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あの「WIND BREAKER」を、イキったオジサンが見た

今回は、現在放送中の「WIND BREAKER」について書いてみたい。

このアニメ、実をいうと去年から色々と評判は聞いてたんだよね。
面白いとか、面白くないとか。
でも下の図表(昨年5月のアンケート)を見ての通り、この作品の信者数は結構多いみたいなのよ。

あともうひとつ、こちらの図表↓↓もご覧ください。

赤:10代 青:20代 ピンク:30代 緑:40代 紫:50代 オレンジ:60代

この図を見る限り、「WIND BREAKER」ファンは10代/20代で約8割を占めているみたいだね。
・・そう、めちゃくちゃ支持が若年層に偏ってるのさ。
おそらく、このデータを見る限りだと

「WIND BREAKER」はあくまで平成生まれを対象にしたアニメ、というコンセプトだな?

しかし昭和生まれの皆さん、こういうのを見ると逆に闘志が湧きませんか?
あまりオジサンをナメんなよ、と。
実はまだヤレるぞ、と。
・・ええ、少なくとも私は闘志が湧きましたよ。

よっしゃ、敢えて昭和生まれのオジサンが「WIND BREAKER」見てやろーじゃねーか!

・・で、ちゃんと頑張って見ました。
心なしか、いつもより若作りして。

ただ、これを見た率直な感想をまず最初に言っていいですか?

・・多分これって、一種のリトマス試験紙みたいなもんだわ。

平成生まれ⇒「WIND BREAKER」に燃える
昭和生まれ⇒「WIND BREAKER」に萎える


はい、正直いって私は萎えました・・。

だってさぁ~、出てくる不良少年が皆、美形男子ばかりなんだよ?

いまどきの不良って、ここまでキレイになっちゃったの?
「HiGH&LOW」効果なの?

不良って、本来これでしょ↓↓

こういう旧態然たる猛々しさが、「WIND BREAKER」の中には無かった。

多分だが、これファン層は女性の比率が結構高いんじゃない?
小耳に挟んだところによると、「原作者・にいさとる先生は女性」という噂すらあるらしい。
・・いや、そんな根も葉もない噂を信じたくなるほど、出てくるのが

徹底してオンナノコ受けしそうなビジュアル系なんだわ。

今から20~30年前に流行った「クローズ」の場合は、あれなんかは明らかに<オトコ受けを狙ったビジュアル系>だったと記憶する。

この差は大きいよ。

オトコ受けする「クローズ」
オンナノコ受けする「WIND BREAKER」


これはマーケティングがそもそも違うので、あまり比較対象にはなるまい。
ただ、「WIND BREAKER」がなかなかユニークだなと思ったのが、主人公の通う風鈴高校が<正義>で、それに敵対する勢力が<悪>、そういう非常に分かりやすい勧善懲悪の設定になってることなんだ。
このへんは、「クローズ」の世界観と全く異なる。

どっちかというと、「ワンピース」における麦わらの一味に近いかもしれん。
ルフィたちって、「海賊」を名乗りつつも非道な海賊行為を一切せず、常に困ってる人たちを助けてるでしょ?
それと同じで、「WIND BREAKER」の主人公たちも「不良」を名乗りつつ、その一方では町を外敵から守る自警団として働き、地元民から愛されているという正真正銘の<ヒーロー>なんです。

なるほど、こういう不良系アニメは教育上悪いとしてPTAから目をつけられがちだろうに、この「WIND BREAKER」に限ってはむしろ「こういう高校生になりなさい」と逆にPTAから推薦を貰えそうな内容といっていい。

正義執行中のワンシーン

そもそも、こいつら不良なのに、酒、タバコ、ドラッグ、一切やらないからね。
あとお年寄りにめっちゃ親切だし、正義の執行として暴力を振るうこと以外何ひとつ悪いことしてないと思う。

うむ、まさしくコンプライアンスを大切にする令和に相応しい不良系アニメといえよう。


「クローズ」は平成の不良だし、「ビーバップ」は昭和の不良だろ?
そういうのを見て育った世代ほど、この「WIND BREAKER」を見るとあまりのリアリティの無さにおそらく耐えられないと思うが、いや、ここは耐えてください。
多分、これは作者のせいじゃない。

<時代>が、こういう作品を生んだんだよ。


ただ作者は、この作品を作るにあたって取材などを特にしてないような気もするねぇ。
「リアリティとかどうでもいいや」と開き直り、ただイマジネーションだけでこれを作ったんじゃないだろうか。
この作者が男性か女性かは知らんが、たとえ女性だからといって「不良」を描けないわけでもないと思うのよ。
かつて女性が描いた、「不良」の名作↓↓を皆さんは覚えていますか?

