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【ファジサポ日誌】218.餅は餅屋~J1第4節 名古屋グランパス vs ファジアーノ岡山 マッチレビュー~

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J1昇格から計4戦、名古屋とは常に接戦になる。
この間、名古屋は長谷川健太監督からペトロヴィッチ監督へと指揮官の交代を経たが、岡山とはサッカー全体のコンセプトは異なるものの、局所的に攻守に似ている面があり、それが毎試合均衡した結果となる一要因と考えている。

新シーズンの第一ラウンドは共に上手くいっている面、いかない面が明確に現れていたが、最終的に相手の弱みを突こうとした手数の差で名古屋に軍配が上がったと感じる。

1.試合結果&メンバー

久々の豊田スタジアムでの一戦は、ホーム名古屋が後半ATにLWB(27)中山の決勝ゴールで勝ち越しリーグ戦連勝を果たした。週中の水曜日にはこの豊田スタジアムで開催された天皇杯でJ3鳥取に1-3で敗れたことを踏まえても、ホーム連敗は避けたいとの名古屋の意地が岡山を上回ったとも言える。

岡山は前半にセットプレーの二次攻撃からLCB(43)鈴木のJ1初ゴールで先制するが、その(43)鈴木が自陣PA内でハンドを冒し(15)稲垣にPKを決められ追いつかれる。

後半は岡山の運動量が落ちていく中、名古屋が大きくボールを動かしながら前進、優勢に立つ。岡山は選手交代を交えながらカウンターを狙うが、決定力不足に泣いた。

岡山は豊田スタジアムでの初勝利はならず、開幕4試合で1勝1分2敗の勝点4と負けが先行した。次節はミッドウィーク開催、フクアリの千葉戦である。メンバー選考も含めてどのように戦うのか注目である。

J1第4節 名古屋-岡山 メンバー

岡山も水曜日に天皇杯を挟んだが、スタメンはその前のリーグ戦第3節と変わりはなかった。ここまでLWBを(79)ブラウンを使うか(88)山根を使うかぐらいの違いはあるが、岡山の新シーズンの戦術的核となるメンバーがこの11人ということなのだろう。

サブについては、その天皇杯で負傷したMF(66)西川がメンバー外、逆に脳震盪から復帰、2ゴールをマークしたFW(20)河野がメンバー入りした。一方、MF(28)松本やFW(22)一美の姿は見えない。コンディション不良の可能性もありそうだ。

名古屋は快勝した先週のG大阪戦は4-1-2-3の基本配置であったが、CB(13)藤井が戻ったことにより本来の3-4-2-1からの可変型に戻してきた。その可変のキーマンの一人DF(70)原はメンバー外、RCBには(2)野上が入った。元岡山LCB(55)徳元も今回はスタメンでの登場となった。構想リーグで岡山に立ちはだかったGK(1)シュミットの姿はなかった。年代別代表の常連として定着しつつある(35)ピサノがゴールを守る。

2.レビュー

何度か触れてきたことではあるが、構想リーグからオーストリアキャンプ、そして新シーズンと岡山が序盤から代名詞であるハイプレスを敢行する機会は減ってきていた。
これは岡山に限らない傾向ではあるが、体力を消耗する夏季開幕対策が大きな目的である。
よって、ショートカウンターの機会は少なくなるが、その代わりに後方保持からの崩しを模索しているのが今の岡山の取り組みといえる。

しかし、この試合は久々に序盤からハイプレス全開の岡山を見ることができた。対戦相手である名古屋後方からのビルドアップに不安定な面があり、その弱点を突こうとするゲームプランであったと言える。
現在、岡山はハイプレスのスイッチ役FW(27)木村を怪我で欠いているが、この試合ではCF(99)ルカオがその強烈なフィジカルを活かしてスイッチとなっていた。

名古屋のビルドアップは、もう定番となったが、中央CBと下りてきたボランチの1枚、そしてGKの計3枚でスタートする。この3枚に対して岡山は前線3枚+ボランチの(41)宮本の計4枚で強烈に食らいついた。

