2025年 英インターナショナルS回顧と日本・欧州競馬の差
◆予想
◎ オンブズマン 牡4 W.ビュイック騎手
◯ ドラクロワ 牡3 R.ムーア騎手
▲ ダノンデサイル 牡4 戸崎圭太騎手
◆見解
・欧州では平坦かつ直線が長いスピードが求められるコース
・古馬牡馬斤量が61kgと欧州の中でもかなり重いレース
・斤量が重い割には3歳馬が圧倒的有利ではないレース
・日本調教馬の欧州馬場適性は一時期よりは改善されたがまだ中東香港米国よりは遠い(ジャックルマロワ賞を受けて)
ダノンデサイルは可能性はあるも課題が多い
・血統:可もなく不可もなく
欧州適性は絶対視できるほど高くも、絶望視するほど低くもなさそうですが、基本的には母父米国系でスピード持続力に長けた血統なので、直線が長く平坦で、どちらかといえば加速力や瞬発力というよりは米国的スピード持続力を活かした馬、それに優れたタイプの馬の優勝、好走が欧州にしては多いレースなので、可能性はあると思われます。
・戦績:ドバイSC勝ち馬としては相性悪くないがスピード不足
2021年優勝、2022年2着ミシュリフは2021ドバイSC勝ち馬で、ドバイSCを強い勝ち方をしたので対応して好走する可能性は十分に期待できます。
一方でG1勝ち鞍は2400mのG1のみで2000m未満の実績・経験が弱いので、
坂のあるアスコットの2000mのG1で凡走して、初の2000m以上戦だったバーイードが前年覇者ミシュリフを破っているなど、より中距離以下のスピードに向いた馬、経験のある馬の方が有利なレースの可能性が高いので、ダノンデサイルは適性(経験値)に劣る可能性があります。
一応ドバイSCの上がり3Fは32.5秒(2着カランダガン32.3)だったとのことで、トップスピード、瞬発力においても高い馬だとは思いますが、それを欧州の馬場で発揮できるのかは不安な所です。
・総評:好走か全然駄目かの2択
好走する可能性もあるとは思いますが、ジャックルマロワ賞のアスコリピチェーノの凡走を見ると、重斤量や欧州の馬場に対応できない可能性もあると思います。
ただ、父母父スペシャルウィークの血は海外と割と相性が良く、
ディアドラ(母父スペシャルウィーク)は英国中距離G1を勝った初の日本馬(現状唯一)で、シーザリオ(父スペシャルウィーク)は米国G1(芝中距離)を勝った初の日本馬(現状3頭、芝はシーザリオ含め2頭)。
エピファネイア(父母父スペシャルウィーク)産駒からもこのダノンデサイルがドバイSC優勝、ビザンチンドリームがサウジアラビアのレッドシーターフHC(G3)優勝と海外で能力発揮できる底力を感じさせます。
基本は順当に決まるレースで、スピード要素が強い方が有利、斤量優位(3歳)馬は意外と有利でない
61kgという古馬牡馬斤量はさすがに負担が大きすぎる印象で、斤量の軽い3歳馬や牝馬を上にとりたくなるのですが、その割には意外と3歳馬の成績は特別良いわけではなく、実績優位古馬が勝つことの方が多いです。
ということで3歳馬ドラクロワか最強古馬の1頭オンブズマンの2択。
ドラクロワはオンブズマンを前走倒していて能力十分、斤量優位の3歳というのは魅力ですが、
前走はドラクロワ56.5kg、オンブズマン61.0kgでクビ差勝ち。
今回はドラクロワ57.5kg、オンブズマン61.0kgと1kg斤量差が縮まります。
インターナショナルSが割と順当に決まりやすいレースということを考えてオンブズマン優位の可能性が高いと思いました。
◆結果 ダノンデサイル凡走 オンブズマン強し

◆回顧 現代の日本の強豪馬は欧州の路盤への対応が難しい
ダノンデサイルが勝てるかはともかく楽しみにしていたレースでしたが、リアルタイムでは見逃してしまいました。
