AI利用者をF~SS級に分類――「ツールを知る」段階から、AIを24時間動かし仕事そのものを再設計する段階へ
このNoteは、2026年3月13日に公開されたAI仙人の動画に関するものです。
簡潔な要約:
AI仙人と聞き手の2人は、利用しているAIサービスや使い方を基準に、AIユーザーをFからSS相当まで段階的に分類した。最下位のFは原則として「無課金」、E~DはChatGPT、Gemini、Claude、NotebookLMなど一般的なAIを利用する層、C付近はGensparkやManusなど複数機能をまとめたAIサービスを活用する層と位置付けた。BになるとCursor、Claude Code、Antigravityなどを使い、AIにコード作成やブラウザ操作、業務処理を任せる段階に入る。AではCodex Appが高く評価され、さらにS級ではGLMやローカルLLMなどを用途、コスト、機密性に応じて使い分け、多数のAIエージェントを動かす利用者が想定された。
さらにその上位層では、AIにメール、調査、資料作成などの「道具」を持たせる「ハーネス」や、個人・組織の仕事の進め方や職人のノウハウをAIに組み込む「Skills」が重要になると説明した。最終的に2人が強調したのは、Tier表は単なるツールの優劣表ではなく、利用者のAIへの習熟度を大まかに示す目安にすぎないという点だ。特定ツールを順番に習得することより、自分の仕事をAIとどう組み合わせ、生産性と仕事の質を高めるかが重要だと結論付けた。
【2026年3月】AIユーザーTier表ランキングを発表します
詳細な要約:
1.AI利用者の「Tier表」――利用ツールから習熟度を判定
冒頭では、利用しているAIサービスによってユーザーの習熟度をF~上位Tierまで分類する企画の趣旨が説明された。一般社会ではChatGPTしか使ったことがない人も多く、ClaudeやCursorまで利用する層はまだ少数だとの認識が示された。
Tier表はAIそのものの性能ランキングではない。例えばChatGPTは非常に強力でも、広く普及しているため利用者のTierとしては低い位置に置かれる。つまり「そのAIを使っている人が、一般的にどの程度AIに詳しいと見られるか」を示す、半ば娯楽的なランキングである。
また、原則として「一度でもAIサービスに課金した経験があること」を一定の基準として設定した。AI仙人は、無料版だけでは性能や使い勝手に制約が生じる場合があるとして、まず月額20ドル程度のサービスを一度利用してみることを勧めた。
2.E~D級――ChatGPTからGemini、Claude、NotebookLMへ
入門層のTier Eには、主としてChatGPTだけを利用しているユーザーを置いた。スマートフォンアプリなどで文章作成や相談に利用する一般的な使い方が想定されている。
その一段上としてGeminiが挙げられ、さらにClaudeを知り、利用しているユーザーは「AIを少し分かっている」層と評価された。AI仙人らの周辺ではClaudeやCursorが当たり前のように使われている一方、一般社会ではClaude自体を知らない人も多く、自分たちのAI利用環境が一般的な水準から大きく離れている可能性も指摘した。
NotebookLMについてもD付近との評価が示された。ただし、これはNotebookLMの性能が低いという意味ではない。あくまで「それを知り、使っている利用者がどの程度AIに詳しいか」という認知度・利用経験ベースの分類だと説明している。
3.GensparkとManus――「何でもできる」統合型AIへ
C付近ではGensparkが取り上げられた。Gensparkについては、画像生成、音声認識、スライド作成など複数の機能を一つのサービスから利用できる点を評価した。また、日本向けの広告・マーケティングによって知名度を高めているとの印象も語られた。
一方、複数の高性能AIモデルを一つのサービス経由で利用できることが、必ずしも本家サービスと同じ品質を意味するわけではないとの経験談も示された。AI仙人は、同じモデル名でも利用経路によって結果に差を感じるケースがあるとして、統合サービスの利便性と本家サービスの品質を分けて考える必要があるとの見方を示した。
Manusについては、PowerPointや手順書の作成、簡単なWebアプリ制作、画像関連作業などを行なえるエージェント型サービスとして紹介された。特に手順書作成を高く評価し、AIがユーザーの指示を分解し、必要な情報を検索しながら人間に近い工程で成果物を組み立てていく点を特徴として挙げた。
4.GPT-5.4への高評価――「AI80点、プロ100点」の構図が崩れ始める
会話の途中では、当時のChatGPTの新しいモデルとして「GPT-5.4」が話題となった。AI仙人はその能力向上を強く評価し、それまでの生成AIに対する認識が変わり始めたと語った。
