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オバハン矯正日記70 落下

翌日。

歯を磨こうと、鏡を見て気づいた。
あるべき場所に、ない。

カーテンレールを1つ飛ばしてしまったかのように
1つだけワイヤがびろーん、と歯茎に落ちている。

いきなりかよ……。

前より太いワイヤーになったはずが
カーブに耐え切れず落ちたようだ。

歯みがきもそこそこに、
翌日1番で「応急処置」枠を予約。

フロスの使い方まで習った割に
フロスを通すまでに落下するとは。

そして翌日。
予約時間早々に到着したが、待ち構えていた
腹の虫衛生士が駆け寄ってきた。
「すぐにご連絡いただいてよかったですぅ」
といつになく素早い動きで椅子へ。

よほど気になったのか、
Hのひざ掛けすらなく、そそくさと椅子が倒され
いきなり口を覗き込む。

「あー、取れちゃったんですねー。」
ぶらさがるワイヤをツンツンされる。

後ろから歯科医が現れ
「ここの角度が急だったのね、じゃあこれ今度
コイルにするか」
「そうですね」
「じゃあガードかけてここだけ取って」

自分たちだけで納得して作業が始まる。

おそらく
今回外れたところは諦めて、後日バネをつけて動かす
ということらしい。

前歯につけられたワイヤ―カバーが今回も追加で付けられ
終了。

予想通り、
「今回の歯は取れちゃうので、今度バネで動かすようにしますので、
もうちょっと先になりますけどね」
「今日はスルーで、カバーだけ付けておきますね」

ふーん。

いよいよ先は長そうである。
私の寿命は持つのだろうか。

そしてその夜。
また歯みがきをしようとして、気づいた。

つけてもらったばかりのカバーがない。

またかよ…………。

続く


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