山小屋暮らしの矜持と知恵「カメムシ対策は忍忍」
カメムシ、六角形した平たい虫。中には細長いものもいるが、細長い彼は平たいものと違い集団行動はしていない。カメムシはなんとも言えない匂いを放つことから、別名「クサムシ」や「屁こき虫」、「へクサ虫」などと呼ばれ大半の人間どもには嫌われ者である。
匂いも嫌だが決まって夜中、寝ているところにブーンと飛んできては無造作に顔や頭にぶつかってくる。無防備に口を開けていびきでもかいていると、口の中に飛び込んでくる。とても無礼な虫だ。「安眠妨害罪」で叩き潰してやりたい心境だが、強烈な匂いという武器を備えており、迂闊には手を出せない。
奴らは雪虫が舞う晩秋になる頃に大群で押し寄せてきては、寒い冬をぬくぬくと家の片隅の中で過ごし、春になるといつの間にやら出て行く。越冬昆虫だ。家の中が最高のシェルターになっているようだ。
奴らの習性として、秋になり薪ストーブで温められると小屋の中の狭い隙間の空間に棲みつく「閉所歓迎症候群」がある。さらに「几帳面症候群」でもある。
箪笥の引き出しの後ろなどに不思議と整列して並んでいる。お互いのお尻に頭をつけて整列、縦列して越冬しているのである。おそらく、外部からの攻撃があれば、あの臭い分泌物を噴霧することで、他の仲間たちは冬眠中からすばやく目覚め、避難することができるための知恵かと想像するのだが、整然と整列した姿はとても滑稽である。そんな中で一つ気になる点は、どんな奴が先頭になるんだろうかということ。余程、勇敢なカメムシ、カメムシの中のカメムシということなのだろうか。

「2、3本、大きな薪をくめてから床に入ろう」
「湯たんぽも、ぬくぬくで気持ちいいね」
「くれぐれも口を開けたまま、寝ないほうがいいと思うよ」
「どういうこと・・・」
「スー、スー、スー・・・」
しばらくすると、どこからともなくブーン、ブーン、パタッ・・・ブーン、パタッ。
「エッ、何やら耳元に飛んできた、こそばゆい」
「スー、スー、スー・・・」
ブーン、ブーン、パタッ・・・ブーン、パタッ。
「あっ、今度は鼻の頭にやってきたよ」
「うーん・・・やかましいな、触るとえらい事になるよ、布団をかぶって寝ることや」
一度、昼時にインスタントの味噌󠄀ラーメンを食べている時に、特攻隊の如く鉢の中に飛び込んできた奴がいた。不覚にもそれには気づか奥歯で潰してしまったことがある。
この事件以来、カメムシの大群を発見するや否や、箒と塵取り片手に一網打尽に掃き出し、直ちに雪上にばら撒くか、薪ストーブの中で灰と化す。
多分にサディスティックな面があるが、人と共存できる生き者と共存できない生き者がいる。スズメバチのように人に危害を与える虫ではないが、どうしても殺生は避けて通れない。
今春は寒さも続いたため、なかなか外に旅立とうとしない奴もいる。この季節になれば無駄な殺生はやめて、もうしばらく忍ぶ忍ばずで辛抱しようと思う。
ところで、カメムシの習性でもある「閉所歓迎症候群」を利用して「カメムシ一網打尽捕獲器」を考案しようと考えている。まず、設置場所に適したものを試作して秋ごろに設置して見ようと思う。

to 京都@山小屋の住人
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