ジャックルマロワ賞回顧と合わせて、インターナショナルS予想を一応して記事を書いていたのですが、間に合いませんでした。
サトノレーヴが英国G1ジュビリーSで勝ち負けの好走をした上に、アロヒアリイがフランス重賞を優勝したこともあって、アスコリピチェーノやダノンデサイルの挑戦への期待が上がっていた所でしたが、アスコリピチェーノのジャックルマロワ賞凡走で少し夢が覚めたというか、やっぱりまだ日本と欧州の馬場(路盤)適性の差はあるという印象が強まってきた中での今回のインターナショナルSだったので、多分勝ち負けは無理だろうなあと思ってました。
ただ、上述の底力が効いてくれたらもしかしたら好走してくれるかもと思ったりもしていて、全く歯が立たない凡走なのは、まあ戦法や気性面の問題も出ていましたが残念に思いました。
ダノンデサイルはスタート良く出たものの抑えて、ラビットのバーキャッスルが大逃げするような形に。
そこで抑えた所でダノンデサイルは頭を上げて、引っ掛かるような形で、どうやらレース前、返し馬から興奮していたようです。
2番手とはいえ実質ラビットから遠く離れた所で逃げる形でしたが、後続馬群とは一塊で、作戦・持続力を活かすこともできず、普通に瞬発力勝負で負けた上に根本の馬場適性でも太刀打ちできないような負け方になってしまいました。
6頭立ての5着で、見せ場はありませんでした。
結果的にはトップスピード、加速力の差で負けたという内容でした。
より中距離G1でのスピードに優れているオンブズマン、ドラクロワが順当に好走し強さを見せました。
逆にダノンデサイルは気性面の問題や騎乗・作戦面での失敗というのもありますが、単純に騎乗や気性面の問題がなかったとしても勝ち負けは難しかったという印象です。
アスコリピチェーノにしてもダノンデサイルにしても、欧州G1初挑戦とはいえ、馬場状態は良く、道悪は理由にできない内容です。
そんな中で日本や中東と同様の脚が出せなかった所が、根本的な違いを表していると思います。
日本のクッション性の高い馬場での加速力と、欧州のクッション性の低い馬場での加速力は、求められる能力、技術や経験値が違うと思われます。
アスコリピチェーノ、ダノンデサイルは日本や中東では瞬発力・加速力に十分優れている馬です。圧倒的でなくても日本、世界の中で大きく劣るようなことはないと思います。
アスコリピチェーノの場合はジャックルマロワ賞で確かに進路を失う場面もありましたが、NHKマイルCではあんなものじゃないくらいの不利を受けながらも再加速して盛り返していきました。
日本においては瞬発力、加速力がある馬と言っていい馬です。
しかし、フランス、フランスの中でも日本にコース形態、馬場が近い方のドーヴィル競馬場でも、それが不発になりました。
ダノンデサイルも上述のようにドバイSCでは上がり32秒5という2024年天皇賞秋のドウデュースと同等の末脚を見せて優勝しています。
少なくとも日本や中東の中長距離における瞬発力、末脚勝負なら世界でも上位の馬だといえます。
同時に、ロングスパート勝負になった2024年日本ダービーでは1番人気ジャスティンミラノを寄せ付けずに突き放して優勝しています。
日本やドバイにおいては瞬発力、持続力ともに優れた馬だと言っても間違いではないでしょう。
それがインターナショナルSでは瞬発力でも持続力でも見せ場のないレース内容になってしまいました。
まあ斤量が重すぎるというのもあるのですが、2005年ゼンノロブロイ(当時斤量59.5kg)の好走などから、平坦に近いヨーク競馬場のレースなら日本調教馬も好走できるのではと思っていた時もありましたが、昨年のドゥレッツァ、今年のダノンデサイルの凡走を見ると、競馬場の形状、斤量だけでなく難しい部分があると改めて知ることができたのは残念ですが収穫でした。
