見出し画像

自分軸を取り戻すには、3層もあった

離婚して数年。自分軸はもう取り戻したつもりでした。それなのに、お店で私は固まりました。

「私には、もったいない」
何年も前に手放したはずの声が、まだ残っていたんです。数年前の秋、あるカバンとの出会いで、そのことにようやく気づきました。この記事は、その日の話です。


「私にはもったいない」——ずっとそう思っていた

夫と暮らしていた頃、私はいつもそう思っていました。

高級な食材を口にするのも、素敵なカバンを持つのも、価値のない私にはもったいないことだ、と。

美味しいものを見ても、素敵なお店の前を通っても、心のどこかで「私にはもったいない」「私にはまだ早い」とブレーキがかかりました。ほしいと思う前に、諦めることに慣れていたんだと思います。

自分のほしいものより、夫の機嫌。自分の心地よさより、家の中を丸く収めること。そちらを優先し続けているうちに、いつのまにか「自分のために選ぶ」という感覚そのものが、私の中から消えていました。

子供のため、家族のためなら迷わず使えるお金も、自分のためとなると途端に財布のひもが固くなる。それが「まっとうな母親のあり方」だと、どこかで思い込んでいたのかもしれません。

夫の言葉が、いつのまにか私の「当たり前」になっていた

アスペルガー傾向のある夫からは、日々の些細なことでも非難されるようになっていました。

私が何かを選ぶたびに、「そんなものを」「まだそんなことをしているのか」と言われる。夫にとっては、値段こそが良し悪しを測る唯一のものさしだったのだと、今なら分かります。最初のうちは反論していたはずなのに、否定が続くと、いつからか、言われる前に自分でブレーキをかけるようになっていました。

アスペルガー傾向のある夫の言葉は、私という人間そのものへの評価というより、夫自身の特性からくる反応だったのだと、今なら分かります。でも当時の私には、そこまで距離を取って見る余裕がありませんでした。

振り返れば、それは呪いのようなものでした。誰かに強制されたわけではないのに、気づけば自分で自分を縛っていました。

言われ続けた言葉は、いつのまにか私自身の内側の声になっていました。「私には、もったいない」。それはもう夫が言った言葉ではなく、私が自分に向かって言うようになった言葉でした。

3倍の値段のカバンを、自分に許した日

夫と離れて、生活がすっかり落ち着いた頃のことです。

当然、日々の全てのことを自分で決められるようになりました。「私の人生は私が決めていい」と、頭でも心でも分かっているつもりでした。

探しに行ったのは、普段使いの実用的なバッグでした。けれど、その日お店で対応してくださった方に勧められたのは、まったく違うものでした。値札を見て、私は固まりました。思っていた金額の3倍。

肩にかけた瞬間、鏡の中の私が、少しだけ知らない人に見えました。

店員さんの前で、何分も迷いました。頭の中で損得を計算する自分と、「これが欲しい」と静かに主張する自分が、心の中で綱引きをしていました。

気に入ってしまったのに、「私にはそこまでの値段のものは、もったいないんじゃないか」という声が、心のどこかから聞こえてきたんです。もう何年も前に手放したはずの声でした。

自分軸はもう取り戻したはずなのに。それでもまだ、こんなところに古い感覚が残っていたのか、と。

その場ではすぐに決められず、いったんお店を出て、家に帰りました。「私には分不相応かもしれない」と思う自分と、「でも、あのカバンは忘れられない」と思う自分が、一晩中頭の中でせめぎ合っていました。

そして翌日、「やっぱり」という気持ちのほうが勝って、もう一度お店に向かいました。即決ではなく、一度立ち止まって、それでも選び直した。自分に、買うことを許可したんです。

夫と暮らしていた時だって、本当は、こんなふうに静かに選び直せる瞬間は、きっとあったはずでした。

自分軸には、層があった

それから3年以上、そのカバンを使い続けています。

サイズも色も、自分にしっくりきていて、持つたびに「これを選んでよかった」と思います。使うたびに、というより、鞄を見るたびに、心がちょっと温かくなる感覚があります。

