映画「これからの私たち」
監督:レイ・ヨン
60代のレズビアンカップル、パットとアンジーは、公私ともに順調で穏やかな日々を送っていた。しかしある日、パットが急死してしまう。アンジーはパットの親族とも親しくしていたが、葬儀の形式をめぐって意見が対立しマンションの権利でも揉めてしまう。香港映画。
とてもよく出来ていました。無駄なく、あざとくなく、適温で。
宣伝文句や感想には「社会」とか「制度」「法律」「偏見」みたいなワードが見えます。もちろんアンジーが直面した理不尽な扱いは男女での夫婦であれば起きにくいことからすると法や制度に目を向けたくなる物語です。
ただ私はそれ以上に「良識」を問いたくなる物語に思えました。胸の奥がモヤモヤしやせんか?30年共にしてきた2人を家族として認めないような選択できるんか?自分の大切な家族が愛した人に対してどんな関係でいたいですか?こんな問題に直面した際にどう動けますか?と。

血縁とは別なるものを認めるかどうか。故人の意思をどこまで尊重できるのかってことでもある。法や利害ではなく。
パットの親族がハナからめっちゃ冷たいモンスター親族ってワケではないのです、アンジーとずっと良好な関係だった。亡くなったパットを愛していたのは同じなのです。その辺が今作の脚本の"分かっている"ところ。ただの正義vs悪じゃない。たまたま今この家族が経済的に困窮している事情も絡んできてしまったから相続でこじれた展開。
で?だから?とは言え?なんですけどね。
かくいう私の近親者でも相続で揉めてしまった人たちがいるのでね、、昔を思い出しました。血縁者でもこんなことで敵味方になってしまうんやなあ、と子供ながらに感じたことを覚えています。
金がかかると人は変わってしまうものですよね。
ラストシーン。好きでした。受け取り方は人それぞれでしょう。
親族や法律が認めなくても彼女たちは幸せに生きた家族で、2人にしか分からない世界が確かにそこにあったのだと。そう思わせてくれるファンタスティックなシーンでした。
