セルフメディケーションについてのぼやき ~誰がハッピーか~

今回は薬学部職員ではなく一般市民目線がきっかけのお話です。

◆ ある疑問


今の仕事をするようになって、医療制度のことを知ってからは、
国民の医療費を無駄遣いしないよう
滅多なことではお医者さんにかからないようにしています。

日ごろから食事とか睡眠とか生活リズムに
それなりに気を遣って体調を崩さないようにしているし、
ちょっと風邪っぽくなってもだいたいパブロンで乗り切っています。
(まあたぶんだいたいの人がそんな感じですよね。)

3か月に一遍の頻度で歯医者には通っているけど、
治療ではなく予防的な定期健診。
(歯を大事にすることって
健康でいることに対する影響が大きいらしいですね。)

個人的にはそれで回っているから何も問題ないんだけど、
あるときふと思った。

「セルフメディケーションって誰にとってハッピーなのか。」

もちろんわたし自身は元気に暮らしているので
ハッピーといえばハッピー。

でも、わが子(小学生&未就学児)のこととなると、
彼らはよく体調を崩すのですが
わたしの自治体は子どもの医療費の自己負担が0ということもあり
なんやかんや近所のクリニックにかかりお薬を処方してもらう。

大型連休前とかは、そこまでひどくなくとも
念のため薬をもらっておくために受診してしまうこともある。

仮に、この運用を改めセルフメディケーションに切り替えたら、
OTCの分、確実に出費は増えるよなぁと思った。

さらに気になるのは、セルフメディケーションって
特に病院・薬局の薬剤師さんにとっては
患者減 → 収入減 だから、
必ずしもハッピーでもないよな、という点。

自分の健康に自分で責任を持つってのは大事なことなのはわかる、
しかも医療費の節約という意義もわかる。

しかし、なんか引っかかる。

ということで、
セルフメディケーションによる恩恵をプレーヤー別に整理してみた。

◆ 各プレーヤーがセルフメディケーションから受ける恩恵


1)国
医療費が節約できて助かる。
医療制度の持続可能性は高まる。

2)国民(一般市民)
うまく実践できていれば健康でいられる。
うまく実践できていなければ健康を害するリスクに気づけない。
気軽に受診することに比べて自己負担は大?。
長期で見れば健康でいられる分、医療費自己負担減?。
国全体として医療費が節約できて、
より意味のあることに使えるようになることは
個人にとってもメリットではある。
けど、個人として社会保険料の負担が減るわけではない。

3)製薬会社
OTCは需要が増えて売上増。
医療用医薬品は需要が減って売上減。

4)ドラッグストア
OTC売上増。
その他健康維持・増進関連商品、売上増。
売上的には比較的ハッピー。
ただし、OTCを買いに来るお客さんの状態を
適切にヒアリングできているかとか、受診勧奨するか否かとか、
実はけっこう責任の重いポジション。
また、患者さんが減るから調剤室が稼ぐ収益は減。

5)病院・薬局
これまで気軽に来ていた患者さんが来ない分、収入減。
軽度の患者さんを相手にしなくてすむ分、
重度・慢性の患者さんに専念できる点はメリット。

◆ わたしの考察


なんだかなー(阿藤快。古っ)

セルフメディケーションすべきなのは大賛成なんだけど
目の前にニンジンがないと走れないのが人間の悲しい性。
(自分にとっても国民の仲間にとっても意義のあることなんだから
グダグダ言わずにやれ って言われたら、その通りなんだけど。
そうは言ってもねぇ)

しかもケチモードを発動させると、
セルフメディケーションができる人って
ある程度若い人(つまり現役世代)で
もともと自分の医療費はそこまで大してかからない中で
社会保険料は重く負担している人。
そんな人にとってはこのうえ医療費節約に取り組んだって、
どうせ高齢世代の医療費に回されるだけで自分にはメリットがないでしょ
なんて、世代間の分断的な、さもしい発想に繋がりかねない。

(しかし、さらによくよく考えると
医療費を節約して制度の持続性を高めることは
将来高齢になる自分を助けることであり、
今の高齢者を支えるばかりではない のだけど。)

まあとにかく、何が言いたいかというと
一般市民が自然に前向きに取り組むような
何かわかりやすい動機付けがあればいいのに
ということ。

そして、もう一つ。
この取り組みをサポートしてビジネス的に報われそうなのが
ドラッグストアだけ、というのもイマイチな気がする。

病院の職員だって、薬局の職員だって、
市民の健康は願っていることと思うけど、
それに寄与するセルフメディケーションをサポートしたとしても
診療報酬も調剤報酬もなんにもなし、なんのうまみもないってのは、
仕事のやりがい設計として難しいよな とも思う。

要するに、国としてセルフメディケーションを推し進めるうえで
一般市民にとっても医療従事者にとっても
インセンティブ設計が不完全だよなぁ、と思った次第です。


ただ、見方を変えると、発展途上と言えるかもしれない。

OTC類似薬の自己負担が増えることも、
セルフメディケーションの動機付けを強化する一手だろうし、
少しづつ完成度を高めている最中なのかもしれない。
(ただ、この施策は、目の前にニンジンをぶら下げるというよりは
尻側に火をつけるイメージかもしれないですが。)

そのほかにも、公的な仕組みではないけど、
デイリーの歩数に応じてポイントがもらえるアプリとかサービスなんかは
まさにニンジン的インセンティブですよね。

わたしとして一番わかりやすい、勝手な理想は、

お医者さんにかかって処方してもらうより、
有償(自由診療、全額自己負担)でも薬剤師さんに相談してOTCを買う
というアクションのほうが、
トータルで安くすむようになると嬉しい。
(さらに言うとその相談&OTC購入がスマホで簡単に完結すると最強)

そんなこと、できるかな?
どなたかに実現してほしい。

◆ まとめ


ということで、
セルフメディケーションは
もうちょい動機付け(ニンジン)を工夫して
うまいこと社会に根付かせれるといいよな
という、
呑気かもしれないけどみんなで考えた方がいい気がするお話でした。

というか、改めて
医療とビジネスは相性が悪いよな
正解がない
みんなハッピーになれる仕組みってかなり難しい
と思いました。

薬学生さん、薬剤師さん、よければご意見ください。

今回も最後まで読んでくださり、心から、ありがとうございます!


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