今は中世?
ジョルダーノ・ブルーノ(1548–1600)は、イタリアの哲学者・元ドミニコ会修道士です。
1600年2月17日、ローマのカンポ・デ・フィオーリで火刑に処されました。
なぜ処刑されたのか
一般には「地動説を唱えたから処刑された」と説明されることがありますが、これは正確ではありません。
当時すでにニコラウス・コペルニクスの地動説そのものだけで直ちに火刑になる状況ではありませんでした。
ブルーノが問題視されたのは、むしろ神学的な主張でした。
例えば、
三位一体を否定するような考え
キリストの神性に関する異説
聖母マリアに関する伝統教義への異論
魂の輪廻に近い思想
宇宙は無限であるという思想
他の世界にも知的生命が存在する可能性
などです。
これらが異端と判断されました。
宇宙論の特徴
ブルーノは、
> 宇宙は無限であり、星はそれぞれ太陽のようなもので、その周囲にも世界が存在する
と考えました。
現代から見ると、これは恒星や系外惑星の存在を連想させるため「先見の明があった」と評価されることがあります。
ただし彼は科学者というより哲学者であり、その主張は観測や数学によるものではなく、哲学的・宗教的推論によるものでした。
裁判
1592年に逮捕され、
約8年間にわたって尋問と審理を受けました。
最終的にローマ異端審問所は、彼に撤回を求めました。
しかしブルーノは主要な主張の撤回を拒否したため、異端者として有罪とされました。
伝承によれば、判決を受けた際、
> あなた方は、この判決を下すことに、私が受けるより大きな恐れを抱いている
という趣旨の言葉を述べたとされています。
現在の評価
今日の歴史学では、ブルーノは単純な「科学の殉教者」とも、「単なる異端者」とも見なされません。
宗教改革と対抗宗教改革の激動期に生きた思想家
当時の教義と根本的に異なる思想を唱えた人物
信教・思想の自由を考える上で象徴的な存在
として評価されています。
1889年には、処刑地のカンポ・デ・フィオーリ広場にブルーノの銅像が建てられ、現在も思想・言論の自由の象徴の一つとなっています。
