Google I/O 2026の前に、Googleの1年を思い出す
更新日:2026/5/11
発表が多すぎたGoogle I/O 2025。AIモデル、検索、生成メディア、Android/XR、開発者AI、コミュニケーション、AIインフラは、この1年でどう変わったのか。
Google I/Oは毎年、発表が多すぎます。
見ている間は盛り上がるのですが、終わったあとに「結局、何が大事だったのか」が分かりにくいイベントでもあります。
そこで、Google I/O 2026を見る前に、去年のGoogle I/O 2025で発表されたAI構想が、この1年でどう変わってきたのかを整理しておきたいと思います。
公式発表では、Google I/O 2026は2026年5月19〜20日に開催され、初日は10:00 PTから始まります。
日本時間では2026年5月20日午前2時ごろからの開始です。
この記事でお話したいのは、Google I/O 2026の予想を並べることではないです。
2025年5月のGoogle I/Oで示されたものが、2026年5月のいま、どんな形でGoogleのプロダクトや開発環境に入り始めているのかを見て、Google I/O 2026の理解を深められないかなという思いをしております。
2025年のGoogle I/Oで、GoogleはGemini 2.5、AI Mode、Veo 3、Imagen 4、Flow、Android 16、Android XR、Google Beam、Jules、Firebase Studio、ADK、A2Aなど、本当に多くの発表をしました。
あのときは情報量が多すぎて、「GoogleがAIに本気なのは分かった」くらいで受け止めた人も多かったはずです。ですが、1年たって振り返ると、Google I/O 2025は単なる新機能発表会ではありませんでした。
あれは、Googleが「検索、スマホ、開発、映像制作、会議、クラウド基盤」までをAI前提に組み替えていくための設計図でした。


※作成した記事内容をGammaに入力しスライド自動作成させました。スライドの方が見やすいようでしたらこちらをご覧くださいませ。
まず全体像:Google I/O 2025の発表を7つに分けて見る
細かい発表名に入る前に、まず全体像だけ見ておきます。
Google I/O 2025の発表は、細かく見ると大量にあります。ですが、2026年5月のいま振り返るなら、次の7つに分けると、わかりやすくなります。
AIモデル / Gemini:Gemini 2.5からGemini 3へ進み、Google全体の基盤になってきた。
検索 / AI Mode:検索は、リンクを探す体験からAIと一緒に調べる体験へ近づいた。
生成メディア / Veo・Imagen・Flow:動画や画像生成は、派手なデモから制作ワークフローへ入り始めた。
Android / XR:AIを使う場所が、スマホ、ウェアラブル、グラス、空間へ広がろうとしている。
開発者AI / agentic coding:コード補完から、作業単位をAIに任せる開発環境へ近づいた。
コミュニケーション / Google Beam・Meet:会議や翻訳など、仕事のコミュニケーションにAIが入り始めた。
AIインフラ / Cloud・TPU:表に出るAI機能を支える計算基盤の重要性が増した。
つまり、Googleのこの1年は「AIの新機能をいくつも出した1年」だけではありません。
検索、Android、開発、映像、会議、クラウド基盤といった既存の大きなプロダクト群を、AI前提に組み替えていく1年でした。
1. AIモデル / Gemini:チャットAIから、Google全体の基盤へ
まず1つ目は、AIモデル / Geminiです。ここでは、Geminiが単体のチャットAIから、Google全体を支える基盤へどう変わったかを見ます。
2025年のGoogle I/Oで見えていたGeminiは、Gemini 2.5を中心にした「強いAIモデル」でした。2026年5月から振り返ると、Geminiは単体のチャットAIというより、Googleの各プロダクトに入っていく基盤になってきています。
Google I/O 2025では、Gemini 2.5 Pro、Gemini 2.5 Flash、Deep Think、マルチモーダル能力などが大きく打ち出されました。モデルそのものの性能や推論力に注目が集まったのは自然な流れです。
その後、2025年11月18日にGemini 3が発表され、Search、Geminiアプリ、AI Studio、Vertex AIなどに展開されました。ここで起きたのは、単なるモデル名の更新ではありません。Geminiが「アプリの中で使うAI」から、「検索にも、開発にも、クラウドにも入るAI」へ広がっていったことです。
これは、私たちの使い方で考えると分かりやすいです。AIアプリをわざわざ開くのではなく、検索しているとき、スマホを使っているとき、資料を作っているとき、開発環境を触っているときに、Geminiが裏側で支える場面が増えていく。
