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「一回だけ」激烈に美味しいと感じたラーメンについて

これまでにおいしいラーメンをいろいろ食べてきたのだけれど、数年前に食べたとある味噌ラーメンがものすごく印象に残っている。

ものすごくおいしいと思ったのだけれど、そう感じたのは一回きりだったという話だ……。

その日、運動を兼ねて自転車で遠くまで行ってやろうと思い、直線距離で20キロぐらい離れた場所まで自転車で出かけた。夏の暑い日で、あまりサイクリングに適した環境ではなかったが、どんどん知らない景色になっていくのが面白く、ぐんぐん自転車をこいでいった。

一時間以上はこいだだろうか。一応目的としていた場所に到達し、そのまま帰宅したのだが、家に着いたとき、何か違和感があった。なんと、財布がなかったのだ。

最初は何かの間違いだろうと思ったのだが、どこを探してもない。人生で財布を落とした経験などほぼなかったので、ちょっとしたパニックになった。

結局見つからず、外で落としたのだと結論し、警察に電話してみた。すると、落とし物の警察側のネットワークがあるらしく、そこに照会をかけてくれた。すると運のいいことに、僕が出掛けた先にある交番に届いているらしい、ということがわかった。

慌てて同じ道を戻って交番まで。カード類はおろか、お金も全く抜かれていない完全な状態で手元に戻ってきた。なんとありがたい……。日本の治安のよさを実感した。

サイクリングの途中で飲み物を買ったのだが、その際に落としてしまったようだ。ズボンのポケットに無造作に入れていたので、自転車をこぐときに足があがったタイミングで落ちてしまったのかもしれない。

炎天下、また同じ道をこいで戻った。それなりに遠出をしたのに、それを一日に二往復もしたのだ。何をしてるんだという感じだが、まあ仕方がない。

そして自宅近辺まで戻ってから、その当時できたばかりの行ったことのないラーメン屋に行ってみた。そこで食べた味噌ラーメンが死ぬほどおいしかったのだ。ものすごくびっくりして、こんなうまいラーメン屋があったのか、と驚愕した。

しかし後日に行ってみると、確かにおいしいのだけれど、そこまでの激烈な感動はなかった。あれは一体なんだったのか? と。

あとになって考えてみたのだけれど、おそらく炎天下で汗をかきまくって、水分補給はしていたものの塩分不足に陥っていたのだろう。そこにラーメンをぶちこんだものだから、めちゃくちゃおいしく感じた、というのが自分の考察だ。おそらくそういうことだと思う。

つい先日、「おいしい」と明らかにわかっている行きつけのラーメン屋に行ったとき、ちょっと塩味が強いかな、と感じた。ちょっと気になる程度だったのだが、これは先ほどのバージョンの逆の現象で、冬なので全然汗をかいておらず、塩分を求めていないので塩味を強く感じてしまった、ということなのかもしれない。

よく、達人のラーメン職人はその日の気温を考慮してスープを調整している、なんてことが言われるけれど、そういうことなのか、と思った。夏はみんな汗をかくが、冬は汗をあまりかかないから、スープ自体の塩分調整をする必要があるのだ。そう考えると、なるほどな、と思ったのである。

客側の体調、コンディションなんて知りようがないので、店側はそんなものは基本的には考えないだろう。しかし、どれだけ汗をかいているか、はある程度は考慮すべきなのかもしれない。

とはいえ、冬であってもジムやサウナで汗を流した直後に来る人もいるだろうし、夏場でもエアコンがガンガンに効いた車で来店する人もいる。それでも、そのときに考え得る「ベストな状態」を整えるのが達人技なのかな、と。

もっとも、味というのは主観なので、素人の味覚など当てにならないということだろう。一流の料理人の舌だったら、そういうものに影響されず、ニュートラルに味を評価することができるのかもしれないけれど……。


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