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義母の涙に、アスペルガー夫は仕事の話を始めた

共感してほしいだけなのに、夫の口から出てきたのは、全く違う、自分の将来の話でした。「私の伝え方が悪いのか」と、ずっと自分を責めていた時期もありました。

夫との会話で、そんな噛み合わなさを感じたことはありませんか。何かを伝えても、求めていたのとは違う言葉が返ってくる——そういう瞬間です。

私は長年、「伝え方が悪いのは私のほうだ」と思い込んでいました。でも、ある出来事をきっかけに、そう思い込んでいたのは全く違うかもと気づきました。

今日は、義母と息子である夫との間で実際に起きた、ある出来事について書きたいと思います。


夫にあてはまる?あてはまらない?

発達特性のある人のコミュニケーションには、いくつかの決まった型があるといわれています。たとえば、言葉を字義通りに受け取る型、結論を後回しにする型、感情理解が苦手な型、こだわりが強い型、共感よりも正論を優先する型、抑揚や表情が読み取りにくい型、あいまいな指示に反応しづらい型——こんなふうに、いくつかの型が見られるようです。

※これは医学的な診断ではなく、日々の会話から見えてきた傾向の整理です。

この型を知ってみると、これまでモヤモヤしていた夫の言動も類型化できるように感じられたのです。

私の夫の場合、当てはまったのは「感情理解が苦手な型」「こだわりが強い型」「共感よりも正論を優先する型」「抑揚や表情が読み取りにくい型」の4つでした。

一方、「結論を後回しにする型」は当てはまりませんでした。夫は外資系企業のコンサルタントで、同じ職場で働いていた時期もありましたが、話し方はむしろ結論を先に言い切ってから理由を並べる、いかにも論理的なタイプだったからです。

一般論をそのまま当てはめるのではなく、自分の夫の言動と照らし合わせて考える。それだけで、夫という一人の人間の輪郭が、少しくっきり見えてくる感覚がありました。

それまでの私は、夫は「とらえどころのない人」と思っていました。でも型に当てはめてみると、初めて少しだけ夫の輪郭がつかめるようになった気がしたんです。

今日は、4つの型の中でも一番印象に残っている出来事——「感情理解が苦手な型」について書いてみたいと思います。

義母の涙に、夫は仕事の話を始めた

義母が一人暮らしになった頃のことです。これからの暮らしがどうなるのか、義母は涙ながらに夫(息子)に話していました。リビングのソファで、義母はハンカチを握りしめながら、声を震わせていました。私はキッチンから様子をうかがいながら、静かにその会話を聞いていました。

そのとき夫の口から出たのは、慰めの言葉ではありませんでした。将来、自分は仕事でこんなことをしていく―—そんな、自身のキャリアプランの話でした。何分経っても、夫の口からは共感の言葉も、労りの言葉も出てきませんでした。ただ淡々と、自分の話をしていました。

それを隣で聞いていた私は、耳を疑いました。義母は自分の将来を憂いて涙を流しているのに、この人は一体何の話を始めたんだろう、と。リビングには気まずい沈黙が流れ、義母は涙を拭いながら、それ以上何も言えずにいました。

義母が求めていたのは、きっと答えではなく、「つらいね」「大変だったね」という一言だったのだと思います。でも夫は、相手の気持ちを受け止める前に、自分の話に切り替えてしまう。

後日、義母は私にこうこぼしました。
「うちの息子はなんでこんなに冷たいの」

その言葉を聞いたとき、私は驚きと共に、どこか腑に落ちる感覚がありました。私が夫との関係で長年感じてきたのと同じことを、義母もまた感じていたのだと気づいたからです。それまで、私だけが特別に苦しい思いをしているのだと思っていました。でも、義母の言葉が、その思い込みを静かに崩してくれました。

私だけが感じていたわけではなかった

義母のひと言を聞いて、改めて気づいたことがあります。共感してもらえないと感じていたのは、私だけではなかったのです。妻である私も、母である義母も、同じ感覚を抱えていたのです。

そしてもう一つ、義母は、義父も今の息子と同じようだったと、語っていました。つまり、夫が育った家庭の中にはこうしたパターンが既にあったようです。そして、義母も長年、私と同じように、伝わらないもどかしさを抱えてきたのかもしれません。

アスペルガー症候群といっても、その特性の表れ方は人によって様々です。でも、共感するよりも「自分のこと」が先に出てしまう瞬間があるという点では、共通する部分があるのかもしれません。

悪意でも、愛情の欠如でもなく、特性由来のパターンなのだと捉えると、見える景色が変わってきました。

この気づきがあってから、私は夫に「もっと共感してほしい」と期待するのをやめました。感情を分かち合いたい時は、友人や仲間に話すようにしています。

もしかしたら、あなたの旦那さんにも、どれかの型に当てはまるような特性はありませんか。そういう特性なんだと思うと、自分のせいかも、と思う気持ちが和らいでいくかもしれません。

今日のひと言✨型というものさし

「私の伝え方が悪いのかもしれない」「私が変なのかもしれない」。そう思い込んでいた時期が、私にも長くありました。

でも、この出来事をきっかけに振り返ってみると、私が感じてきた違和感には、ちゃんと理由がありました。夫と義母のやりとりを見て、初めてその理由がわかった気がしました。そう気づけたことが、私にとって、一つの安心材料になっています。

型を知ってから、私は夫の反応にいちいち傷つくことが減りました。「ああ、また例のパターンだ」と、少し距離を置いて眺められるようになったんです。夫を変えようとすることをやめて、自分の心を守ることを優先できるようになったから、なのだと思います。

もし今、あなたも同じように「私の伝え方が悪かった」「私が至らないから」と自分を責めているなら、少しだけ立ち止まってみてください。もしかしたら、あなたのせいではなく、噛み合わない回路同士が、たまたますれ違っているだけなのかもしれません——そう考えてみることは、できそうですか。

型に気づいたあと、伝え方を変えてみるのも、少し距離を取ってみるのも、どちらを選んでも構わないと思います。急いで答えを出す必要はありません。今日は、ただ「私だけじゃなかった」と知るところまでで十分です。

これから先も、旦那さんの言動に驚いたり、戸惑ったりすることがあるかもしれません。それでも、「型」というものさしを持っているだけで、以前より少し受け入れやすくなる気もします。分かり合えない部分があっても、それぞれが自分のペースで、心地よくいられる距離を見つけていく。それでいいのだと、今は思えます。

義母との関係も、あの日を境に少しずつ変わりました。お互いの「もどかしさ」を分かち合える相手が、また一人増えたような、そんな感覚です。

この記事を読んでくださったあなたにも、少しでも心が軽くなる瞬間が訪れますように。


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