下りて球出しを行っていたが、今回は最初から最終ラインに配置されていた。彼とCB(13)藤井陽也、GK(1)シュミット・ダニエルの3枚でスタートする形が基本であるが、ボランチの(14)森島司が岡山ボランチと最終ラインの間の浮いた位置にポジショニングする場面も目立った。おそらくビルドアップを補助するのみではなく、(28)松本を食いつかせたかったのではないかと推察する。そしてその裏のスペースに(7)和泉が下りて(43)鈴木を引きつけ、その裏のスペースを狙う。また、(43)鈴木を前に引きつけることで、右のポケットにスペースをつくり、左サイドからそこへクロスを供給する。そんなねらいであったように見えた。
おそらく(5)小倉や欠場したMF(41)宮本英治らの特性を踏まえた策であったのかもしれないが、結果的に(28)松本が自らのポジションをキープしたことが功を奏したように思う。よって、(7)和泉は岡山のボランチ脇に下りるようになるのであるが、岡山は5-4-1の守備ブロックを組むことにより、最終ラインが名古屋前線の下りる動きに必要以上に食いつかなくても済むようにスペースの管理を実行出来ていた。
よって、名古屋左サイドからのクロス攻撃はそのほとんどが不発となり、どちらかと言えば脅威は左サイドからボックス手前のスペースに供給されたクロスからのシュートであったと言える。
前半の岡山の攻撃は決して悪くはなかったのであるが、後半開始から(98)ポポに代えてCF(99)ルカオ、(45)ブラウンに代えてLWB(88)山根を入れてくる。連戦への配慮ということであろう。
いつもどおり(99)ルカオを起点に攻撃を仕掛ける岡山であったが、この試合では全体的に名古屋陣内においてショートパスの精度を欠いた。基本的にマンマークで守る名古屋相手のパスミスはすぐに相手のチャンスに繋がってしまうという点からもいただけなかった。
岡山は59分に(27)木村に代えてLST(66)西川潤を投入する。
攻撃への更なるギアチェンジを図るところであったが、間もない63分に名古屋は(31)高嶺がゴール正面から強烈なシュートを放つ。
岡山(1)モーザーが辛うじてセーブしたが、このCKからのこぼれ球を後半から出場していた名古屋RWB(19)甲田英将に決められ、名古屋が先制する。お互いに丁寧な繋ぎからフィニッシュへと導く静から動への流れが続く中、どちらが先にギアチェンジに成功するのか注目していたが、名古屋が一本の強烈なミドルで流れを変えたと言える。
先手を奪われた岡山は交代により更なるギアチェンジを図る。
ボランチの(28)松本に代えて前節でデビューしたばかりの新加入CF(9)レオ・ガウショを投入、(99)ルカオと2トップを組ませて(5)小倉をアンカー気味に配置する3-5-2へとフォーメーションを変更した。この変更自体はこれまでの試合でもオプションとして使ってきたが、中盤に5枚を据えることで、5レーンをしっかり埋める名古屋の守備とちょうど噛み合う形になってしまった。
また(66)西川が一列下がることで、彼が最終ラインからの引き出し役になっていたのであるが、前線でのプレーが減ったことが少々もったいなかった。最終的に(8)江坂も交代するので、彼に(8)江坂が担っていたゲームメイクの役割も期待していたという側面はあったのかもしれない。
前線の2人、(99)ルカオと(9)レオに関しては2人とも収められる人材であるだけに、その関係性がやや曖昧であったと言える。この2トップの形をとるのであれば、いずれかは強さの産物を活かせるタイプ、この試合で言えば、最終的に出てくるのであるが(40)河野孝汰と組んだ方が面白いかもしれない。最もベンチとしては3-5-2に変更した段階でパワープレーを指向していたのかもしれないが、ピッチ上は繋ぐ意思の方が強かったようにも見えた。(66)西川や(9)レオに関しては、岡山における起用適性についてはまだ探っていかなくてはならない段階と言えそうである。
しかし、セットプレーは正義である。
DAZNの中継においても警戒されていたCKからCB(18)田上大地が鮮やかなヘディングシュートを決めて岡山が土壇場で同点に追いつく。
様々なデザインを見せている今シーズンの岡山のCKであるが、ここへ来てゾーンの大外という最もシンプルな形から決めてきたのは興味深いところである。やはり多様な形を持っているからこそ、シンプルな形も決まるのかもしれない。
田上大地のドンピシャヘッドで同点!💥
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) April 29, 2026
🎦 ゴール動画
🏆 明治安田J1百年構想リーグ 地域リーグラウンド 第13節
🆚 名古屋vs岡山
🔢 1-1
⌚️ 89分
⚽️ 田上 大地(岡山)#Jリーグ pic.twitter.com/hJEsQpb3ba
PK戦では(40)河野のクロスバーに直撃する跳ね返りがゴールラインを割ったとする際どい判定があったものの、両チームとも4人目まで成功は成功する。
しかし、その(40)河野の判定の間も影響したのか、名古屋5人目CF(30)杉浦駿吾が大きくふかし、そこからスイッチが入ったかのように両チームとも連続失敗、岡山(5)小倉も名古屋GK(1)シュミット・ダニエルにコースを読まれて失敗するが、(5)小倉のフェイントの影響で2度にわたり先に動いたとの判定でやり直しに、2度の失敗が帳消しになり、3度目はこれも(1)シュミットに触られながらも何とかネットに突き刺し、辛うじて岡山が勝利を手にした。
最後に変な意味での「ギアチェンジ」が入ってしまった一戦となった。
3.まとめ
以上、簡単に名古屋戦を振り返った。
メンバーが多少入れ替わる中、今シーズンの取り組み、保持についてある程度再現性のあるゲームが出来た点は収穫であったが、シュート、パスの精度に欠いた一戦でもあった。この試合に限った話ではないが、この点はシンプルに課題として残った。一方で(9)レオや(66)西川など新戦力に関してはそれなりに目途が立った雰囲気もある。連戦が続く中、次節以降の起用にも期待したい。出来れば(48)立田や(18)田上にも休養を与えてほしい。
今回もお読みいただき、ありがとうございました!
※敬称略
【自己紹介】
雉球応援人(きじたまおうえんびと)
J1ファジアーノ岡山、J3ギラヴァンツ北九州レビュアー
レビュー作成が趣味を超えてライフワークになりつつある。
J1定着と総合型スポーツクラブへの成長を図る岡山、念願のJ2復帰へ向けて再チャレンジに挑む北九州の戦いぶりを追っていく。
日々勉強、分析、解析、解釈、更に磨いていきたい。
岡山在住の開業社労士。今年も日常に追われる。
鉄道ファンでもあるが、最近は鉄分不足が続く。
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