復職できた。だから、もう大丈夫だと思っていた
休職中、僕は毎日のように答えが変わっていました。
それでも最後に選んだのは、復職でした。
そして実際に会社へ戻ることができました。
ここで僕は、1つ勘違いをします。
「戻れたんやから、もう大丈夫やろ」
そう思ってしまったんです。
1回目の休職は、3か月ほどでした。
復職が決まった時は、もちろん不安もありました。
久しぶりに会社へ行く。
上司にも会う。
同僚にも会う。
みんな、僕のことをどう見るんやろ。
最初の頃は、そんなことばかり気にしていました。
でも、その気まずさを消すには、仕事をしている方が楽だったんです。
仕事をしていれば、余計なことを考えなくて済む。
ちゃんと働いていれば、
「もう大丈夫なんやな」
と思ってもらえる気もしました。
僕自身も、そう思いたかったんやと思います。
3か月休んだ。
体調も戻ってきた。
これだけ休んだんやから、エネルギーもある。
前みたいに仕事はできる。
今度は失敗せえへん。
そんな気持ちがありました。
今思えば、あれは自信というより、過信やったんでしょうね。
最初は、ちゃんと気をつけていた
復職したその日から、いきなり無茶をしていたわけではありません。
最初は僕も気をつけていました。
無理をしない。
仕事を抱えすぎない。
しんどくなったら休む。
また休職したくなかったですから。
ところが、仕事をしていると少しずつ感覚が変わってきます。
1日働けた。
次の日も働けた。
1週間過ぎた。
「あれ、意外といけるな」
と思う。
すると次は、
「これくらいなら大丈夫やろ」
になる。
もう少し仕事をする。
それもできた。
また少し増やす。
誰かに「もっとやれ」と言われたわけではありません。
自分で戻していったんです。
休職する前の働き方に。
たぶん、休んでいた負い目もありました。
僕が休んでいた間も、みんなは仕事をしていた。
戻ったからには、ちゃんとやらなあかん。
前と同じくらいは働かないと。
そんな気持ちが、どこかにあったんやと思います。
坂道に止めた車みたいやった
1回目の復職を思い出すと、僕の中では車のイメージがあります。
坂道に車を止めたとします。
最初は怖いから、ギヤをパーキングに入れる。
ハンドブレーキもしっかり引く。
これなら動かない。
復職したばかりの僕も、そんな感じでした。
ところが時間がたつと、
「もう大丈夫やろ」
と思い始める。
いつの間にか、パーキングに入れていたはずのギヤがニュートラルになる。
まだハンドブレーキがあるから大丈夫。
そう思っている。
でも坂道です。
少しずつ負荷がかかる。
仕事が増える。
予定どおりに進まない。
上司から修正が入る。
分からないことも出てくる。
そのうち、ハンドブレーキだけでは止められなくなる。
ハンドブレーキが少しずつ滑って、車がずるずると坂道を下がり始める。
僕の1回目の復職は、そんな感じでした。
ドンと一気に悪くなったわけではありません。
少しずつです。
だから自分でも、
「まずいな」
となかなか気づかなかった。
家に帰っても、翌日の仕事をしていた
今なら、あの頃の自分を見て、
「もう始まってるやん」
と思うことがあります。
その頃は、1日の仕事が終わって会社を出ても、僕の仕事は終わっていませんでした。
帰りながら、もう次の日のことを考えています。
明日は朝一番でこれ。
午前中にここまで終わらせて、そのあとあれをやる。
あの書類も見ないといけない。
家に着いて、夕食を食べる。
まだ考えている。
風呂に入る。
「いや、先にこっちをやった方がええかな」
また予定を変える。
布団に入っても終わりません。
明日の順番を、また頭の中で並べ替える。
寝ないといけない。
分かっているんです。
でも、明日のことが気になる。
当然、寝つきも悪くなります。
そして翌朝、頭の中で何度も作り直した予定を持って会社へ行く。
ところが仕事なんて、予定どおりにはいきません。
急な仕事が入る。
思ったより時間がかかる。
上司から修正が入る。
誰かに声をかけられる。
せっかく組んだ予定が崩れる。
すると僕は、
「明日はもっとちゃんと組もう」
となる。
また帰り道から考える。
夕食を食べながら考える。
風呂でも考える。
布団の中でも考える。
同じことを繰り返していました。
「まだできる」と思っていた
それでも僕は、
「ちょっと無理してるな」
とは、なかなか思いませんでした。
むしろ逆でした。
まだできる。
3か月も休んだんやから。
今度は大丈夫。
失敗もしない。
そう思いたかったんでしょうね。
少しくらい疲れても、
「仕事したらこんなもんやろ」
眠れない日があっても、
「今日はたまたまや」
予定どおりに仕事が進まなくても、
「明日はうまくやろう」
また自分で何とかしようとしていました。
ここ、休職する前と同じなんですよね。
休職したことで身体は一度止まった。
でも、仕事のやり方までは止まっていなかった。
僕は自分で、そこへ戻っていきました。
復職できたから、大丈夫ではなかった
1回目の復職では、
会社へ戻れたことに少し安心していたんやと思います。
仕事もできている。
毎日会社にも行けている。
だったら大丈夫。
でも、今なら分かります。
大丈夫ではなかった。
会社には戻れていた。
その一方で、家に帰ってからも仕事をしていた。
翌日の仕事を何度も組み直していた。
予定が崩れたら、また自分で何とかしようとしていた。
眠れなくなっても、
「まだいける」
と思っていた。
これでは、休職する前とそんなに変わりません。
むしろ、
「3か月休んだから大丈夫」
という気持ちがあったぶん、自分の変化に気づきにくかったのかもしれません。
今、あの頃の自分に何か言えるとしたら、
たぶん、
「前と同じように働けることをそんなに証明せんでもええで」
と言うと思います。
休んでいた3か月を仕事で取り戻す必要はなかった。
上司や同僚に、
「もう大丈夫です」
と見せる必要もなかった。
でも、その時の僕は仕事で見せようとしていました。
そして気がついた時には、また元の働き方に近づいていた。
1回目の復職で僕が失敗したのは、復職したことではありません。
戻ったあと、自分から前の働き方へ戻っていったことでした。
そこに気づいたのは、もっとあとでした。
そして復職から3か月ほどたった朝、僕はまた会社へ行けなくなりました。
「またか」
2回目の休職です。
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