名古屋は前方に蹴ることで岡山のハイプレスを回避しようとするが、苦しい体勢から蹴ることで岡山守備陣が難なく跳ね返し、岡山の攻撃に繋がっていた。

自陣からなかなか脱出できない序盤の名古屋であったが、脱出のヒントを見出している様子は見てとれた。
6分にはCH(31)高嶺のロングフィードからRST(7)和泉が抜け出しにかかる。ボールサイドに人数を掛けて寄せてくる岡山に対して、サイドチェンジを多用して揺さぶりを掛けようとしていた。

岡山のハイプレスの波がいったん引いた10分過ぎには、LST(22)木村やCF(11)山岸がライン間、ボランチ脇に下りて縦パスを受け反転、それぞれ引き連れた岡山RCB(6)大森やCB(48)立田の裏への前進を試みていた。人についてくる岡山のディフェンスの逆手をとるシンプルな攻撃であったと言える。

15分前後の時間帯では、名古屋の攻撃時の可変が効果を発揮し始める。
WB化したLCB(55)徳元が高い位置で起点となり、サイドで数的優位をつくった名古屋が徐々に岡山を押し込み始めた。

岡山としては、序盤とはいえハイプレスで名古屋を圧倒していた10分までの間に先制点を奪えればベストであった。
この間の岡山の攻撃で気になった点は、前節東京V戦のレビューでも少し述べたが、両シャドーの(8)江坂、(10)ナサンホの両方がチャンスメイクに回ってしまい、クロスを上げてもPAの中が(99)ルカオとWBの2人だけになっていたり、(10)ナサンホがPAの中に入っていたシーンでも足元でクロスを受けるのか、スペースへ走り込むのか、出し手もどちらに出すのかという選択においてクロスの出し手と受け手の意思が一致していない場面が散見されたことである。

CKも獲得できていた岡山であったが、(おそらく)サインプレーによるニア狙いの(10)ナサンホのキックは精度を欠き、また中で合わせる側の動きも乏しくゴールの匂いがしないものであった。

16分、名古屋(22)木村の決定機は中盤からの斜めのロングボールに(11)山岸と(6)大森が競り、そのこぼれ球を拾って仕掛けたものであった。名古屋は保持時に両WBを含めて前線に5枚が揃う。岡山の最終ラインと同数になるが、ここに斜めのボールを入れることで、マーカーとアタッカーの間にズレが生じる。これもシンプルだが効果的な攻撃であった。

岡山GK(1)モーザーはゴールに至近距離で向かってくる(22)木村に対して、ぎりぎりまで体を倒さずにニアを若干空けながら誘っていた。(48)立田が左からタックルに入ったことでコースも限定できた。そしてぎりぎりのタイミングで反応。見事な駆け引きであり、良い連係であったといえる。

この日好プレーを連発した(1)モーザーの去就については、これまでのレビューで筆者の推察は述べている。試合後の彼の様子から色々と想像される点もあるが、今は彼が岡山のGKとして確実な成長を遂げていることを述べるに止めたい。

一方、岡山のビルドアップは決して上手くはいっていなかった。
ここでそのビルドアップが上手くいかない理由と、それに加えて現在の岡山の攻撃の問題について考えてみたい。

J1第4節 名古屋-岡山 岡山保持時の問題 モデル

岡山の自陣保持時に定期的に発生している配置をモデル化してみた。
まず注目したいのが、ダブルボランチのポジションである。
岡山としては両WBを高い位置に押し上げたいので、両CBが開く、そこで空いた中央のスペースにCH(80)オベルダンが下りてくる。
相方の(41)宮本は明らかに今シーズン積極的な攻撃関与でチームに貢献しようとしている。
よって、予め前線高い位置まで上がってしまっているのである。
よって、本来ダブルボランチがいる筈の中盤がスカスカになっているのである。最初からロングボールを蹴るなら、まだこれでも問題はないのかもしれないが、それなら(80)オベルダンが下りる必要もそこまではないのかもしれない。
つまり、今述べている状況で下から繋ぐ可能性もチームとしては残しているのである。そこで本来、シャドーの位置にいるべきの(8)江坂が完全にボランチの位置に入っているのである。
(8)江坂としてはチームのビルドアップ、パスを繋ぐ攻撃にこだわりもあると推察する。だからこそ、こうした場面で最終ラインに運ばせて、自らが中盤のリンク役になろうとしているのだろう。
実際に(80)オベルダンが加入する前までは、積極的にボランチの位置まで下りてくるプレーも目立っていた。

