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管理栄養士を活かすなら、看護との情報を分断しない。施設で働いて感じたこと

これまで、管理栄養士を「献立を作る人」で終わらせないこと、現場に出て介護職と関係を作ること、水分摂取の取り組みについて書いてきました。

今回は、看護との連携についてです。

施設で管理栄養士を15年以上やってきて思うのですが、管理栄養士に「栄養状態をしっかり見てほしい」と求めるのであれば、食事の情報だけではなかなか難しいです。

例えば、

「最近、食事量が落ちている」

「体重が減ってきた」

というご利用者がいたとします。

管理栄養士なら、食事量を確認して、食事形態を見たり、栄養補助食品を考えたりすると思います。

でも、その方に何が起きているのかを考えるには、それだけでは足りません。

最近薬が変わっているかもしれない。

便秘が続いているかもしれない。

むくみが出ているかもしれない。

血液検査に変化があるかもしれない。

体調を崩した後なのかもしれない。

こういった情報を持っているのが看護です。

管理栄養士に栄養管理を任せるのであれば、看護が持っている情報とどうつなげるか。

管理者の方には、ここも一度考えてみてほしいと思っています。


管理栄養士に、どこまで情報が入っていますか?

施設によって管理栄養士に入ってくる情報はかなり違うと思います。

食事量や体重は分かる。

でも、

血液検査は?

薬の変更は?

排便状況は?

浮腫や皮膚状態は?

日々の体調変化は?

こういった情報まで、管理栄養士が普段から確認できるでしょうか。

もちろん、大きな変化があれば情報は入ってきます。

でも、これは以前の記事で書いた介護職との関係と同じです。

状態がかなり悪くなってから情報が入るのではなく、その前の小さな変化を知りたい。

管理栄養士が早い段階で栄養面から関われれば、できることも変わってきます。

そのためには、管理栄養士本人が情報を取りに行くことも必要ですが、情報を取りに行ける環境になっているかも結構大きいと思います。

看護の申し送りに参加する

私自身は、看護間の申し送りや介護との申し送りにも参加していました。

そこで、

「○○さん、最近便が出ていない。下剤の追加がある」

「少しむくみが出てきた」

「薬が変わった」

「昨日から体調が良くない」

といった話を聞く。

すると、

「あ、それなら最近食事量が落ちているのも関係あるかもしれない」

とつながることがあります。

逆にこちらから、

「最近、○○さんの食事量が少しずつ落ちています」

「この1か月で体重がこれくらい変わっています」

と看護へ伝えることもありました。

看護が持っている情報と、管理栄養士が持っている情報を合わせてみる。

それだけで、ご利用者の見え方が変わることがあります。

それだけではなく看護と栄養部門の会議も月一でおこなっていました。

血液検査も、管理栄養士が見られるようにする

血液検査についても、結果が出たらできるだけ確認するようにしていました。

もちろん、管理栄養士が検査値だけを見て病気を判断するという話ではありません。

ただ、栄養状態を考えるための材料として、血液検査から得られる情報はあります。

食事摂取量。

体重の変化。

普段の食事の様子。

そこに検査結果や体調の情報を重ねていく。

私はそうやってご利用者を見るようにしていました。

施設によっては、血液検査は看護だけが見るものになっているかもしれません。

でも、管理栄養士に栄養状態を見てもらうのであれば、

必要な検査結果を確認できる環境にしておく。

これは管理者側でも考えられることだと思います。

体重の数字だけを追わせない

分かりやすい例が体重です。

管理栄養士にとって体重はかなり重要な情報なので、当然追いかけます。

「先月より2kg増えた」

数字だけを見れば、少し安心するかもしれません。

でも看護に聞いてみたら、

「最近、足のむくみが強いよ」

ということもあります。

そうなれば、2kg増えたという数字の意味が変わります。

逆に体重が減っていても、病気や治療、体調の変化など別の背景があるかもしれません。

管理栄養士に、

「体重が減っているから何とかしてください」

と伝えるだけではなく、

その体重変化の背景を一緒に考えられる情報を渡す。

その方が、管理栄養士も専門性を使いやすくなります。

水分摂取の取り組みでも看護との連携は必要だった

前回、水分摂取量を増やした取り組みについて書きました。

あるユニットでは10人全員が毎日1000mlの水分を摂れるようになり、食事を自分で食べるようになったり、目が開くようになったり、体操に参加したりと、ご利用者の様子にも変化を感じました。

それでも、この取り組みを管理栄養士だけで行うのは難しかったと思います。

管理栄養士は水分摂取量を見る。

介護職は日々の排泄やご利用者の様子を見る。

看護は体調や下剤などの薬を見る。

それぞれが持っている情報を合わせることで、

「この方は今どうなのか」

を考えられるようになりました。

最終的には介護職から排泄カンファレンスを行うようにもなりました。

一つの「水分」というテーマから、介護と看護までつながっていった例だったと思います。

管理栄養士に情報を渡すだけでも足りない

一方で、管理者が、

「これからは管理栄養士にも全部情報共有してください」

と決めれば、それで連携できるかというと、私はそうでもないと思っています。

管理栄養士側からも情報を返す必要があります。

「最近食事量が落ちています」

「水分量がいつもより少ないです」

「体重が少しずつ減っています」

「食事中の様子が最近違います」

管理栄養士だから気づけることを、介護や看護に返していく。

そうすると、

「そういえば最近こういうことがあった」

と別の情報が出てくることがあります。

情報が一方通行ではなくなる。

この状態になってくると、管理栄養士もかなり動きやすくなります。

管理者が作れるのは「情報がつながる環境」

管理栄養士を活用しようとすると、

「もっと栄養指導をしてもらおう」

「もっとミールラウンドをしてもらおう」

「栄養ケアを充実させよう」

と、管理栄養士本人に何をやらせるかを考えがちです。

もちろん、それも必要です。

ただ、その前に、

その管理栄養士が仕事をするために必要な情報にアクセスできているか。

ここを見てもいいのではないでしょうか。

看護の申し送りに参加できる。

必要な血液検査を確認できる。

介護職と普段から話せる。

気になるご利用者について、その場で看護に相談できる。

管理栄養士が厨房や事務所の中だけで仕事をしているのと、こうした環境の中で仕事をしているのとでは、同じ管理栄養士でもできることはかなり違うと思います。

管理栄養士を「栄養だけの人」にしない

施設では、ご利用者の状態を一つの職種だけで見ることはできません。

介護には介護から見えることがある。

看護には看護から見えることがある。

管理栄養士には、食事や栄養から見えることがあります。

それぞれを分けてしまうのではなく、情報が行き来できるようにする。

私自身、看護の申し送りに参加したり、血液検査を確認したり、普段から看護に声をかけたりしていたことで、食事だけを見ていた頃よりご利用者の状態を考えやすくなりました。

管理栄養士を活用するというと、新しい仕事を増やすことを考えるかもしれません。

でも、新しい仕事を増やす前に、

今いる管理栄養士が、施設の中にすでにある情報を使える状態になっているか。

まずそこを見直してみてもいいのではないかと思います。

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