専門性が高い薬剤師ってどんな薬剤師?―スペシャリストとかゼネラリストとか
唐突ですが、専門性が高い薬剤師ってどんな薬剤師でしょうか?
一般生活者であるわたしからすれば、
薬剤師である時点で薬の専門家、専門性の高い人に思えるのですが、
薬学生とお話しすると
「専門性の高い薬剤師になりたい」という人が多く、
「まだ上を目指すんかい!」と
(心の中で白目をむきながら)つっこみたくなります。
ということで、考えてみたいと思います。
1.よくある「専門性」のイメージ
さっきみたいな学生さんに具体的なところを聞いてみると
〇〇の疾患領域の薬物治療に精通した薬剤師になりたいとか
「がん専門薬剤師」とか「感染制御認定薬剤師」の資格を取りたい
など、スペシャリスト志向の方が多いです。
あとは、
特定の薬についての知見が豊富
という専門性もあるでしょうか。
たとえば、OTCや漢方に詳しいとか、適切な提案ができるとか。
「漢方薬・生薬認定薬剤師」という資格もあるようですね。
※現役の薬剤師さんに聞いてみたいのですが
これらの資格って、職場から取得することを求められるのですか。
取得すると人事評価とか処遇で考慮されたりするのですか。
多くの薬剤師さんの記事を拝見すると、
資格取得は自発的な自己啓発で、人事評価に連動したりするものではない
って感じでしょうか。(法人や施設によっても様々だとは思いますが。)
お給料に反映されないとしたら、なかなか辛いものはありますね。
でもまあ普通のサラリーマンも同じか。
資格取得の過程で理論を体系的に学べるとか、
他職種や患者さんに自身の専門性を説明しやすいとか、
そういう意義は大きいかもしれないな、と思いました。
2.「専門性」の別の切り口
話は戻って、
上記のように、
特定の何かに詳しいことが専門性 という捉え方がメジャーな気がしますが、
大学に来る現役薬剤師さんの話を聞いたりする中で感じるのは
「どんな患者さん、どんな状況にも対応できる引出しを持っている」
ということも、かなり高度な専門性なのではないかと思ったりします。
言い換えるなら、ゼネラリストであることのスペシャリスト、みたいな。
だって、
病院においても、薬局においても、ドラッグストアにおいても、
患者さんの限られた情報や会話や雰囲気から体調不良のヒントを拾い出し
場合によっては家族の方とも関係を築いて情報収集し、分析して
どの他職種にどんなサポートをしてもらうか連携して作戦を共有して
患者や家族に薬の提案をして、理解して受け入れてもらって
それが負荷なく実践されるよう伴走する
みたいな一連のアクションは、
たぶん、薬剤師であればあたりまえにできること、とも限らず
かなり高度な専門性ではないか!と素人としては思います。
つまり何が言いたいかというと、
「専門性」というとスペシャリスト的なイメージが一般的ですが
ゼネラリストも立派な専門性ではないかな
と思います。
おそらく、
スペシャリストは知見の有無が測りやすい
→ だから「資格」として見える化しやすい
→ だから「専門性」として認知されやすい。
一方、
ゼネラリストは知見とかアクションに一定の基準があるものでもない
(分野横断的だったり個別の背景に対応する側面があったりするので)
→ だから評価がむずかしく特段の「資格」があるものでもない
→ だから「専門性」としても捉えられにくい。
こんな構造があるのではないかと思いました。
そういえば薬学生でも勉強の成績がいい人もいるし
成績はイマイチでも会話していてすごく親しみやすい人もいるなぁ
などということを思いました。
3.スペシャリストとゼネラリストの対比
この二つの切り口を、病院/薬局/ドラッグストア に当てはめてみる。
三者それぞれともに、
スペシャリスト的専門性が求められるシーンも
ゼネラリスト的専門性が求められるシーンも、
両方の業務があると思いますが
なんとなくの傾向としては
病院 ーーーーー 薬局 -- ドラッグストア
スペシャリスト ←→ ゼネラリスト
って感じ、ありませんかね。
そんな単純なものではないでしょうけど、
上記のようなグラデーションがなくはない?
気のせいでしょうか。
たとえば
・病院は、診療科や病棟が臓器区分とか疾患区分とかライフステージ区分で整理されていて、カルテや検査結果から状態を推察し治療方針を定める。(スペシャリスト的側面)
・薬局の在宅業務は、どんな疾患にも対応できる力が必要で、医療的なことだけでなく生活面の観察力も求められるし、医療保険/介護保険の使い分けなど制度の知見も分野横断的に要する。(ゼネラリスト的側面)
・ドラッグストアでは、診断のない状態でもお客さんとの会話から相手の状態を読み取りそれにあったOTCを提案する。(ゼネラリスト的側面)
みたいな。
どれもそれぞれ専門性だと思いますが、
ベクトルが違う専門性というように感じます。
話は逸れますが、ちょっと思ったのは、
薬学生の時は、
「薬がどう効くかとか、どうパフォーマンスを最大化するか」
などの視点で、薬が主語で勉強することが多いのに対して、
現場に出ると、
「患者がどうであるか、どう治すか」
といった、患者が主語で対応することになる。
薬学から医学?への視点の転換が求められていそうなところが
医師や看護師に対して薬剤師が大変かもしれないことだな、と思いました。
4.まとめ
● 専門性と一口に言っても、いろんな切り口の専門性がある。
● スペシャリスト、ゼネラリスト、どっちも高度な専門性。
● スペシャリストが評価されやすい構造の中で、
ゼネラリストの専門性は意識しないと埋もれてしまう!?
◎ あなたはどんな専門性を志向しますか ◎
今回も読んでくださってありがとうございました。
