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避難所を「知る」から「体験して考える」へ― 防災サークル「おかしもち」 避難所体験 ―

2026年8月13日(木)、山梨県立大学看護学部の防災サークル「おかしもち」では、災害時の避難所での生活をより具体的に考えるため、避難所体験を行いました。
 
災害が起きたとき、避難所ではどのような生活を送ることになるのでしょうか。
「段ボールベッドは実際に寝てみるとどう感じる?」
「災害用トイレは使いやすい?」
「大勢の人と同じ空間で過ごすとき、どんなことに困る?」
 
今回は、避難所について調べるだけではなく、実際に見て、触れて、組み立てて、食べて、横になってみることを大切にしました。

実際に避難所での「生活」を体験

体験では、段ボールベッドなどの避難所で使用される物品を実際に準備し、避難所での生活空間について考えました。

段ボールベッドは、見るだけではなく、運び、組み立て、実際に横になってみました。

すると学生からは、
「思っていた以上に運ぶのが大変だった」
「疲れている被災者、特に高齢者にとっては大きな負担になるのではないか」
「普段、布団で生活している人にとってはどうだろう」
など、物品そのものの便利さだけではなく、それを“誰が使うのか”“誰が準備するのか”という視点が生まれました。
 
また、避難所で一人ひとりに与えられるスペースや、人が近くを通るときの感覚なども実際に確かめました。
限られた空間の中で多くの人が生活することの難しさを、身体を通して考える機会となりました。

災害用トイレを使って考えた「健康」と「プライバシー」

今回、特に多くの学生がさまざまな課題に気づいたのが、災害時のトイレでした。

凝固剤を実際に使用すると、「すぐに固まって便利」という発見がある一方で、
・においをどうするのか
・使用後の処理をどうするのか
・手洗いや消毒までの動線をどうつくるのか
・安心して使用できる場所に設置できるか
・周囲からの視線をどう遮るか
・女性や高齢者など、それぞれの立場から安全性を考えられているか
など、次々と新しい疑問が生まれました。
 
学生からは、トイレの環境が悪ければ、使用することをためらったり、水分摂取を控えたりする人がいるのではないかという意見も出ました。
 
トイレは単なる設備ではありません。
排泄できる環境を整えることは、避難している人の健康だけでなく、尊厳やプライバシーを守ることにもつながります。
看護を学ぶ学生だからこそ、大切にしたい視点に気づく体験となりました。

携帯浄水器も、実際に試してみました

災害時の「水」について考えるため、市販の携帯浄水器も実際に使ってみました。今回は、片栗粉を混ぜた水や塩を溶かした水などを使い、浄水器を通すとどうなるのかを確かめました。

携帯浄水器を実際に使って、水の変化を確かめました。
今回の体験では、片栗粉を混ぜた水では見た目の変化が確認できた一方で、塩を溶かした水では、浄水後も塩分が残っていることを確認しました。

片栗粉入りの水、塩を溶かした水などを使って比較しました。
実際に試したことで、「浄水器を通せば、どんな水でも飲めるようになるわけではない」ことを実感しました。自然の水を活用する場合には、水の状態や使用する浄水器の性能を確認し、必要に応じて加熱するなど、安全に利用する方法まで考えておくことが大切だと学びました。
防災用品は、備えておくだけではなく、実際に使ってみて「何ができて、何ができないのか」を知っておくことも大切です。

非常食を「実際に食べてみる」

災害時の食事についても、実際に食べることでさまざまな発見がありました。
「思っていたよりおいしかった」という声がある一方、乾パンやパンなどは口の中の水分が奪われやすいことにも気づきました。
 
また、温かい食事を口にした学生からは、「温かいご飯を食べるだけで気持ちが明るくなった」という感想もありました。

避難所での食事には、栄養や水分を補給するだけではなく、不安や疲労の大きい避難生活の中で、ほっとできる時間をつくる役割もあるのではないかと考えるきっかけになりました。

「避難者=支援を受ける人」だけではない

今回の体験では、避難所を運営するためには多くの人の力が必要であることも実感しました。
学生からは、
「避難したら支援を受ける側という印象が強かった。しかし、実際にはみんなが被災者であり、その中で協力して避難所を整えていくことが大切だと感じた」
という声がありました。
 
物品を運ぶ。
ベッドを組み立てる。
トイレを管理する。
生活上のルールを共有する。
困っている人に気づく。
 
避難所では、「誰かがやってくれる」のではなく、そこにいる人たちが互いに支え合いながら生活環境をつくっていくことも必要になります。
 
学生にとって、災害時に自分たちにもできることがあると考える機会にもなりました。

体験したからこそ見えてきたこと

避難所について事前に知識を得ていても、実際に体験すると新たな気づきがあります。
学生からは、
「実際に体験することで、より細かい部分まで深めて考えることができた」
「イメージしていたこととの共通点と相違点を見つけることができた」
「限られた備品をどのように活用し、動くかが、安全で快適な避難所生活につながると学んだ」
などの感想が寄せられました。

また、避難所で生活する人の健康や生活を守るためには、安全、衛生、感染予防、プライバシー、食事、睡眠、生活習慣などを総合的に考えることが必要だという学びにもつながりました。
 
さらに、「高齢者だったらどうだろう」「女性の立場ではどうだろう」「普段の生活習慣が違う人はどうだろう」と、さまざまな人の立場から避難所を見る視点も生まれました。

体験を、次の防災行動へ

今回の体験をきっかけに、
「自宅の防災用品・備蓄を確認する」
「自分が避難所へ持っていく物を考える」
「避難所についてさらに学ぶ」
「地域の防災活動に参加する」
「今回学んだことを他の人に伝える」
など、次の行動につながる意見も多く聞かれました。
 
避難所を「知っている」ことと、そこでの生活を「自分ごととして考えられる」ことは、少し違います。
 
実際に体験してみることで、
「自分だったらどう感じるだろう」
「この人だったら何に困るだろう」
「自分たちには何ができるだろう」
と考えることができます。

今回の体験で生まれた気づきを、これからの防災活動や地域の皆さんとの活動につなげていきたいと思います。
 
今回は、富士山科学研究所の石峯康浩先生が、ご参加くださり、学生を見守り、ご助言くださいました。心より感謝申し上げます。
 
※地域研究交流センター地域貢献事業(地域実践)「地域住民と共に学ぶ看護学生の地域防災活動」の一環として実施しました。