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支えているつもりが、支えられていた。小さな豆たちが教えてくれる豊かな日常

コトコト、コトコト。
鍋の中で豆が揺れる、この音が好きだ。
気がつけば、豆のある暮らしが私の日常になっていた。

北海道・遠軽町にある「べにや長谷川商店」が募集している「豆オーナー」になって、今年で5年目を迎える。
きっかけは、日本の食文化を支えてきた在来種の豆を守りたい、というささやかな応援の気持ちからだった。

現在、市場に出回っている農作物の9割以上は、育てやすく病害虫にも強い「F1種」と呼ばれるもの。
そんな中で、その土地に根付き、代々受け継がれてきた在来種の豆は、今や貴重な存在となっている。

「消えゆく種を支えたい」と大層な思いで始めたオーナー制度だったが、5年経った今、この豆たちは私の暮らしにすっかり根を張っている。

豆オーナーになると、返礼品として1口あたり2kgの豆をいただける。
リストに並ぶのは、20〜30種類もの個性豊かな在来種たち。
いろいろな種類を試してみて、毎年欠かさず選ぶようになったのが「青大豆」。

そのまま料理に使うのはもちろん、この青大豆で仕込んだ味噌は絶品だった。
そんな発見があるのも、オーナーならではの楽しみだ(2kg届くので、贅沢な使い方ができる)。

以前は、炊飯器を使って手軽に豆を茹でていた。
スイッチ一つで完成するラクさも魅力だったけど、最近は少し時間に余裕ができたこともあり、お鍋でコトコトと調理する時間を楽しんでいる。

つやっつやの青大豆(筆者撮影)

蒸し茹でに使うのは、オーバル型のル・クルーゼ。
本を読んだり、子どもと一緒にゲームを楽しみつつ、豆が柔らかくなるのを待つ。(茹でるよりも蒸す方が栄養価が高いので、最近はもっぱら蒸し茹で調理)

そして、できたて熱々の豆に塩をパラリと振って、パクリ。
次に、醤油を少しだけ垂らして、パクリ。
ポン酢とおろし大根を和えたら、それだけでごちそうになる。

(筆者撮影)

我が家の定番になったのは、お肉と「畑の肉」である豆を合わせた、栄養満点のしぐれ煮。
時には切干大根も加えて、濃いめの味付けに仕上げている。

(筆者撮影)

一人きりのお昼ご飯、炊きたての白飯にこの豆入りしぐれ煮をのせて(あればおろし大根も添える)頬張る瞬間。
「あぁ……この美味しさを味わえるなんて、日本人に生まれてよかった」 と心からそう思う。
さらに味噌汁があれば、もう何もいらない。
毎日続いても決して飽きることのない、私の味。

(筆者撮影)

年に一度、べにや長谷川商店の代表・長谷川清美さんと電話でお話しするのも、大切な習慣になった。
オーナー継続の挨拶から始まり、返礼品の豆を選ぶ相談、そして尽きることのない豆の話。
「この豆にはこの料理が合う」という調理のヒントから、豆を育てる生産者のこと、「同じ豆でも、福岡の気候では育たない」という理由まで、どんな疑問にも丁寧に答えてくれる。
そのたびに豆の奥深さに引き込まれ、気づけば1時間ほど楽しくお喋りしていることも珍しくない。

いつか、遠軽の地を訪れてみたい。
自分の目で豆畑を眺め、愛情込めて育てている生産者の方々にお会いしたい。

小さな豆が私の日常に運んでくれるのは、栄養だけではなく、旬を味わう喜び、作り手とつながる温かさ、そして「美味しい」と噛みしめる穏やかな時間。
消えゆく種を守るために始めたはずが、気がつけば私の心の方が、この小さな命にしっかりと支えられているようだ。

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