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✒️思索するピアニスト Alfred Brendel🎭57《シャコンヌ》〖ブゾーニ〗バッハとリスト🌿楽想のひととき

❓問い ブゾーニの音楽を支えた二つの大きな柱とは、何だったのでしょうか。

ブレンデルが挙げるのは、バッハとリストです。一方は、思索、対位法、構築。もう一方は、劇性、幻想、神秘、そしてピアノの可能性。ブゾーニにとって、この二人は単なる「尊敬する作曲家」ではありませんでした。二人から受け取ったものが、彼自身の音楽を形づくっていったのです。

🎹 今日の一曲 バッハ=ブゾーニ《シャコンヌ》
バッハの《シャコンヌ》をブゾーニがピアノ独奏用に編曲した作品。もともとは無伴奏ヴァイオリンのための音楽。それがブゾーニの手によって、深い低音、厚みのある和音、広大な音域を持つ、壮大なピアノ作品へと姿を変えます。けれど、その響きの奥には、バッハの緻密な構造がある。バッハの精神と、リスト以後のピアノ。その二つが一つの作品の中で出会っているように聴こえます。 まずは、ブゾーニがピアノからどれほど大きな響きを引き出しているかを感じながら聴いてみてください。そして、その壮大な響きの奥にある「バッハ」にも耳を澄ませてみたいと思います。

アルトゥール・ルービンシュタイン(Arthur Rubinstein, 1887-1982)
20世紀を代表するポーランド出身のピアニストです。ショパン弾きとして世界的に有名で、その演奏は「貴族的」「自然体」「温かみがある」と評されます。超絶技巧を誇示するよりも、作品の持つ歌心や生命力を引き出すスタイルが特徴です。ルービンシュタインもまたブゾーニと交流がありました。しかし、知性的・構築的なアプローチをとるブゾーニに対し、ルービンシュタインはより直感的で、聴衆を幸福感で包み込むような演奏スタイルを持っており、対照的な魅力を持つピアニストと言えます。95歳という長寿を全うし、晩年まで現役で演奏活動を続けた「ピアノの巨匠」の代名詞的な存在です。

📖 ブレンデルはこう考える

ブレンデルは、バッハとリストを**「ブゾーニのピアニズムの基盤と頂点」**と位置づけています。ブゾーニがバッハに惹かれたのは、その思索的な内向性でした。一つ一つの声部が緻密に絡み合い、全体が大きな構造として組み上げられていく。そこには、感情だけでは捉えきれない知的な秩序があります。一方、リストには劇的で神秘的な魔術を見ていました。ピアノという楽器の限界を押し広げ、巨大な響きやオーケストラ的な世界まで生み出してしまう。その想像力を、ブゾーニは受け継いだのです。つまり、バッハから「構築する精神」を。リストから「ピアノを解放する想像力」を。ブゾーニは、その二つを自分の音楽の中で結びつけようとしました。

💡 今日のポイント

バッハは、ブゾーニの「構築する精神」の柱だった。
リストは、ピアノの可能性を解放する「想像力」の柱だった。
その二つを受け継ぎながら、ブゾーニは自分自身の音楽をつくった。

《シャコンヌ》は、そのことを耳で確かめることのできる作品なのだと思います。

🌱 私が印象に残ったこと

ブレンデルの文章を読んでいて面白いと思ったのは、ブゾーニが過去を受け継ぐことと、未来へ進むことを別々に考えていなかったことです。バッハを深く研究する。リストの精神を受け継ぐ。そして、その先に自分の音楽をつくる。「受け継ぐこと」と「新しくすること」は、対立しない。《シャコンヌ》を聴いていると、そんなブゾーニの姿勢が見えてくるような気がします。バッハでも、リストでもない。その二人から受け取ったものを、自分の時代の音楽へと変えていく。その先にいるのが、ブゾーニなのかもしれません。

▶ 次回

次回は、ブゾーニを語るうえで避けて通れない「編曲」について。他人の作品を書き換えることは、原曲を壊すことなのでしょうか。それとも、作品に新しい生命を与えることなのでしょうか。

🎹 《Nun komm, der Heiden Heiland(いざ来ませ、異邦人の救い主よ)》
バッハ=ブゾーニ/ホロヴィッツ

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