だから、Google I/O 2026でGeminiを見るときは、「ChatGPT対抗の新モデルが出るか」だけで見ると少し狭いと思います。
見るべきなのは、そのモデルがGoogleのどこに入るのかです。検索結果の画面を変えるのか。Androidの使い方を変えるのか。開発者の作業単位を変えるのか。動画や画像の制作フローを変えるのか。WorkspaceやCloudで仕事の流れを変えるのか。
Geminiの進化は、モデル性能そのものよりも、Googleの各プロダクトにどう入り込むかで見ると分かりやすくなります。
2. 検索 / AI Mode:リンクを探す場所から、一緒に調べる場所へ
2つ目は、検索 / AI Modeです。ここでは、Google検索が「リンクを探す場所」から「AIと一緒に調べる場所」へどう近づいているかを見ます。
2025年のGoogle I/OでAI Modeは、Google検索にAIとの対話的な調査体験を入れる機能として大きく紹介されました。2026年5月までの変化を見ると、AI Modeは実験的な機能から、国や言語を広げる段階へ進んできました。
これまでの検索は、ユーザーがキーワードを入れ、検索結果を見て、リンクを開き、自分で比較する体験でした。
AI Modeが示しているのは、もっと長く、曖昧で、複数ステップの質問をGoogleに投げる体験です。調べもの、買い物、旅行、学習、比較検討のような場面で、検索が「リンクを探す場所」から「一緒に調べる場所」に近づいていく。
たとえば、旅行先を決めるときに、複数のブログや予約サイトを見比べる。買い物で、レビュー、価格、用途を行ったり来たりしながら候補を絞る。仕事で、複数の記事や資料を読み比べて要点をつかむ。こうした調べものは、AI Modeによって検索結果のリンク集を見るだけの体験から、Googleに相談しながら整理していく体験へ変わる可能性があります。
Google I/O 2025時点では、AI Modeは米国向けの大きな発表という印象が強かったと思います。その後、2025年8月には英語で180を超える国と地域へ展開され、9月には日本語を含む5言語への対応が発表されています。
これはまだ完成形ではありません。提供地域、言語、機能差、情報源の扱い、メディアへの影響など、見ていくべき論点はたくさんあります。
ただ、AI Modeが短期間で地域と言語を広げてきたことは、Googleが検索体験そのものを本気で変えようとしているサインだと思います。Google I/O 2026では、AI Modeが検索の入口だけを変えるのか、それとも調査、購買、学習の流れまで変えるのかを見たいところです。
3. 生成メディア / Veo・Imagen・Flow:すごいデモから、制作ワークフローへ
3つ目は、生成メディア / Veo・Imagen・Flowです。ここでは、動画・画像生成が派手なデモから実際の制作フローへどう入ってきたかを見ます。
2025年のGoogle I/Oで、Veo 3、Imagen 4、Flowはとても分かりやすく派手な発表でした。2026年5月までの変化を見ると、注目点は「どれだけすごい動画が出せるか」から、「制作の流れにどれだけ入るか」へ移ってきています。
Veoは動画生成、Imagenは画像生成、FlowはVeoやImagenを使ったAI映像制作ツールです。発表時点では、見た瞬間のインパクトが大きかった領域です。
ただ、1年後に見るべきなのは、生成品質だけではありません。
誰が使えるのか。どの地域で使えるのか。どのワークフローに入るのか。広告、YouTube、教育、企業内動画、個人クリエイターの制作にどうつながるのか。
たとえば、YouTube動画の試作を作る。広告動画のラフを短時間で出す。社内研修用の短い映像を作る。これまで映像制作の専門スキルや外注費が必要だった場面で、AIが制作の入口を下げていく可能性があります。
この1年の動きを追うと、FlowやVeo 3の対応地域拡大、Veo 3.1 Lite、縦型動画や柔軟なフレーミングへの対応といった変化も見えてきます。こうした動きは、生成メディアが「デモとしてすごいもの」から「日々の制作で使うもの」へ近づいていることを示しています。
Google I/O 2026でも、この領域はモデルの性能だけでなく、実際の制作環境にどれだけ入ってきたかで見たいです。
4. Android / XR:AIを使う画面から、AIを使う場所へ
4つ目は、Android / XRです。ここでは、AIを使う場所がスマホの画面から、ウェアラブル、グラス、空間へどう広がろうとしているかを見ます。
2025年のGoogle I/Oでは、Android 16、Material 3 Expressive、Wear OS 6、Android XRが見えました。Android XRは、グラスや空間コンピューティング向けのAndroid基盤です。2026年5月までの変化を見ると、GoogleはAIモデルだけではなく、そのAIを使う画面やデバイスの側も整えようとしていることが分かります。