胸が躍るような、大きな喜びではありません。鞄を手に取るとき、少しだけ背筋が伸びるような感覚です。

友人にこの話をしたとき、「たかがカバンでしょう?」と笑われたことがあります。でも私にとっては、たかがカバンではありませんでした。長い間、自分の欲求に蓋をする生き方をしてきた私にとって、それは「自分の感覚を信じて選ぶ」という、小さくても確かな練習だったからです。

そしてこのとき気づいたのは、私が自分軸を取り戻すことは、一度の決断で完了するものではなく、何層にもなっているということでした。

  • 第一の層: 離婚という、大きな決断

  • 第二の層: 日々の、一つひとつの選択

  • 第三の層: 自分にお金を使うことを、自分に許す

離婚という大きな選択をして、日々の生き方も変わって、それでも心の奥底には、まだ触れられていない古い感覚が残っていました。それを一つずつ見つめて手放していくプロセスが、今もずっと続いているんです。

オーガニック・オリーブオイル一本は選べるようになっても、3倍の値段のカバンは選べなかったんです。自分軸に蓋をしていた層は、そういう順番で剥がれていくのだと思います。

自分を大切にすることを、ひとつ積み重ねるごとに、自己肯定感がじんわりと上がっていきます。派手な変化ではなく、静かに積み上がっていく感覚です。

朝いちばんに考えることが、「今日は夫から何を言われるか」から「今日は何を着ようか」に変わっていったのです。

「自分軸を取り戻す」というのは、こうした選択の積み重ねなんだと、このカバンが教えてくれました。

あなたも、自分に許可を出していい

ここまで読んでくださったあなたは、日々本当によく頑張ってきた方だと思います。

仕事も、家事も、育児も、そして夫婦関係も、全部を一人で抱えながら、それでも「なんとかしなきゃ」と踏ん張ってきたんじゃないでしょうか。

私にとってはカバンでしたが、それはコーヒー一杯かもしれないし、「今日は残業を断る」という選択かもしれません。金額の大きさが本質ではなく、「私には、もったいない」という声を一度でも超えられたかどうかが、本質なんです。

誰にも気づかれないまま、あなたが積み重ねてきた我慢や工夫は、決して小さなものではありません。私があの夜、お店を出て一晩迷ったように、誰にも気づかれない場所で何度も自分と向き合ってきた——それも、積み重ねの一つです。

もし今、あなたがまだ旦那さんとの関係のただ中にいて、自分に許可を出す余裕なんてないと感じていても、それでいいんです。私自身、その余裕が持てるようになるまでに、何年もかかりました。順番は人それぞれで大丈夫です。

あの日、鏡の中の自分が少しだけ知らない人に見えたように——「私はこれでいい」と思えたとき、鏡に映るあなたの表情も、今日より少しだけ変わっているかもしれません。それは確かに、あなたの中で起きているんです。

今日のひと言✨変化は少しずつでいい

自分軸を取り戻そうと、毎日精一杯やってきたのに、まだ古い感覚が顔を出す——そんな自分にがっかりしなくて大丈夫です。それだけ長く、自分の心と向き合い続けてきた証でもあるからです。

大きな決断が先に来る人もいれば、小さな「これを選んでいいかな」という迷いから始まる人もいます。どちらが先でも、どちらが後でも、いいんです。

今日もし「私には、もったいない」と思う瞬間があったら、それが誰の声かを、一度だけ確かめてみてください。そんな一つの問いから始めてみませんか。

今日、ほんの少しだけ、自分に許可を出せますように。
そんなささやかな積み重ねが、いつか幸せにつながっていきますように。

私が「自分に許可を出せるようになる」までに何をしてきたのかは、メルマガで少しずつお伝えしています。


「私には、もったいない」と自分にブレーキをかけてきたけど、この記事を読んで、少しだけ楽になった——そう感じたあなたへ。

「自分軸で生きるメルマガ」はあなたのためのものです。

🎁 登録特典「アスペルガー夫に振り回されない私になる5Daysレッスン」

5日間の無料メールレッスンで——

  • 心に溜まった感情を言語化し、少し楽になるヒントになります

  • 夫との距離感を意識しやすくなり、疲弊が少し和らぐヒントになります

  • 自分軸を取り戻すためのヒントになります

夫婦関係・子育て・感情整理などに悩む方に寄り添ってきた経験から生まれたメッセージです。

▼ 自分軸を取り戻す旅を、ここから始める ▼


いいなと思ったら応援しよう!