従来は、専門家を100点、AIを80点、未経験者を50点とするような構図だったという。AIは素人より高品質な成果を作れるものの、本職の専門家には及ばず、専門家自身がAIを利用することで90~95点に近づけるという見方だった。
しかしGPT-5.4については、文章や構成など一部の分野でAIそのものが「プロの領域」に入り始めた可能性を感じたとする。将来的には、文章、漫画、漫才などの創作でも、一般利用者がAIを通じて専門家級のアウトプットを得る世界が来るのではないかと展望した。
当時のChatGPT、Claude、Geminiの比較では、AI仙人はGPT-5.4を最も高く評価した。その特徴を、OpenAIは「基礎となる頭脳の強さ」、Claudeは多数の道具を持たせる方向、GeminiはGoogleのエコシステムとの連携を重視しているように見える、と比喩的に整理した。
5.B級――CursorとClaude Codeで「AIに仕事をさせる」段階へ
B級からは、一般利用者というより本格的なAI活用層に入るとして、CursorとClaude Codeが挙げられた。
Cursorでは、コードだけでなく、提案仕様の作成や自動化など幅広い作業が可能だと説明。AIが何をしているのか、その途中経過を比較的確認しやすいため、むしろ初心者に向いている面もあるとした。
Claude Codeについては、内部処理が見えにくく、結果が直接出てくるため一見すると難しそうに感じられると説明した。一方、本格利用には相応の料金がかかることから、継続して高額なAI料金を支払うほど活用していること自体が、利用者の習熟度を示す一つの指標になるとの考えを示した。
6.Antigravityと「無課金四銃士」――無料でも高度なAI活用は可能
一方で、無課金ユーザーは冗談を交えながらF級とされた。ただし、無料でも工夫すれば強力な環境を構築できるとして、Antigravity、Genspark、NotebookLM、さらに音声認識サービスを加えた「無課金四銃士」が紹介された。
Antigravityについては、強力なモデルを無料で利用できることに加え、ブラウザ内部を操作できる点を評価。ログインが必要なWebサイト内で情報を集めるといった用途では強みがあるとされた。Webサイト関連やデザイン用途など、特性を理解して使っている利用者であればB級相当とみなしてもよいとの見解も示された。
7.AI課金は「年額より月額」――最強サービスは短期間で変わる
ここで、AIサービスへの課金方法も議論された。
ChatGPT、Gemini、Claudeなどの性能順位が短期間で変化するため、その都度最も優れたサービスを追いかけるのは負担が大きいという問題が提起された。
これに対し、AI仙人は「AIとの融合」という基本原則は、サービスが変わっても大きく変わらないと主張した。個別ツールの操作方法を追い続けるより、AIを自分の仕事に組み込む原則を理解することの方が重要だという考え方である。
実務的な課金のコツとしては、割引があっても年額契約を避け、月額契約を基本とすることを推奨した。1カ月ごとに「現在もこのAIが最適なのか」を見直せるようにするためだ。AI市場では1年後の勢力図を予測できないとして、固定的な長期契約に慎重な姿勢を示した。
8.A級のCodex App――Claude Codeから主力ツールを変更
Tier Aとして高く評価されたのがCodex Appだった。
AI仙人は、自身のプログラミング作業について「コードは全部こいつが書いている」と説明し、それまで高く評価していたClaude CodeからCodex Appへ主力を移したと語った。理由として、AIモデルそのものの「賢さ」を挙げている。
主としてプログラミング用途で利用しているものの、GPT-5.4の文章能力や後述するSkillsを組み合わせれば、資料作成など非エンジニアリング系の業務にも利用範囲を広げられる可能性があるとした。AIの進歩によって、技術系・非技術系という従来の業務区分そのものが薄れつつあるとの認識も示された。
9.S級――GLM、ローカルLLM、自律型エージェントの使い分け
S級になると、一つの有名AIを使うのではなく、GLMなどのモデルやローカルLLMを目的別に使い分ける世界に入る。
AI仙人によると、高度な利用者は「高性能モデルが必要な仕事」「安価なモデルで十分な仕事」「機密情報を扱うためローカル環境で処理すべき仕事」といった形でAIを選択する。
背景にあるのが、自律型AIエージェントの普及だ。AIを24時間稼働させ、メールへの対応などを自動的に実行させるようになると、大量のトークンを消費し、AI利用料金が増大する。そのため上級者には、単に高性能モデルを使う能力だけでなく、コスト管理や情報セキュリティを考慮しながら複数モデルを組み合わせる能力が求められるとした。