しかし、実際にこのような相手がセットしたシチュエーションで岡山は下から運ぶ、繋ぐ選択を取ることは少ない。前方の(99)ルカオにロングボールを預けた方が楽だからである。そうなると、今度は前線に(8)江坂がいないので(99)ルカオに当てた後の攻撃が効果的ではない。
本当は(99)ルカオが後方に落としたボールをこぼれ球奪取に秀でる(41)宮本が前向きに拾い、(8)江坂が裏を狙って動き出す、また相手最終ラインと駆け引きしながら足元で受けるという形が合っているように思われるのであるが、現在はその役割が逆になっているのである。

この問題の原因は両ボランチが共にリーグでも屈指の運動量を備えており、出来ることが多すぎるからではないかと筆者は考える。
ピッチに立つ11人全員の能力最大発揮を信条とする木山サッカーにおいて、彼らも自らの能力を余すことなく発揮している訳であるが、その高性能エンジン2基にチームという名の車体が耐えられなくなっているというのが今の岡山の姿ではないだろうか。

その負荷が最もかかっているのが(8)江坂であると思う。
本来(80)オベルダンの加入により(8)江坂のゲームメイクに関しての負担は減る筈であった。その分をチーム内でも高い決定力を活かす方向に向けたかった筈である。しかし、現在の(8)江坂はゲームメイク、チャンスクリエイト、セカンドストライカーの最低でも3つの役割をこなしており、かつそこに(10)ナサンホとのポジションチェンジも入ってくるため、本来走り屋でないにも関わらず、ピッチを広範に走り回らなければならない状況が生まれている。
後半にフリーの状況からシュートを浮かせてしまったシーンは印象的であった。彼が以外にもイージーなシュートを苦手にしているという側面はあったかもしれないが、筆者にはエネルギー切れにも映った。

給水タイム後の20分台後半には、やはりサイドに流れた(99)ルカオを起点に(8)江坂の進出スペースが中央に生まれていた。(10)ナサンホが(8)江坂との縦の関係を意識して名古屋最終ラインの裏をとろうとしていた点も効いていた。
名古屋は低い位置で回収も(80)オベルダンが名古屋陣内でしっかり回収していた。この時間帯の特長はやはりダブルボランチがダブルボランチの位置でプレーしていたからと考える。
30分台に入ると岡山は(99)ルカオ中心に再びハイプレスを強め、名古屋を敵陣に押し込む。こうした流れから名古屋陣内中央で(80)オベルダンがファールを受けてFKを獲得、二次攻撃から先制に成功する。

セットプレーからなので当然ではあるが前線にいる(8)江坂のチャンスクリエイトは効果的である。彼からのショートパスを(99)ルカオが人ではなく、スペースに落としたことで名古屋守備陣の意表を突いた感はあった。
ひょっとすれば(43)鈴木も予測していないスペースであったかもしれないが、滑り込みながらよく足を振ったと思う。完全にミートしなかった分、名古屋(35)ピサノもタイミングを合わせられなかった。

それゆえにその直後の(43)鈴木のPK献上はいただけなかった。
勝負の肝を外したとの本人の弁ではあるが、不用意に手を出してしまった。
(1)モーザーがコースを読み切った点は素晴らしかったがPK職人CH(15)稲垣は(1)モーザーの手の先のわずかなコースを正確に突いてくる。名古屋が同点に追いつく。

後半、名古屋は保持時に両WB、特にLWB(27)中山がタッチライン際まで張り出しサイドチェンジを呼び込もうとする。そしてここに(55)徳元がインナーラップ気味に攻撃に絡んでくる。名古屋が左サイドからきっかけをつくろうとしていた。

岡山は前半の序盤同様に再び前3枚+(41)宮本でハイプレスを仕掛ける。しかし、名古屋に前半序盤のような混乱は生まれていなかった。前半のうちに答えは見つかっていたという雰囲気であった。
前半とは異なり、名古屋が連続したセットプレーから岡山を押し込む。
保持の名古屋に対して、岡山の活路は自ずとロングカウンターに絞られることになった。単発の形が多いながらも55分(80)オベルダンの単騎突破、クロスから(10)ナサンホがゴール前に飛び込むなど得点の匂いがする形はつくられていた。

