「24時間働くAI」で副業はどう変わる? リサーチ、SNS、トレード、Webアプリに広がる個人ビジネスの可能性と限界
簡潔な要約:
対談では、受託業務ではなく、AIを24時間稼働させて個人が「商売」を行なう方法がテーマとなった。中心となる考え方は、AIに漠然と「稼いでこい」と命じるのではなく、まず市場を調査し、実際に需要と売上が存在する場所を見つけた上で、AIの大量処理能力を投入するというものだ。特に、多くの人がまだ注目していない市場の「穴」を探す姿勢を「ハック思考」と位置付けている。
具体例として、ココナラなどで売れているAI関連商品・サービスの調査、SNS投稿の半自動化、日常の会話や仕事の記録をAIに蓄積して発信や商品開発へ転用する「コンテキスト」の活用、FX・仮想通貨などのトレード戦略のバックテスト、ニッチな課題を解決するWebアプリの開発などが挙げられた。特にAIは、トレードのように結果を数値で検証できる領域との相性が良いとの見方が示された。
一方、AIによる無制限の投稿、営業、コンテンツ生成が広がれば、SNSなどのプラットフォーム側が規制を強める可能性が高いとも指摘した。規約違反やアカウント停止、セキュリティ、金融関連の法規制にも注意が必要で、単純な「大量生産」だけでは長期的な優位性になりにくいとした。最終的には、市場調査→商品・サービス開発→販売までの流れを再現可能な仕組みにすることが重要との結論に至っている。
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詳細な要約:
1.「AIに稼がせる」個人ビジネスを議論
対談の出発点は、近年のAIエージェントがパソコンを自律操作し、長時間稼働できるようになったことで、「人間が仕事を受託する」のではなく、「AIを働かせて自分の商売を作る」ことが可能になったのではないか、という問題提起だった。
ここで対象としているのは、AIを使って受託業務を効率化する一般的なフリーランス型の働き方ではない。AIを人間の代替労働力として使い、個人がスモールビジネスを運営する発想である。対談ではこれを、時給型の仕事とは異なる「ハック思考」に基づく稼ぎ方として説明している。
ただし、AIによるSNSの完全自動操作などにはサービス規約上の問題が生じる可能性がある。このため対談では、規約違反を前提とした方法ではなく、比較的「きれいなやり方」に議論を限定している。
2.最重要なのは「作ること」ではなく「何が売れているかを調べること」
対談で最も強調されたのが市場調査である。
AIに単純に「お金を稼いでこい」と命令しても、精度の高いビジネスを自動的に発見してくれるわけではない。むしろ、人間側が「どこに需要があるのか」「どこなら売れるのか」を調査し、AIを投入する場所を絞る必要があるという。
例として、ランサーズ、クラウドワークス、ココナラなどのサービスをAIに調査させ、AIを使って実際に売上を上げている商品やサービスを探す方法が紹介された。
この考え方では、商品を作ってから販売方法を考えるのでは遅い。アプリであれば、ランキング上位の商品、販売者、宣伝文句、推薦アルゴリズムなどを先に調査し、「何なら売れるのか」を把握してから開発するべきだとする。
対談ではココナラ上の「AI占い」関連商品なども例に挙げられ、重要なのはその商品を推奨することではなく、実際に購入や評価といった需要の証拠が確認できる市場を探すことだと説明された。
AIはSNS上の「儲かる」という投稿と、本当に収益が発生している事例との区別がまだ十分ではないため、評価件数や販売実績など、客観的な証拠を確認できる市場を優先すべきだという考え方である。
3.「ハック思考」――競争の少ない小さな市場を探す
こうした市場探索の考え方を、対談では「ハック思考」と呼んでいる。
大勢が注目する市場はすでに探索され、競争が激しくなっている。一方、日本ではほとんど知られていないサービスやニッチ市場などには、まだ収益機会が残っている可能性がある。
AI仙人は過去の仮想通貨市場を例に、著名な銘柄そのものではなく、ほとんど知られていない領域で収益機会を探す人が存在したと説明。その発想をAIに応用すれば、人間が「探すべき場所」を指定し、AIに24時間しらみつぶしに探索させることができるとする。
つまりAI時代に価値を持つのは単なる作業能力ではなく、「どこをAIに探索させるべきか」を見つける能力だという。
4.SNSでは「完全自動」より人間を挟んだ半自動運用
具体的な収益化手段としては、SNSとnoteなどの組み合わせも挙げられた。ThreadsなどのSNSをAIで運用し、情報商材、デジタル商品、アフィリエイトなどにつなげるモデルである。
ただし、SNSを完全自動化する方法については慎重な姿勢を示している。
現実的な方法として紹介されたのは、人間が音声入力などでアイデアを提供し、AIが投稿文に整形し、人間が最終確認した後に投稿・予約投稿する「半自動型」である。
また、AIに海外で話題になっている情報を24時間収集させ、それを日本語向けの投稿ネタに加工するようなアカウントも存在すると指摘。AIは情報収集、翻訳、文章整形、投稿候補の抽出などに向いているとの認識が示された。
5.日常そのものを「コンテキスト」としてAIに蓄積
さらに特徴的な方法として紹介されたのが、「コンテキスト」の蓄積である。
AI仙人は、自分の会話や仕事上の発言などを記録し、AIが利用できる背景情報として蓄積してきたと説明する。そこからAI関連の有益な発言だけを抽出させれば、SNS投稿やコンテンツの素材になる。
