エアコンディショナー(エアコン)と健康
今年の夏は全国的に記録的な暑さでした。国内で初めて5 日連続の酷暑日(40℃以上)を記録するなど、各地で異例の猛暑を経験しました。今年の夏(2026 年6〜8 月)の気温は日本の平均気温の基準値(1991〜2020 年の30 年平均値)からの偏差は+1.02℃で、1898 年の統計開始以降、5 番目に高い値となりました。
これに伴って,市中では熱中症患者が多発しました。 総務省消防庁は2026 年5月11 日から17 日の1 週間で、全国で1,012 人が熱中症により救急搬送されたとし、5 月1 日から17 日までの累計では1,568 人に達し、前年同期よりも約580 人多い状況であることを報告しています。発生場所別では、「住居」が最も多く、次いで「道路」「屋外」の順になるとのことです。さらに怖いのは、2021 年の東京都保健医療局(東京都監察医務院)の集計では、東京23 区における熱中症による死亡者の8 割以上は65 歳以上の高齢者であり、そのうち約9 割がエアコンを使っていなかったことです。暑い日には室温28℃以下を目安に、昼夜を問わずエアコンの使用が重要な熱中症対策になることが知られています。熱い時は我慢せず、エアコンを使った方が良いようです。一時期には、省エネが叫ばれ、エアコンの使用制限が叫ばれましたが、今は命を守るためには、エアコンを積極的に使うことが薦められます。
熱中症は江戸時代からあった病気で養生訓には(6 巻15)「四時の内、夏月、尤 (もっとも) 保養すべし。霍乱 (かくらん) 、中暑、傷食 (しょうしょく) 、泄瀉(せっ‐しゃ)、瘧痢 (ぎゃくり) の病、おこりやすし。」とあり、注意していたようです。
霍乱(かくらん)は、主に激しい下痢や嘔吐を急に起こす病気や症状の古い呼び名で、昔の日本や中国の医学書で使われた言葉です。現在の医学では正式な病名としてはあまり使われませんが、食中毒や日射病等をさす言葉です。中暑(ちゅうしょ)は、中国語で 「熱中症になること」 を表す言葉です。傷食は少食、泄瀉は下痢、瘧痢 は悪寒や発熱を指す言葉として、江戸時代には使われていたようです。
いずれにしても、養生訓では「四時の内、夏月、尤 (もっとも) 保養すべし」として夏の健康管理を1年のうちで最も大切にしなさいと言っています。
無論、養生訓の書かれた、江戸時代はエアコンがありませんでしたので、現代より数倍も外気の変化が生活や健康に影響したものと思われます。当時から、夏の病気の対策は、体を冷やしすぎず、風と水でしのぐやり方で、打ち水、日よけ、風通し、夕涼み、夏向けの飲み物で暑さをやわらげることだったようです。
しかし、現代はエアコンの使用によって、このような外気の変化による健康への影響は少なくなり、快適な居間や寝室での生活が出来るようになりました。ただし、こうしたエアコンの利用は注意が必要です。間違った使い方をすると、かえって体調を崩す原因になります。冷房が過度になると、外気との温度差によって自律神経が、その変化に対応できずに、身体を正常な状態に保とうとする力(ホメオスタシス)が崩れます。夏バテや冷房病ですが、熱中症の発症とも関連します。夏は、室内と外気の温度差は5℃くらいにすることが良いとされています。また、冬の場合と同じですが、時々、「換気をすること」と「寒すぎると感じないこと」、「風が直接体に当たらないように風向を調節すること」などが、不調を招かない方法の一つとされています。
さらに、エアコンのフィルターなどの掃除が大切です。フィルターやエアコン本体に黒カビなどのカビが生え、体調に影響することがままあります。その時、起こりやすいのは、咳、くしゃみ、のどの刺激、鼻水、目のかゆみです。カビの胞子やほこりが室内に広がると、こうした症状につながることがあります。
さらに、アレルギー体質の方や子ども、高齢の方では、アレルギー性鼻炎やぜんそくの悪化につながる可能性があります。大量のカビをくり返し吸い込む環境では、過敏性肺炎のような重い反応が起こることもあります。
注意の目安としては次の3 点に注意が必要です。すなわち、1.つけ始めにカビ臭い。2.吹き出し口に黒い点が見える。3.エアコン使用時だけ咳や
くしゃみが出やすい。こうしたサインは、内部にカビが増えている目安ですので、見える範囲のフィルターや吹き出し口を掃除して、改善しないなら内部洗浄の検討が必要です。内部の奥に広がったカビは、表面だけ拭いても残りやすいとされています。
文明の利器であるエアコンをうまく使って、爽やかな秋を迎えましょう。

