ランナーはどれくらいで「撃沈」と書くものなのか?
本番が近い中でこんな記事を書くのどうかと思いつつ。
自分が書いているのでマラソン・ランニング関連の記事がおすすめに出てくることが多い。そうした記事に「撃沈」という表現にけっこう出くわす。
これは文字どおり「ダメだった」という意味なのだけど,僕の言語感覚では「リタイア」とか「制限時間寸前」ぐらいの意味合いであるのに対し,そうでもない,つまり僕から見ればはるかに良い記録でも「撃沈」している人が見られる。念のため国語辞典を見ると『三省堂国語辞典』だけがこの意味を盛り込んでいて感心した。
げき ちん[撃沈]⦅名・自他サ⦆
①攻撃を受けた船がしずむこと。
②〔俗〕みじめな失敗をすること。酔いやつかれでぐったりすること。
いずれにせよ,「撃沈」という語の使い方について僕の感覚が他のランナーとズレているのか,調べてみることにした。
今回はnoteの記事検索を使い「マラソン」と「撃沈」で検索し新着で並べ換え記事を25個読み,「撃沈」と書いている人の「目標タイム」と「実際のタイム」の違いを記録した。とにかく全体の傾向に興味があるので,個別記事のリンクは貼らない。
結果をまとめると下の図のようになった。

左(青)は目標タイムで,「サブ3」や「サブ4」で設定する人が目立ったので30分単位で表現している。あとはPB(自己ベスト)で設定している人が目立った印象だった。
中央(赤)は実際の記録で,これはけっこう広く分布しているように見受けられた。実際の記録だってそういうものだろう。一応平均は3:55で,中央値は3:54だった。
右(緑)は目標との差で,20〜30分が2人だけ多いがけっこう広く分布しているように見える。もっとも僕からすると目標から10分やそこらで「撃沈」とか書かれるのはけっこう違和感があるのだけど。
この「目標からの乖離が重要」という点は目標タイム別に箱ひげ図にするとちょっと様相が異なる。

目標がサブ4かサブ3.5以下かで違いがある。サブ3,サブ3.5だと中央値がだいたい25分前後になっているのに対して,サブ4以下だと30分に来ている。サンプル数が少ないのであまりどうこうは言えないのだけど,速い人は気にする差が小さいということがあるのかもしれない。またはサブ4以下の人は実際に遅い人も加わるので,中央値が高くなったとも考えられるが,個々の結果(●)を見てもこの観察が外的れではないように思われる。
言葉の基本は主観にある。だからどこで「撃沈」するのかが人それぞれというのは一つの正答だろう。だから極端な人はとにかく目標を達成できなかったら「撃沈」ということなのも無理はない。ただその中で「撃沈」は目標との差が30分あたりが一つの目安となりそうなことが分かった。
あと詳しく分析していないが,ある地点(たいてい30キロ)からのラップタイムが落ちることを「撃沈」と表現している人もいて,こちらの方がより元の語釈に近いのかもしれない。
もっともあまり穏やかな表現ではないから私自身は使わないけど。