紡木たく「ホットロード」

紡木たく先生は、女性だった。
それでいて、バイクだの暴走族だのをよくぞあそこまでリアルに描けたものだと思う。

今まで、複数の会社が紡木先生に「ホットロード」のアニメ化のオファーをしたらしいが、それらはことごとく断られてきたらしい。
もう、実現不可能なのかな・・。

この人ほど文学性の高い漫画を描く先生もあまりいない。
こういう少女漫画に触れると、これまでの少年漫画が描いてきた「不良」はなんか薄っぺらく感じてしまうわ。

うん、「ホットロード」はほぼ純文学だから、ちゃんと読み解くのはマジで難しいですよ。
そして、こんな紡木先生とは真逆ともいうべきベクトルをいっているのが、他でもなく「WIND BREAKER」、にい先生である。
にい先生は、あるインタビューの中で、こう語っていたらしい。

「(初期構想では)『カッコいい男の子たちがたくさん出せて、読んでいて気持ちの良い作品にする』という出発点で作品を考え始めました」

「『ヤンキー漫画を描こう』と思って始めたわけではないんですよね。
どちらかというと、描いてる時は『スポーツ漫画』を描いている感覚に近いです。
喧嘩がスポーツの競技のひとつである感覚といいますか。
それに加え、敵を撃退し、周りに感謝されるという『戦隊モノ』のテンションも入っています」

・・うん、ぺらっぺらだね(笑)。
実にライトである。

・・いや、だからこそ、本作は10代~20代にちゃんと受け入れられたんじゃないのか?


<勧善懲悪><予定調和>、こういう分かりやすいプロットこそ「令和的」だから。
だってさ、今「WIND BREAKER」を支持してるのは、「なろう系」「異世界転生ファンタジー」「俺Tueee!」とか見て育った世代だろ?
そりゃもう、そういう世代には分かりやすさこそが最優先である。
「ホットロード」みたいのは、むしろ論外。
ここでは、あのての「行間を読め」みたいに高度なことは視聴者に求められず、全ては作中、登場人物たちが言葉で説明をする仕組みさ。
だから見てる側は何も考えなくていいし、とても易しいんです。

そっち系で、実にいい役割果たすキャラがこの子だったわ↓↓

橘ことは

作中、ほぼ紅一点といっていいヒロインである。
風鈴高校の連中の溜まり場になってる喫茶店の店員。

特にバトルに参加しないので出番はめっちゃ少ないんだが、たまに出てくると、主人公/桜に「何かいいことを言う」という役割の彼女。
まだ16歳なのに姐さん気質で、いつも含蓄ある発言をする係になってる。

「あんたは他人を諦めてない。
諦めなくていい。
少なくとも、私は桜を向いてる。
だから、あんたもこっちを向きな。
・・そうすればきっと、あんたが望んだものになれるよ」

「ひとつの方向から見ただけじゃ、本当の形は分からない。
思うことは自由だけど。
決めつけるのは、まだ早いんじゃない?
ちゃんと話して、ちゃんと見て。
分かろうとしなきゃ、その人のこと分かりっこないでしょ」

こいつ、まだ16歳の小娘のくせに、いくら何でもいいこと言いすぎて、熟女の匂いがするんだが?
お前、今まで一体どんな人生を送ってきたんや・・。

ま、そんな感じでね、このアニメはとにかく啓蒙のオンパレードなのよ。
こういうのは、若年層にこそ刺さると思う。

うん、リアリティがほとんどない、ということさえ除けば、これ普通にいいアニメですよ。


未見の方は、騙されたと思って一度ご覧になってみてくだい。
これを見てちゃんと熱くなれるようなら、非オジサン/非オバサンに認定されます。
・・私?
ええ、熱くなりましたとも。

めっちゃ熱くなりましたとも!


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