AIは、チャット画面の中だけで完結しません。
スマホで使うのか。イヤホンや時計で使うのか。車やテレビで使うのか。グラス越しに使うのか。空間の中で使うのか。
AndroidとXRの動きは、この「AIをどこで使うのか」という問いに関わっています。
Google I/O 2025でAndroid 16と新しいデザインの方向性が示された後、2026年2月にはAndroid 17 Beta 1、3月にはPlatform Stabilityへ進みました。Androidの開発サイクルも、AI時代の変化速度に合わせて、より前倒しで継続的な形へ寄ってきています。
XRでは、Android XR SDK Developer Preview 3が2025年12月に公開され、AI Glasses向けの開発環境が具体化しました。Project AuraのようなAndroid XRデバイスも見えてきています。
この流れは、スマホの中のAIアシスタントだけではなく、イヤホン、時計、グラス、車、テレビなど、生活のいろいろな場所にAIが出てくる可能性を示しています。
Google I/O 2026でAndroidやXRの話を見るときは、「新しいUIが出たか」だけではなく、「Geminiをどのデバイス体験に広げようとしているのか」という視点で見ると面白そうです。
5. 開発者AI / agentic coding:コード補完から、作業単位を任せる環境へ
5つ目は、開発者AI / agentic codingです。ここでは、AIがコードの一部を補完するだけでなく、開発作業のまとまりを支える存在へどう近づいているかを見ます。
2025年のGoogle I/Oでは、Jules、Firebase Studio、ADK、A2Aが発表されました。ADK / A2Aは、AIエージェントを作り、複数のエージェントを連携させるための開発基盤です。2026年5月までの変化を見ると、開発者向けAIは「コードを書く補助」から「開発の流れを支えるエージェント環境」へ進んできています。
ここで起きているのは、単なるコード補完の進化ではありません。AIがコードを書く、という話だけでもありません。
むしろ、開発の単位が変わっていく話です。
アイデアをプロトタイプにする。複数ファイルにまたがる変更を行う。エージェント同士を連携させる。Cloudにデプロイする。運用や検証まで含めて開発の流れをAIが支える。
エンジニアの仕事で言えば、「このバグを直して」「関連するテストも通して」「影響範囲を見て」といった作業単位を、AIに渡せる世界に近づいているということです。コードの一行を補完するだけでなく、作業のまとまりを任せる方向へ進んでいる。
この1年の動きを並べると、Vertex AIやAgent Engineの強化、ADK / A2Aを軸にしたエージェント開発環境の整備も重要です。AIエージェントを企業や開発チームが本格的に使うための環境が整ってきた、という見方ができます。
Google I/O 2026の公式告知では、agentic codingという言葉が前面に出ています。だから今年の開発者向け発表では、「どのモデルが賢いか」だけではなく、「開発のどの工程をAIに渡せるようになるのか」を見たいところです。
6. コミュニケーション / Google Beam・Meet:研究デモから、仕事の会議体験へ
6つ目は、コミュニケーション / Google Beam・Meetです。ここでは、会議や翻訳といった仕事のコミュニケーションにAIがどう入り始めているかを見ます。
2025年のGoogle I/Oでは、Google BeamやGoogle Meetのリアルタイム音声翻訳も発表されました。Google Beamは、離れた相手を立体的に見せる企業向けの3Dビデオ会議技術です。
この領域は、GeminiやAI Modeほど一般ユーザーが毎日意識するものではないかもしれません。ただ、仕事の場面で考えると重要です。
海外拠点との会議、言語が違う相手との打ち合わせ、遠隔での商談。こうした場面で、距離や言語の壁をAIが少しずつ下げていく可能性があります。
Google I/O 2026でWorkspaceやMeet周辺の話が出てきたら、「便利な会議機能が増えた」というより、「Googleが仕事のコミュニケーションをAI前提に変えようとしている」と見ると流れがつかみやすくなります。
7. AIインフラ / Cloud・TPU:目立つ機能を支える裏側へ
7つ目は、AIインフラ / Cloud・TPUです。ここでは、Gemini、AI Mode、生成メディア、agentic codingを裏側で支える計算基盤を見ます。
Gemini、AI Mode、Veo、agentic coding。こうした表に出るAI機能だけを追っていると、ひとつ大事な層を見落とします。それがAIインフラです。
AI Hypercomputerは、大規模AIを動かすためのGoogle Cloud側の計算基盤です。モデルを強くする。検索にAIを入れる。動画を生成する。開発者向けにエージェント環境を出す。これらはすべて、裏側で大きな計算基盤を必要とします。
