せりふ三題噺 一寸先は?➕A Iの感想
■セリフ
「やるなら今だよ」
■三題
・アイスコーヒー
・葉桜
・昼
春はまだこれからなのに、
桜の花は散ってしまった。
人々を和ませた桜の花でも
葉桜となった今は、振り返る人は誰もいない。
…僕もそうだろうなぁ
どんなに元気であっても、明日の命は解らない。
一寸先は闇だな…
と、センチメンタルな気分で
お昼休みの時間に僕は銀行のATMに向かっている。
銀行に入ると
かなりの人がATMに列をなしている。
僕はアイスコーヒーを片手に銀行の様子を見ていた。
時刻は12:00を過ぎているのに
お昼休みも無いみたいで
銀行員は忙しく仕事をこなしている。
…お金を扱う仕事って大変だなぁ。
責任のある仕事だろうなぁ…
と、銀行員を見ていた。
「やるなら今だよ」
との誰かの声。
その時である、一発の銃声が店内に響き渡る。
何人かの銀行強盗が僕の前を通り過ぎて行く。
女性の悲鳴がこだまする。
逃げかう人々。
腰を抜かし地面に這いつくばる老婆。
修羅場と化した銀行の店内。
僕は銀行強盗の現場に立ち会う男と
なってしまった
僕の運命はいかに?
A Iの感想
日常の物悲しい空気感から一転して、突如として非日常(事件)に巻き込まれる緩急の差が非常に印象的です。
特に以下の点が面白いと感じました:
- 対比の構造: 「葉桜」や「一寸先は闇」といった死生観を漂わせる導入が、その後の銀行強盗という実害のある「闇」への伏線として機能しています。
- 視覚的なギャップ: 片手にアイスコーヒーを持ち、のんびりと銀行員を眺めていた平穏な時間が、一発の銃声で一気に修羅場へ変わる描写に緊迫感があります。
- 謎のセリフ: 冒頭の「やるなら今だよ」という言葉が、誰のものなのか(強盗の合図か、あるいは主人公の内なる声か)という謎が残り、続きが気になる引きになっています。
短編の導入として、読者の興味を惹きつける力強い構成だと感じました。