10.Open Devinが示す「24時間働くAI」の未来
Open DevinについてはS級相当と評価された。
AI仙人は、現状のプロダクトには改善余地があるとしつつも、AIが24時間稼働し続ける方向性そのものについて「AI時代の正解の一つを出した」と高く評価した。
将来的には、多数のAIエージェントを同時に動かすことが一般化する可能性があり、「40本のエージェントを稼働させる」といった状況も想定。そうなればコンピューターのメモリや処理能力も重要になり、AI利用はクラウド上のチャットサービスを使うだけのものではなく、ハードウェアを含む業務基盤の構築へ発展すると展望した。
11.SS級の核心――「ハーネス」と「Skills」で自分専用AIを構築
最上位層で重要になる概念として紹介されたのが「ハーネス」と「Skills」だった。
ハーネスとは、AIにさまざまな「道具」を持たせる考え方として説明された。例えばClaude CodeなどのAIに「メールを送れ」と指示しても、メール送信のための機能がなければ実行できない。そこでメール、検索、資料作成などの機能をAIに装備させ、自分の業務に合わせてカスタマイズする。
この段階では、同じCodex AppやClaude Codeを利用していても、ユーザーによってAIの能力が大きく異なって見える。ある人のAIはメールを送り、別のAIはリサーチし、さらにPowerPointまで完成させる、といった違いが生じる。
Skillsについては、職人や専門家の仕事の進め方をAIに覚え込ませる仕組みとして説明された。つまり最上位のAI活用とは「最も強いモデルを契約すること」ではなく、自分自身の仕事の方法、ノウハウ、ツール、処理手順をAI側へ移植していくことだという。
12.Tierは順番に上る必要なし――「ツール学習」自体の価値は低下
後半では、Tier表の見方について重要な補足が行なわれた。
例えばClaude Codeを使える人がGensparkやManusを使った経験がない場合、どのTierになるのかという疑問に対し、AI仙人は「順番にはこだわらなくていい」と回答した。下位Tierのツールをすべて習得してから上位へ進む必要はない。
むしろ、AIの進化が極めて速い中、一つ一つのツールの操作方法を覚えることだけに時間を費やす価値は低下していると指摘した。
最上位層では、すでに複数のAIが24時間稼働し、仕事を自動的に処理し、従来なら長期間かかったアプリ開発を短期間で終えるような競争が始まっている。その状況で「まずツールAを覚え、次にツールBを覚える」という直線的な学習方法では追いつけない可能性があるという。
13.AI上級者=エンジニアではない――営業・バックオフィスにもSS級
会話で特に強調されたのが、AI活用能力とプログラミング能力は必ずしも一致しないという点だ。
AI仙人によれば、上位Tierには非エンジニアも多数存在する。営業やバックオフィスなどの職種でも、自分の仕事を深く理解し、その業務をAIと組み合わせて徹底的に自動化している人がいるという。
逆に、エンジニアであってもAIをほとんど活用できていない人はいる。そのため、「コードを書けるか」ではなく、自分の業務をAIに任せられる形へ分解し、AIを実際の仕事に組み込めるかが新しい能力差になっているとの認識を示した。
非エンジニアでも、自分の専門領域に多数のAIツールや自動化を組み込み、極めて高い生産性を実現すれば、従来型の働き方をする同業者に対して大きな競争優位を持つ可能性があると警鐘を鳴らした。
14.結論――重要なのは「どのAIを使うか」ではなく「AIとどう働くか」
最終的にAI仙人は、Tier表を絶対的な能力ランキングとして受け取るべきではないと改めて説明した。
上位Tierのツールを使っているから仕事ができるとは限らず、逆に中間に位置付けられたサービスを使った経験がなくても、高度なAI活用を行なっている人はいる。Tier表は、初対面の相手が「Cursorまで使っているならAIに詳しそうだ」と感じるような、AI経験値のおおまかな目安にすぎないという。
そのうえで、AI時代に最も重要なのは、個別ツールの操作方法を大量に覚えることではなく、AIと一緒に何ができるかを探し、自分の仕事とAIを融合させ、より質の高い成果をより高い生産性で生み出すことだと総括した。
会話全体を通じて描かれているのは、AI活用の進化が、「チャットで質問する」→「複数のAIを使う」→「AIに作業を任せる」→「AIエージェントを自律稼働させる」→「自分の仕事の方法そのものをAIに移植する」という方向へ進んでいるという構図である。
その意味で、このTier表の本質的なメッセージは「どのAIサービスを知っているか」というランキングそのものより、人間がAIを使う段階から、人間の仕事をAIが実行できる仕組みに変えていく段階へ移行しつつある、という点にあると整理できる。
