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【怪談】鈴の音|掌編小説・銀狐朗読

銀狐さんの朗読、聴いたことある?
まあ、声までイメージを裏切らない男も珍しい。
わたしの書いた怪談を、ノリノリでおどろおどろしく語ってくれた。
怖いよぉぉ👻 でも、イケボで聴く怪談って色気があるのよ。
銀狐×ケロンパのコラボでございます。

🐸以前、銀狐さんのところで音声のみ公開された朗読を、今回はケロンパが紙芝居動画に仕立てました。小説本文とあわせてお楽しみください。

さあ、上の再生ボタンをポチッとな👆


【怪談】鈴の音

ケロンパ作:いとこの体験談をもとに


二十代の頃、昔なじみの仲のいいダチが大きな病気になっちゃってさ。

大学病院に入院して、会うたびにガリガリに痩せていくんだ。

これ、本当にやばいんじゃないのって、そんな状態だった。

その頃のオレ、新宿のちょっと品のいいクラブでバーテンダーやっててさ。

病院の見舞い帰り、気分が落ちたまま開店前の店に入ったら、ママが優しい声で話しかけてきたんだよね

「銀ちゃん、どうしたの?」

事情を話したら、最後まで黙って聞いてくれてさ。

「銀ちゃんのそんな顔、初めて見たわ。友達想いなんだね」

ママはそう言うと、おもむろにバックヤードへ入っていって、一冊の般若心経と写経用紙を持ってきた。

「友達の回復を願いながら写経してごらんなさい」

ママの実家、京都の古い小さなお寺なんだって。

お手本見ながら、一文字ずつ丁寧に書くこと。
上手く書こうとしなくていい。心を込めること。

最後に真面目な顔してこう言った。

「写すだけにしなさい。読むのはまだ早いから」

普段のオレなら、ママの顔立てる程度に流してたと思う。

でも、その日は違ったんだ。

ママってさ、観音様みたいな顔してるの。

見てるだけで癒されるっていうか、やたら勘も鋭くて、こっちの心の中まで見抜いてるような人で。

ママの言うとおりにしたら、どうにかなる気がした。
何より、ダチのために何かしたかった。

店、終わるのは夜中二時。

新宿の繁華街からチャリで十五分くらい。
日本人がほとんど住んでない、大久保の安アパートに住んでた。

家帰ってシャワー浴びて、寝る前の十分だけ写経する生活を始めた。

オレ、小学校の頃から習字だけは好きだったんだ。

薄暗い部屋で小さな文字を一文字ずつ並べてると、不思議と心まで洗われていく気がして。

一週間くらい経った頃かな。
入院してたダチから「メシ食えるようになってきた」って連絡が来た。

嬉しかった。

「写経って案外すげぇじゃん」

んなわけねえのに、すっかり調子乗っちゃってさ。

ふりがな振ってある般若心経見ながら、見よう見まねで声だして読むことまで始めちゃった。

さすがに声は小さくしてたけど。

夜中三時。
アパートの一室で、一人、お経を唱える。

読み終わった瞬間だった。
部屋の空気が変わった。

なんて言えばいいんだろ。
重たい空気。

気味悪くなって布団潜った。
眠りに落ちそうになった、その時だった。

……チーンィィィィィン……。

最初は風鈴かと思った。

でも違う。

実家の仏壇にある、あの小さな鐘あるじゃん。

あんな音だった。

……チーンィィィィィン……。

さっきより近い。

……チーンィィィィィン……。

その瞬間だった。

ぐんっ……っ

身体が布団へ沈んだ。

「あぁ、金縛りか」

オレ、金縛りは何度か経験してたから、最初はそう思っただけだった。

疲れてるからかな。

でも、その日は違った。

何かいる。
めちゃくちゃ近くに。
息遣いまで聞こえそうな距離に。

薄く瞼が開いた。

見えたのは、まつ毛が触れそうな距離にある目だった。

鼻がぶつかりそうなくらい近い。
近すぎて全体がつかめない。
髪がどんなだったかなんて、全く頭に入らない。

男とか女とか、そういう存在じゃなかった。

この世のものじゃない。
それだけは分かった。

なんか耳の奥で唸り声が聞こえるの。
外からじゃなくって、耳の中でさ、唸ってるんだよね。

身の毛がよだつって分かる?
地獄の底から這い出てくるような声だった。

「あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」

「あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」

消えてくれ。
消えてくれ。
頼むから消えてくれ。

瞼、閉じたいのに閉じられない。
身体も動かん。

多分、オレ寝落ちしたんじゃない。
気絶したんだと思う。


翌日、店へ入ろうとした瞬間だった。

「銀っ!! そこで止まりな!」

ママの怒鳴り声が飛んだ。
怒鳴られたのなんて初めてだから驚いた。

立ち尽くすオレに向かって、ママはバッグから何か取り出すと、勢いよく振りかけた。

塩だった。

「あんた、変なもん店に連れて来るんじゃない!」

ママの視線は、おれを素通りしていた。
その先の〝何か〟を見ていた。

そのまま店の外へ押し出されて、背中を何度も叩かれた。

そしたら、朝からずっと重かった身体が嘘みたいに軽くなったんだよ。

ママは少し疲れた顔で笑った。

「……お経、読んだね。あんたは二度とお経を読んじゃダメ」

「なんで?」

「呼べる人間もいるのよ」

「……呼ぶ?」

「あんたがそういう体質だって、私も気づかなかった」

「いや、自分、霊感とかないっすよ。たまに変な夢見るくらいで」

ママはオレの肩をぽんと叩いて、小さく笑って言った。

「無意識が、一番厄介なのよ。呼ぶつもりがなくても、来るものは……来るから」


【END】



ケロンパはただいま「イケメングランプリ2026」で、この小説を朗読した【銀狐】さんの推薦人をしております。noteで見つけた🪭イケメンを推す祭でございます。

ほおお、見てみたいと👀思った、そこの紳士淑女の皆様。
ご案内いたしましょう。

話せばイケボ。
ふとした瞬間、ロマンチスト。
小説やエッセイを書き、
時には曲もお披露目する。

笑いあり、人情あり、色気あり、意味わかんねぇ。

こんな逸材【銀狐】さんの面白さを、あなたにも知ってほしいのです。

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