👻我が家の怪談を封印したわけ
ホラー週間として、本当はもうひとつ掌編小説を書くつもりだった。
でも結局、書けなかったお話をしよう。
今、暮らしている家はお墓に囲まれている。
普通の人なら嫌がるだろう。不動産屋が案内してくれた時に、前は外人さんが借りていたのだと言われた。外人さんは、アパートが決まらず困り果てていたところ、大家さんとひょんなことで縁があり、使っていない家があるから貸してあげようか、という話になったらしい。
確かに、普通の日本人なら躊躇するかも。
お墓。お墓。お墓。
外人さんなら、OH!!!日本庭園!!!みたいに思えるのかも。
平屋の一軒家。
正直に言おう。古民家というよりただの古家だ。
だけど、異常に安かった。その前に暮らしていた祐天寺のアパートより安かった。まあ、祐天寺は立地的にも家賃は安くはないのだが、田舎者だから都会に住みたかったのだ。
でも都心までは祐天寺より8分ほど余計にかかるとはいえ、一軒家で?????この賃料????
敷地だけ見たら隣のアパート一棟といい勝負。我が家は平屋だが。
おかしいなって思った。
だっておかしいだろう。
一人暮らし時代のアパートより安いなんて。
いや、下手したら向かいのアパートひと部屋の家賃みたいなもんだ。
内見でこの家に初めて上がった時、縁側にそそられた。
そしてそこに足を踏み入れて納得した。
あ、お墓かぁ。……ん? ただのお墓の隣じゃない。
墓地に家が突っこんでいる。
借り手ないよね。わかるぅ。
後に調べたら、墓地がどんどん敷地を広げていった時期、周囲の家々が墓地側へ土地を売り払っていくなか、大家さんだけは「思い入れのある土地だから」と頑なに売らなかったらしい。
そうして、この家の周囲は新しい墓に埋もれていった。
だから、周りのお墓は比較的ピカピカなの。
変な木の棒(塔婆)もない。
古い怖い雰囲気のお墓ではない(たぶん)
田舎の祖父の診療所が火事になった時、隣のお寺が住まいとして貸してくれた茶室も、お墓の中にあるような平屋だった。だから逆に私はなんだか懐かしく、お墓をデメリットだと思わなかったし、部屋を探し始めた一件目でここを紹介されたことに深い縁を感じた。
今となってはかなり長くこの家に暮らしている。
乗っ取りに近いレベル。
もう返してもらえないかもと、大家さんが心配しているかもしれない。
返さへんで。
『今時こんな家あるの?』って、友人たちはめずらしがった。
みんないいマンションやご立派な一軒家に住んでる。床暖房とかさぁ、未来や。
そうね、珍しいよね。我が家は冬はフリース上下に膝まであるフリースの靴下を履く。うん、珍しいよね。
キャンプ好きな友人が多かったからお泊りの時は寝袋持参。
客用布団なんてウチにはない。
転がりなはれ、そこいらに。
縁側でよく七輪で何かしらを焼いて食べた。
火事には気を付けた。祖父の家も古くてよく燃えたから。
友人たちは我が家に
「八つ墓村」というあだ名をつけた。
わたしには霊感というものはほとんどない。
金縛りと、ちょっとあれ?くらい。
幽霊というものを直接見たことはない。
この家に越してきてから金縛りも少なくなった。
よく考えたら祐天寺のアパートは照明のあたりの天井がよくパンパン鳴った。照明を吊るしている金具が軋んでいるのかなって思ったが、そんなわけねえ。でもその時はそう思っていた(現実逃避?)祐天寺のアパートの方が金縛りも多かった。(ぴっきーん)
でも、ただ一回だけ。一回だけ。
八つ墓村と呼ばれたこの家で、怖い思いをした。
そのときパッパが泊まりに来ていた。
「おまえんとこ昨夜さぁ~」
って朝言われたことが、前の晩にわたしが見た夢(自分では夢だと思った)とかなり一致していたから怖くなった……。
前置き長くてすまん。
その時の話を怪談掌編として今回書こうと思ったんだけどさぁ
鳥肌が収まんないの、書こうとすると。
鳥肌って暑くても勝手にたつのねぇ。
だから怪談についてはここで筆を置く。
だってね、そのお墓ってさ、自分の寝床から15歩でつくの。
15分じゃない、15秒じゃない、
15歩なんだよ!!!!
いや10歩……かも。
今までそれを怖いと思わなかったんだけど、急に意識したら怖いのだ。
トイレに行くのが怖くなったのは、リングの貞子を観て以来だ(古っ)
あの時は井戸から這い出てテレビから出てくるシーンを20回リピートして耐性をつけて克服した。
お墓の怪談を書こうか書かまいか、昨夜布団の中でもう一回悩んでいたら、コツ、コツって障子に何か当たる音がしたの。
おいおいおいおい、勘弁してよ。
もう書きません、もう書きません。
そう口ずさみながら様子を見に行くと(本当に泥棒だったらそれも問題だから)白い蛾だった。腰抜けた。あんまり虫、出ないんだけどね。
寝てる部屋に来ないよう、暑いけどぴしゃっと障子をしめた。
朝、探したけど蛾いなかった。
ベープマットが効いたのかわからない。
このご時世、家賃高騰して引っ越しもできない。
こんな安い物件ない。いわくつきかもだけど。
『もう古いから引っ越したら』って、勧められるが、パソコン越しに、お墓と大きな木が見えるこの環境がやっぱり大好きで気に入っている。だからまあいいや。
でもなんか触れちゃいけない一線があるみたいだから書こうと思っていた怪談話は封印することにした。
だいたいお墓眺めながら怪談話書いている自分の神経が、少しズレているのかもしれない。
この家で恋愛小説書いてるのは、もっとズレているのかもしれない。
あは ( ´∀` )
