『ルックバック』実写版感想|藤野は、なぜ漫画を描き続けるんだろう。

実写版『ルックバック』を観ました。

めちゃくちゃよかった。

派手に泣かせにくる映画ではないのに、観終わったあと、じわじわと残る。

心に沁みる映画でした。

そして映画館を出てからも、ずっと考えていたことがあります。

藤野は、なぜ漫画を描き続けるんだろう。


『ルックバック』作品情報

公開: 2026年9月11日
上映時間: 99分
原作: 藤本タツキ『ルックバック』
監督・脚本・編集: 是枝裕和
音楽: 坂東祐大

出演

出口夏希
蒔田彩珠
七瀬ふうり
岡田六花
野呂佳代
宮藤官九郎
菅田将暉 ほか

藤本タツキさんの同名漫画を、是枝裕和監督が実写映画化。

藤野と京本。

漫画を描くことが好きな二人の少女の物語です。


とにかく「描く」映画

『ルックバック』を観ていて印象的なのは、

とにかく二人が漫画を描いていること。

机に向かう。

ペンを持つ。

描く。

また描く。

外では季節が変わっていく。

でも二人は描いている。

漫画を描いたことがない僕でも、

何かを作るって、こんなに孤独なんだな

と思いました。

基本的には一人。

誰かに褒めてもらえる保証もない。

うまくいく保証もない。

それでも机に向かう。

この姿がすごく心に残りました。


藤野は、なぜ描くんだろう

最初の藤野は分かりやすい。

漫画を描いたら、

みんなが褒めてくれる。

「藤野すごい」

と言ってくれる。

だから描く。

でも京本の絵を見て、

自分より圧倒的にうまい人がいることを知る。

悔しくて、

ひたすら描く。

ここでは、

「京本よりうまくなりたい」

という気持ちがある。

でも物語が進んでいくと、

描く理由が少しずつ変わっていく。


京本がいるから描く

京本は藤野の漫画が大好きだった。

藤野にとって京本はライバルだったけど、

京本にとって藤野は憧れの人だった。

二人が出会って、

一緒に漫画を描き始める。

ここから、

漫画を描くことが、

ただ「うまくなりたい」だけではなくなっていく。

誰かが読んでくれる。

誰かが喜んでくれる。

そして、

一緒に作ってくれる人がいる。

自分の描いたものが、誰かとつながる。

それって、

ものすごく嬉しいことなんだと思う。


でも、それだけじゃない

そして物語の後半。

藤野は、

漫画を描いたこと自体を後悔する。

もし自分が漫画を描いていなかったら。

もし京本と出会っていなかったら。

もしあの日、京本の部屋の外に漫画を届けていなかったら。

違う未来があったんじゃないか。

そう考えてしまう。

ここが本当に苦しい。

好きだったものが、

一瞬、

「描かなければよかったもの」

になってしまう。

それでも藤野は、

また机に向かう。


なんで、また描けるんだろう

僕はここが一番心に残りました。

あれだけ辛いことがあったのに、

どうしてまた描けるんだろう。

お金のため。

仕事だから。

才能があるから。

もちろん、それもあると思う。

でも、

たぶんそれだけじゃない。

描くことの中に、京本との時間が残っているからなんじゃないか。

一緒に描いたこと。

笑ったこと。

褒めてもらったこと。

漫画を読んでもらったこと。

京本と出会ったことで生まれたものは、

悲しいことだけじゃない。

むしろ、

ものすごくたくさんの楽しい時間があった。

だから、

描く。


「好きだから」って、案外それくらいなのかもしれない

何かを続ける理由って、

意外と説明できないのかもしれない。

なんで映画を観るの?

なんで文章を書くの?

なんで絵を描くの?

別に、

やらなくても生きていける。

もっと効率よく時間を使うことだってできる。

それでもやる。

たぶん、

好きだから。

結局そこに戻ってくる。

『ルックバック』を観ながら、

そんなことを考えていました。


実写版、めちゃくちゃよかった

原作もアニメ版も評価されている作品なので、

実写化はかなり難しかったと思います。

でも、

是枝裕和監督の『ルックバック』、

僕はめちゃくちゃ好きでした。

特に、

二人が漫画を描いている時間。

ペンの音。

背中。

部屋の空気。

季節が流れていく感じ。

実写だからこそ伝わってくるものがちゃんとあった。

そして子ども時代の藤野と京本も本当に良かった。


観終わったあと、

「創作っていいな」

と思いました。

誰かに評価されるためでも、

お金を稼ぐためでも、

成功するためでもなく。

自分が作ったものを、

誰か一人が好きだと言ってくれる。

それだけで、

また作ろうと思えることがある。

藤野にとって、

最初のその一人が京本だった。

だから藤野は、

描き続けるのかもしれない。

心に沁みました。

たぶんこの映画、

何かを作ったことがある人には、

より深く刺さる作品だと思います。

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