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踏切に成り切んな|毎週ショートショートno+e|踏切オーディション

某市では毎年、地元劇団主体の前衛劇が上演される。一部の役は市民オーディションで演者を決める。
地元育ちの静は、ずっと「踏切」役に憧れていた。
高1の時、オーディションに初参加。
オリジナルの踏切コスプレで、踏切ダンス。腕を頭上にピンと挙げ、手首を返し横にゆっくり下ろす振り付けで、踏切の遮断を表現。
内心かなり自信はあった。が、落選。
審査委員長は落選者に向け言う、
「踏切に成り切るとは?よく考えて」。
翌年はダークスーツで、客席に背を向け、遮断ポーズ。
存在を消し、毅然と制止を表現。
またもダメ。「踏切に……」を再び聞く。
3年目。
舞台に現れた静は、金髪ロング、豹柄シャツ、手に錫杖。
「全員止まれェゴルァ!」、
まずひと吠え。
両脚ぐっと開き中腰。錫杖をカンフーマスターばりブン回し、
「中坊ども、あぶねー!もっと下がんなッ、ペッペッ!」、
唾吐き威嚇。
審査委員長が立ち上がる。
「とにかく来る者みな渡らせない姿勢、あなたこそ踏切!合格ッ!」


(了、410文字)

【3コママンガver.】

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