【海外ドラマ】LOVE IS BLINDの楽しみ方ーアメリカのケンミンショー?
Netflixの「ラブ・イズ・ブラインド」というリアリティ・ショーが面白い
PODという間に壁のある小部屋でデートをし、顔を見ずに会話だけで婚約者を選ぶというショーである
ただし、顔を見ないのは最初の段階だけ
会話だけで好きになった相手といざご対面し、有名リゾート地で擬似新婚旅行をし、地元に戻って同棲し、家族や友人にも紹介して、最終的に結婚式の祭壇の前で「YESかNO」を決定するのだ
要するに、「相手のルックスを見ずに会話だけで結婚相手を選び、実際に選択が正しかったかを一緒に過ごしながら検証する」という実験的ショーである
見どころとしては、
①顔が見えてない状況での恋のさやあて
・やけに生まれる三角関係の緊張感
・アメリカ人の口説き文句はこういう感じなのね
・自分の過去の痛みを開示し合って仲を深めていくのが興味深い(だからといってうまくいくとは限らないけど)
・感極まって泣き出す男性多数(顔が見えない状態はある意味セラピーのようなものなのか…)
②対面したときの反応
・(下世話だけどもやっぱり)対面した瞬間の表情を見ているのが楽しい
・選んだ人が美女だったときの男性のはしゃぎっぷりよ…
・男女共に相手の容姿が気に入らなかった時の歯切れの悪さよ…(これはアプリで出会った場合も同じですね)
③人狼は誰?
・最初は上手く行っているカップルでも徐々に馬脚を表していく様がなかなかスリリング(特に男性がクズだったりソシオパスみがあったりすることが多い/女性のトラブルメーカーは割と最初からわかる)
・シリーズが進むにつれだんだんと「今回の人狼(いい人ぶってる癖強男性)は誰やねん」という目線で見始めるようになる
ゴシップというよりミステリー小説のような楽しみである
④様々な家族の風景
・出演者の家族や住んでいる家、暮らしぶり、家族の温度感が見られるのが個人的にとても好き、これを見るためにこのショーを見ているといっても過言では無い
・多様な人種、地位、職業、家族構成が見られる
⑤都市によって異なるアメリカ
・シーズンごとに舞台となる都市が変わるため、その都市特有の文化や人種構成、宗教観、政治観などが見られるのがまた滅法面白い
アメリカの県民ショーのような部分がある
今回のシーズンはミネアポリスという都市が舞台である

ミネアポリスのあるミネソタ州はいわゆる中西部と言われる地域である

中西部というと国内でも地味な印象なのか、SNSでは「二度と中西部でリアリティ・ショーを撮らないほうがいい」的なポストも見られた
実際、シーズン8は他のシーズンと比べてかなり保守的なシーズンではあった
(それも含めてリアリティがあって面白かったのだけど)
ミネアポリスが舞台となるとどうなるかというと…
①白人がほとんど
ミネアポリスはざっくり8割白人、1割黒人、1割がその他という人種構成
シーズン8はその通りの参加者比率で、SNSでは「白人がずっとお喋りしてるの見てるのしんどいんだけど」というポストも見受けられた
数少ない黒人参加者も白人とのハーフであったり養母が白人であったりしていた
また、ミネアポリスはblack lives matter再燃の発端となったジョージ・フロイドさん殺害事件があった街でもある
②宗教性が強い
WASP(白人アングロサクソンプロテスタント)が多い地域であり、かなり宗教色が強い
アメリカはどこの地域もキリスト教がベースで一定数は信心深いタイプがいるが、今回はほとんどが敬虔かつ実践的なクリスチャンだった
遊び人タイプの男子でさえ毎週日曜に家族や友達と一緒に教会にいくと言っていて、地域の文化に埋め込まれている感じがした(何も考えずにそうする、それが普通だから、という感じ)
③慎重で保守的
都市部のWASPというとリッチで華々しいイメージがあるが、中西部では勤勉堅実で地味な白人社会の面々という側面が強くでている
女性陣のネイルも保守的で、自爪と変わらないようなピンクがほとんど(これは流行もあるのかもしれない)
仕事も堅実で、他のシーズンのような「何をしているんだかわからないキラキラキャリアの人」がほとんどいない
女性陣に医療関係(医師、ナースなど)や教育関係者が多いのも特徴だが、これは日本の地方でも同じかもしれない
地方の女性にとって安定した仕事とは、地方銀行、医療関係、教師(公務員)に限定されることが多いのである
保守的というのは文脈によっては狭量であるとか、老害的で排他的なイメージがあるが、いい意味での「落ち着いた良識のある人達」というアメリカの良い面も見られた
アメリカ大都市の資本主義一本槍の狂った世界とは異なり、「お金の問題ではなく信仰心と慈悲の問題」という背骨が通っている
派手に自己主張したりドラマを演じたりするのではなく「人間同士、niceに暮らしましょうね」という配慮が感じられることが多かった
これは豪雪地帯ということも関係があるかもしれない…カナダとか、日本で言う東北地方の控えめさに近いものを感じた
また、そういった地域ではテレビに映らない格差もあって「上品な家庭で育ったタイプしか出演できないい」というスクリーニングがかけられている可能性もある(オザークへようこそというドラマを思い出した、確かあれも中西部)
④なんだかやけに繋がっているイッツアスモールワールド
高校が同じだったり、以前のセフレが知り合いだったり、誰も彼も繋がってる人間関係に「おいおいどんな小さな世界なんだよ」とツッコミを入れたくなった
だが、よく考えると…
ミネアポリスの人口は42万人ぐらい、これは日本の都市でいうと千葉県柏市や愛知県豊田市の人口である(ちなみに日本の政令指定都市はだいたい100万人、東京は特別区部が900万人ぐらい)
そう考えると、高校がかぶったり友達の友達がつながっていたりすることも腑に落ちる
都市の人口規模が小さめなのだ
私もそれよりやや小さいぐらいの都市で暮らしていたことがあるが、かなり人とのソーシャルネットワークがタイトだった覚えがある
一見都市のようなインフラを備えていても、人間関係は町や村に近いのだ
このことは、③の慎重で保守的な性質の原因のひとつかもしれない
人間関係が濃密でつながりが強いと、ちょっとしたことで噂を立てられ評判が傷つき生活に影響を及ぼす危険があるため、言動に慎重にならざるを得ないのである
今までこのショーで舞台になってきた都市人口と日本の都市で近い人口の都市を書き出してみると次のようになる
アトランタ 51万人 宇都宮市
シカゴ 226万人 名古屋市
ダラス 130万人 さいたま市
シアトル 75万人 新潟市
ヒューストン 231万人 名古屋市
シャーロット 87万人 堺市
ワシントンDC 67万人 船橋市
中堅の都市からスタートし、大都市を経てまた中堅都市に回帰しているように見える
勿論人口だけで全てが説明できるわけではなく、地形、広さと人口密度、人種構成、歴史を知らずに安易に同一視するのは危険だ
けれども、人口というのは都市のコア要素であり、リアルなソーシャルネットワークや社会の規模感を決めるものでもあるので、人口が近ければある程度共通点もあるだろう
次のシーズンの舞台都市はどこだろうか?
舞台となる都市の人口規模や文化を調べて日本の都市と比べながら観ると、より身近に感じられて楽しいのではないかと思う
(シーズン1で打ち切られた日本版も、都市ごとに行う形でもう一度再開してくれないかな)
