薬剤師国家試験。薬学部6年間の集大成…なのか?
来週末はいよいよ薬剤師国家試験。
受験する6年生、既卒生、
あと一息頑張って
なんとか合格してほしいと応援する気持ちです。
その応援の気持ちは本物なんですけど、
わたしは薬学部で職員として働く中で、
国家試験に関連してなんともモヤモヤしていることがあり、
今日はそれについてです。
ちなみに、国家試験の合格に寄与する内容ではまったくないし、
やる気が出る話でもない(テンションが下がる方もいるかも)ので、
試験直前の6年生が読むことはあまりおすすめしません。
でも無関係なことでもないと思うので、いつか余裕のある時にでも
読んでもらって一緒にモヤってもらえると意味があるかなと思います。
で、ここから本題。
6年生は夏前くらいに卒論発表が終わると、
もう完全に国家試験モードというか受験生モードになり
学内が予備校みたいになりますよね。
実際、国試対策講座的な授業を予備校講師にやってもらって
(なんで予備校に外注なのか、というのも疑問だけどそれはさておき)
教室も図書室も自習室も試験勉強する人で席が埋まり
学内がピリピリした雰囲気になります。
そんなとき、
国試の合格へ導くことが薬学部の役割なのか、
それで十分か、それが主目的なのか。
ということを思ってしまいます。
「薬学部の職員が何言ってんの!?」
とお叱りを受けるかもしれませんが。
1.ここで薬剤師国家資格の制度について確認
薬剤師国家試験は薬剤師法に基づき厚労省が実施しており、
受験資格は、
文科省が認めた6年制薬学教育課程を修了した者に与えられます。
したがって、国家試験受験資格に繋がる薬学部であるためには、
大学として文科省の設置認可を受け、
6年制薬学教育課程として成立している必要があります。
さらにその教育課程は、
文科省主導で
厚労省や専門団体・大学関係者などが参加して策定された
「薬学教育モデル・コア・カリキュラム」を踏まえて編成され、
各大学は薬学教育評価機構による第三者評価を定期的に受けています。
ややこしいですが、つまりどういうことかというと
薬剤師の国試を受験するためには、
6年制薬学部を卒業しないとならない
すなわち、
6年制薬学部は国家資格の制度に組み込まれている
という事実がありますよ、
ってこと。
2.薬学部の現実
前述のとおり、
6年制薬学部は
・所属学生からも(保護者からも)
・国からも
国試の合格へ導く役割を期待されているんじゃん
という状況です。
そのことをわれわれ薬学部も重々承知しているので
カリキュラムは、
国家試験で問われることを
段階的に修得する構造になっているし
学内の教職員の目的意識も、
国試合格に向いています。
で、ここからだんだんわたしのモヤモヤを吐き出しますけど
言い方を変えると
● カリキュラム
・専門職養成プログラム的
・スキル習得的
・国試に対応して正解がある前提
● 学内の目的意識
・国試合格率が至上命題
なぜなら定員充足を実現するために
他大学との比較に勝って選んでもらって
入学してもらわなければならないから。
という現実です。
3.わたしの疑問の核心
一つ目。
薬剤師の仕事、医療の現場、患者さんの生活の課題解消などは
正解があるものではないのに
教育は正解がある前提のカリキュラムで良いのか、
ということ。
しかし、それを言い出すと
「じゃあどうやって薬剤師国家資格の認否を公正に判断するのか」
となってしまう。
医療事故防止の最低保証、全国均質の能力担保、社会の信頼維持
などなど考慮しないとならない。
だから正解がある前提の点数評価とならざるを得ない事情も
わかるっちゃわかる。
二つ目。
そもそも本来の大学って、
職業訓練ではなくて、自分で問いを立てて探求する場。
正解を覚えるのではなくて、正解のない問いを扱う場。
そういう人が集まって刺激しあって知を広げたり深めたりする場。
そうじゃなくなっていて良いのかなという疑問。
なので要するに、
国試合格目的以外の、正解がないような
もっと自由で主体的な学びがあるといいのにな
と思ってしまいます。
(手前味噌ですが、
それこそわたしがnote記事で触れているような
医療制度や社会の課題をどう捉えるか、など、
在学中に考える機会がもっとあると良いのにな、
と思います。)
でもでも、
実際問題、
第三者評価的にも、高校生に選んでもらううえでも
国試合格率は当然重視されるものだし、
6年間の中で、
実習も含めて国試に繋がるカリキュラムをこなすだけで
薬学生も教員も余力なしのいっぱいいっぱい。
言い訳する意図は全くないけど
厚労省と文科省が大元にある制度だから、
大学の力だけでどうこうできる構造でない。
ということでモヤモヤしているわけです。
4.まとめ
ということで、改めて
国試合格が6年制薬学教育の主目的なのか、
という疑問でした。
国家試験は確かに重要。
でも、それが6年間の「すべて」なのか。
そこに、まだ考える余地がある気がしています。
薬学生、現役薬剤師さん、その他の医療従事者さん、
あと大学教員も、
ご意見いただけると有難いです。
ともあれ、
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
国試がんばれ!合格祈願!