寧ろ、後半の岡山の問題は守備面にあったといえる。
この(80)オベルダンのクロスが流れた後の岡山の守備であるが、明らか前線の疲労の色は濃くなっていたと思う。ややゲーム全体がオープンになりかけた時間帯であった。
岡山は何とか5-3-2のブロックを構えたが、この時岡山右脇のスペースに(55)徳元が入り岡山RWB(51)白井を引きつけ、ピッチ中央の(31)高嶺から(22)木村を経由して(51)白井の裏を突いた(27)中山にパスが出される。その(27)中山に(6)大森が食いつくが、更にその裏を(22)木村に抜け出されてしまう。
完全な決定機であったが、ここは(80)オベルダンの戻り、タックルによって辛うじてピンチを防いだ岡山であった。
名古屋は岡山を食いつかせては裏を狙うプレーを連続して行っていた。
岡山攻略の道筋を完全に会得していたといえる。

岡山のロングカウンターの道筋としては(51)白井の飛び出しも有力ではあるが、この日の対面の相手は同じく俊足の(9)浅野であった。この出口が封じられたのも岡山としては痛かった。
そこで岡山は65分に(10)ナサンホからCF(9)ガウショにスイッチ、(99)ルカオとの「スリーナイン」2トップに変更し、再び前で押し込もうとするが、必要なのは前線の枚数よりは、自陣で押し込まれた状態からの運び屋であった。この交代のみでは効果的とはいえなかった。また(9)ガウショは天皇杯でも精彩を欠いていたように見えたが、この試合でのコンディションも万全には見えなかった。

名古屋もGKからのビルドアップではミスが多く、59分には名古屋のパスミスを(51)白井がインターセプト、そのまま運び逆サイドに走り込んだ(8)江坂に斜めのパスをつけるが、前述したとおり完全に枠外に外してしまう。

名古屋は変わらず(55)徳元が岡山陣内でフリーになっていた。彼にボールを戻しながら、ボールホルダーに食いつく岡山の選手たちの裏を突くパスから決定機を複数つくっていた。72分の名古屋自陣での保持から(55)徳元が(51)白井を引きつけ、その裏を(27)中山に突かれたシーンは代表的であった。
結局、岡山はこの形を最後まで修正できなかった。

J1第4節 名古屋-岡山 岡山非保持時の問題 モデル

名古屋の決定力不足にかなり助けられた岡山であったが、これだけ相手のねらいに対して修正できないとやはり敗れてしまう。
不用意なPKやATセットプレーからの失点、度重なる決定力不足という点から勝敗の分岐点を落としたことは間違いないが、要所さえ押さえていれば勝てるという試合でもなかった点については強調しておきたい。

3.まとめ

この試合から見えた岡山の問題、それはピッチ内での役割分担についてである。特に(8)江坂の負担をどのように軽減、整理していくかは間違いなく今後のチームの命運を左右する問題である。

解決策として、岡山もGKとCB2枚の3枚でのビルドアップを模索することは一つの手段かもしれない。このタイミングでGK(23)ケヴィンシルバを迎えることになった岡山であるが、フットサル出身ということもあり、足元の技術に関してはかなり高いとの情報もある。彼がビルドアップの起点になれるなら必要以上にボランチが最終ラインに下りる必要もなくなる。
つまりボランチの一人がボランチのポジションにいることにより(8)江坂を前方に押し出すこともできると考える。
一言でボランチやシャドーの仕事と言っても、その範囲に正解はないが、ボランチはボランチ、シャドーはシャドーの仕事をする。今の岡山に必要な整理かもしれない。餅は餅屋である。

もうひとつゲーム中の修正についてであるが、前に出た裏を狙う相手に対して、岡山は前進気勢そのものを調整することが出来ない点が大きな問題になっているのかもしれない。自分たちの体力低下や不利な戦況に対して、それを乗り越えようとする精神性は岡山のチームカラーでもあるのだが、ややそれが現実離れした諸刃の剣になってはいないか、若干不安も感じるのである。

今回もお読みいただきありがとうございました!

※敬称略

【自己紹介】

J1定着と総合型スポーツクラブへの成長を図る岡山、念願のJ2復帰へ向けて再チャレンジに挑む北九州の戦いぶりを追っていく。

日々勉強、分析、解析、解釈、更に磨いていきたい。

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