父と過ごす日々
東京で働いていた職場を、いろいろあって辞めた。
それからあてもなくぼんやり過ごしていたら、父に病気が見つかり入院することになった。
病名と症状を聞いた私たち家族三人は、父がもう長くないと覚悟した。
私は実家に帰ることにした。
五月のことだった。
一番キツかったのは、父が趣味の陶芸道具を処分したことだった。
いくつになっても趣味を持ち、人生を楽しんでいる父の姿が私はとても好きだったから。
運転ができない母を車に乗せ、父の着替えを持って毎日病院に通った。
本当はダメだけど、父をドライブに連れ出したりもした。
私がしていたのは単なる運転。
それでも母の負担を減らし、父のストレスを和らげるのに役に立っていたと思う。
父は三週間ほどで退院した。
体力は落ちていたものの、日常生活には支障なかった。
退院後は月に数回、自分でハンドルを握って通院するようになった。
「夏がこんなに暑いから、今年の冬は寒くなりそうだね」
夕食を囲みながらとりとめのない会話を家族三人で重ねる日々を過ごすうちに、父の病状は少しずつ改善していたようで、最新の検査結果は良好だった。
そんな中で私も新しい仕事を探し始め、先日ある企業から内定をいただくことができた。
そのことを報告すると、父の顔に安堵の表情が浮かんだ。
私は父のことを心配していたけれど、父のほうがもっと私のことを心配していたのだろう。
仕事を辞めたとき「これからどうなるんだろう」と不安でいっぱいだった。
父の病気が分かったときは、その暗闇がさらに深くなったようだった。
けれど今こうやって、かけがえのない家族の時間を重ねることができて、本当に良かったと思う。
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今回のタイトルは「エッセイしりとり」の企画で書いた。
前の方のタイトルの最後の一文字を受け取り、そこから始まるタイトルでエッセイを書いて、次の人へつなぐというもの。
私にバトンを渡してくれたのはこうちゃん、こと小野光一さん。
こうちゃんの記事タイトル「りんごの木のような一日」の「ち」から「父」を連想して書いた。
これから新しい仕事、新しい生活を始める私にとっては、区切りとなるものが書けて良かった。
私はこうちゃんから受け取ったこのバトンを、我々共通の友人であるこの2名に繋ぎたい。
石塚玲さん
ふ〜りんさん
玲くん、ふ〜りん、急に振ったけどもし難しければスルーもオッケー。
もしバトンを受けとってもいいと思ってくれたら、
この記事のタイトル「父と過ごす日々」の〝び〟(〝ひ〟でも可)から始まるタイトルで書いてみて〜。
