連載:メタル史 1986年⑥ Dark Angel / Darkness Descends 情報編

MetallicaやSlayerが歴史的名盤を出した1986年、少し遅れること11月にリリースされたのが本作、Dark Angelの2ndアルバム「Darkness Descends」です。他と同じく西海岸、ロスアンゼルスのバンド。まさにスラッシュブームの渦中で出されたアルバム。Dark Angelは中心メンバーがMetallicaやSlayerに比べると2-3歳ほど年下で、やや後輩格というところ。
結成は1981年、最初はShellshockというバンド名でした。同名の日本のバンドがいますが直接的な関係はなし(日本のShellshockは1984年結成)。Shellshockというのは「第一次大戦の兵士のトラウマ、戦争神経症」を表すために作られた造語で、同じところから取ったのかもしれません。なお、USにも他にもShellchockというバンドがいたためDark Angelに改名。1985年にデビューアルバム『We Have Arrived』をリリースします。
なお、1stにも収められた上記の「Merciless Death」は2ndアルバムである本作でもリレコーディングされています。2作連続で同じ曲が入っているというのはちょっと珍しい。
デビューアルバムではかなり粗削りだったのですが、2ndアルバムである本作では一皮むけたサウンドと評された。大きかったのはドラマーがジーン・ホグランに変わったことですね。ジーン・ホグランはスラッシュメタル界屈指の凄腕ドラマーとして知られ、後にDeath、Strapping Yound Lad、Testamentなどに参加。その名を高めていきますが本作がデビュー作。なんとこの時18歳です。若き天才。以前、Slayerの1st「Show No Mercy」の時もスタジオに遊びに来ていてたまたまコーラス(というか掛け声の一部)で参加していましたが、当時はまだ15歳。生粋のメタルファンだったのでしょう。本作がドラマーとしてのプロデビュー作。下記がホグランがコーラスで参加した曲。「Evil!」と大人数で歌っているうちの一人、らいしいです。
この当時のメンバーはドン・ドーティ(Vo)、エリック・マイヤー(Gt)、ジム・ダーキン(Gt)、ロブ・ヤーン(Ba)、そしてホグランのツインリード体制。基本的に作曲はダーキンがメインで、マイヤーがサポートする形でしたが本作は加入したばかりのホグランが数曲の作曲に関わっています。次作ではダーキンとホグランがメインソングライターになるので、ホグランの加入はDark Angelにとって演奏面でも創作面でも非常に大きな影響を与えた。若い才能がバンドがステップアップさせたと言えます。

一番若いのに貫禄があります
彼らの特徴は激烈な演奏と複雑な曲構成。このアルバムでも萌芽が見られますが後のアルバムではアルバムの中に100のリフがあるとか、200のリフがあるとか、とにかく曲構造が複雑化していきます。激烈性やリズムに対するこだわりも強く、後のDeath Metal、Groove Metalのサブジャンルに大きな影響を与えた他、(曲構造の展開という点で)この頃から一定の存在感を示し始めていたDoom Metalの黎明期の作品としても後続に影響を与えたとされています。
なお、ボーカルのドーティはこの時代あるあるでドラックの問題を抱えており、本作をリリース後に脱退。その後、現在もボーカリストであるロン・ライナーハートが加入します。そしてこのゴタゴタ期にギタリストのマイヤーが一時期Megadethにギタリストとして誘われています。Slayerのキングといい、めぼしいギタリストはMegadethに誘われがちですね。
ただ、この当時のDark Angelは「Slayerの弟分」みたいな扱いをされることが多かったよう。本作の複雑かつ激烈な曲構成がSlayerと類似していたからです。現在ではSlayerとは異なる独自性、特異性を評価され、スラッシュメタル史に残る名盤とされていますが、リリース当時は「Slayer Children」とも揶揄されたとか。リリース順がReign In Bloodと逆だったら、このアルバムもリリース当時の評価がより一層高かったかもしれません。ムステインは「キングに断られたから、次は弟分のDark Angelを誘おう」と思ったのかどうなのか。まぁ、活動しているシーンが同じだし、年齢的にもまさに弟分ではあります。

本作のプロデューサーはランディ・バーンズ。MegadethのPeace Sells…ではプロデュースをしなおされるという残念な結果になりましたが、本作ではバーンズらしいメタリックなサウンドを披露しています。この当時のLAのスラッシュメタルシーンの盛り上がりを示すアルバムで、この当時のDark AngelはMetallica、Slayer、そしてついに評価を得たMegadethに続く、新しい才能あるバンドだったと言えます。
※はじめて当連載に来ていただいた方は序文からどうぞ。
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