これは専門家だけに限定される発想ではない。日常生活の出来事や家族とのエピソード、仕事で何気なく話した内容などを記録しておけば、AIが後から「発信に使える話」「自分ができること」「商品化できそうなスキル」を発見できる可能性があるという。
したがって、日常の記録はSNS投稿だけでなく、自己分析、スキル棚卸し、商品開発、転職・キャリア形成などにも利用できるとする。
この考え方では、AI時代の個人資産の一つが「自分自身についてAIが利用できるコンテキスト」ということになる。
6.AIの24時間稼働は特別な技術ではなくなりつつある
対談では、「24時間AIを動かす」ために特殊なテクニックが必要なのではなく、AIそのものの能力向上によって、従来と同じような指示でも長時間の自律作業が可能になってきたとの認識が示された。
つまり、人間側が突然高度な自動化技術を身につけたというより、AI側の進歩によって、従来のAI活用がそのまま常時稼働型へ拡張されつつあるという見方である。
7.トレードは「結果を検証できる」ためAIと好相性
別の有力分野として挙げられたのが、FXや仮想通貨などのトレードである。
理由は、トレード戦略が過去データによるバックテストで比較的明確に評価できることにある。AIは曖昧な評価より、「儲かった/儲からなかった」のように結果を数値化できる問題に強いため、トレード戦略の探索との相性が良いという。
例えばAIに戦略を作らせ、バックテストを行なわせ、結果が悪ければ戦略を修正し、再びテストする。このサイクルを24時間繰り返させることが考えられる。
一方、AIを利用する市場参加者が増えれば、有効な取引戦略、いわゆる「エッジ」が急速に消滅する可能性もある。それでも個人投資家は巨大な機関投資家とは必要な運用額が異なるため、大手が狙わない小さな市場の歪みを狙う余地があるとの見方が示された。
なお、外部からトレード用プログラムなどを取得してAIに実行させる場合には、悪意のあるコードを取り込むセキュリティリスクがあるとも指摘している。また、投資判断を提供するサービスについては金融関連の法規制に関わる可能性があるとして注意を促している。
8.Webアプリ開発にも新たな収益機会
対談後半では、AIによるWebアプリ開発も有力な領域として浮上する。
従来のバイブコーディングでは、アプリそのものをAIで作れても、サーバー、課金、セキュリティなど複数のインフラを組み合わせる必要があり、個人が安全にサービスを公開するハードルは依然として高かった。
しかしAI仙人は、今後は大手AI・クラウド事業者が安全なインフラをまとめて提供し、その上でAIがアプリを構築・公開する方向に進むのではないかと予想する。そうなれば、BtoB・BtoCを問わず、小規模Webサービスを作り、マーケティングまでAIに担わせるモデルが現実味を増すとの見方だ。
そこで重要になるのが、再び「課題の発見」である。
AIがソフトウェアを簡単に作れるようになれば、「作れること」そのものの価値は低下する。代わって、「誰が、どこで、どんな問題に困っているのか」を把握する能力が重要になる。
ニッチな業界をAIに24時間調査させ、課題を発見し、その問題を解決する小規模アプリをAIに作らせる。こうした「課題発見→開発→販売」の自動化が、新たな個人ビジネスになる可能性が示された。
9.最大の問題は「AIによる無限生産」
一方、AIの生産能力がほぼ無制限になること自体が、ビジネスモデルの寿命を縮める可能性も指摘された。
1人が多数のAIエージェントを動かせば、SNS投稿、動画、Webサイト、営業メールなどを大量生成できる。しかし、送信側にとって低コストでも、受け取る側やプラットフォームにとっては大量の不要コンテンツとなる。
仮に「1万件投稿して1件だけ当たり、1万円稼ぐ」という戦略が成立したとしても、それを多数の利用者が実行すれば、プラットフォーム側には膨大な保存・審査・配信コストが発生する。
このため対談では、AIコンテンツの大量投稿が進めば、プラットフォームは何らかの規制を強化せざるを得ず、「AIで無限に量産すれば勝てる」という方法が長期間続くとは考えにくいとしている。
規約違反と法律違反は別問題だが、SNSなどではアカウント停止という現実的なリスクもある。対談でも、グレーゾーンを狙った自動化を安易に実行しないよう警告している。
10.結論――「AIを使えること」より「売れる仕組みを設計できること」
対談全体を通じた結論は、AIを24時間動かすこと自体が収益源なのではないという点にある。
AIが強力になるほど、同じAIを誰でも利用できるようになるため、「AIで文章を書く」「AIでアプリを作る」「AIで画像を大量生成する」といった能力そのものは差別化になりにくくなる。
重要なのは「需要を調べる → 市場の穴を発見する → 商品・サービスを作る → 販売する → 結果を検証する → 改善する」という一連の仕組みを再現可能にすることである。
AIにはその各工程を高速化し、24時間繰り返させることができる。逆に言えば、「何を作ればいいか」を考えず、単純にAIへ大量生産させるだけでは、競争激化やプラットフォーム規制によって優位性を失いやすい。
対談では、こうした高度な使い方を実践している人はまだ一部に限られるとして、現時点では収益機会が残っているとの見方を示す。その上で、ココナラ、クラウドワークス、ランサーズなど既存市場をAIで調査することから始め、「調べる・作る・売る」を一体化した仕組みを構築することが、AI時代の個人ビジネスの鍵になるとまとめている。