関連する発表を並べると、Cloud Next 2025で発表されたIronwood TPUや、AI Hypercomputerの文脈も重要です。Google I/O 2025そのものの発表とCloud Nextの発表は分けて見る必要がありますが、GoogleがAI機能を広げるうえで、インフラの強化が重要になっていることは変わりません。
Google I/O 2026でも、表に出るプロダクト発表だけでなく、それを支えるCloud、Vertex AI、TPU、AI Hypercomputerの話がどう出てくるかは見ておきたいところです。
全体を見渡すと、GoogleはAIで既存プロダクトを作り替えようとしている
ここまでの7分類を並べると、Googleのこの1年は、「発表から提供へ」の1年であったと感じます。
ただし、それは単に「Google I/O 2025で発表した機能が順番にリリースされた」という話ではありません。
検索はAI Modeで変わり始めました。AndroidとXRは、AIを使う場所を広げています。開発者向けには、agentic codingの環境が整いつつあります。生成メディアは、デモから制作フローへ入り始めています。会議体験やAIインフラも、仕事の場面と裏側の基盤からこの流れを支えています。
こうして見ると、GoogleはAI機能を単に足しているのではありません。
検索、Android、開発、映像、会議、クラウド基盤といった既存のプロダクトを、AI前提に組み替えようとしているように見えます。
Google I/O 2025でGoogleが見せたのは、AIモデル単体の進化だけではありませんでした。Googleの主要プロダクトをAIでつなぎ直す構想でした。
2026年5月までの1年は、その構想がカテゴリごとに「発表」から「提供」「展開」「実用化」へ進んだ時間だったと思います。
Google I/O 2026で見るべきなのは、新機能の数だけではない
Google I/O 2026では、また大量の発表があるはずです。
Gemini、Android、Chrome、Cloud、agentic coding。公式の事前告知だけを見ても、今年も情報量は多くなりそうです。
ですので、見る前に1年前の流れを思い出しておくと、発表が見えやすくなるかと思います。
注目したいのは、次の7分類です。
AIモデル / Geminiは、どのプロダクトの基盤としてさらに深く入るのか。
検索 / AI Modeは、検索の入口だけでなく、調査、購買、学習の流れまで変えるのか。
生成メディア / Veo・Imagen・Flowは、個別の驚きから継続的な制作環境へ進むのか。
Android / XRは、AIを使う場所をグラスや空間へどこまで広げるのか。
開発者AI / agentic codingは、開発工程のどこまでを任せられるようにするのか。
コミュニケーション / Google Beam・Meetは、仕事の会議や翻訳をどこまでAI前提に変えるのか。
AIインフラ / Cloud・TPUは、これらのAI体験をどれだけ支えられる形で語られるのか。
Google I/O 2026は、単に新しい機能を追うイベントではなく、Google I/O 2025で示された構想の進捗確認でもあるかと考えます。
去年、Googleは「AIを全部に入れる」方向を見せました。
この1年で、その一部はモデルになり、検索になり、Androidになり、開発ツールになり、映像制作や会議体験に入り始めました。
Google I/O 2026で何が発表されるかは、まだ分かりません。
ですが、去年から今年までの流れを見ると、Googleがどこに向かっているのかは少し見えてきます。
「そうだった。Googleは去年、AIを発表しただけではなく、GoogleそのものをAIで作り替えようとしていた」
ということを思い出して、Google I/O 2026をみて理解が深められればと思います。


参考リンク
Get ready for Google I/O: Livestream schedule revealed - Google Developers Blog
AI Mode in Search gets new agentic features and expands globally - Google Blog
AI Mode in Google Search expands to more languages - Google Blog
Android Developers Blog: beta topic, Android 17 Platform Stability
Google Beam: Our AI-first 3D video communication platform - Google Blog
Build for AI Glasses with the Android XR SDK Developer Preview 3 - Android Developers Blog
